Amy's This Week

2020.10

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2020.10.19

10/12-18, 2020 最◯な岡田美術館若冲展と、『鵞鳥湖の夜』

この週は、以前から一度行きたいと思っていた箱根の岡田美術館へ行くことになりました。何といっても『若冲展』です!以前、白鶴図を見て、その美しさに大感動して以来大ファンで、若冲展とあらば福島へも行ったな〜。今回も楽しみでした!

静岡市から来る友人と合流出来るようにと、初めてロマンスカーではなく小田原駅からバスで行ったのですが、実はこの美術館へ行くにはこのルートの方が簡単でした。新規ルート開拓でラッキー!と喜び、さらにこの美術館は入館料が2,800円と高額なのですが、小田原駅前のインフォメーションで割引チケット(2,550円)が買えるということで、ダブルで喜んでいたのもつかの間…orz

入り口でも若冲の墨絵に出迎えられて、ついに来た達成感とともにウキウキしながら入館したのですが…

結論から言うと、若冲を目当てに行ったら詐欺に遭ったのと同じでしたorz それはもう立派な建物だし、陶器類のコレクションもたいそう充実。陶器好きなら堪らないでしょうね。しかし残念ながら私はあくまでも若冲目当て。見学ルートに沿って進むと、もうなかなか若冲にたどり着きません。エスカレーターで広い各階を移動しながらどこ〜?まだ〜?って感じ。

で、やっと近づいた?と思っても、若冲ではなく。まあ確かにサブタイトル的に『若冲 - 光琳・応挙・蕭白とともに』とあったけれど…と、歩き続けていると、ついに出ました!!若冲だぁ〜❤️ このためにはるばる箱根まで来たのよ〜!と数点観て、次のお部屋へ…と思ったら、え?これだけ?えええ〜〜〜!!!なんと、数えてみれば、わずか7点でしたorz

片道およそ3時間かけ、足代往復7千円以上かけ、入場に2800円(2550円だったけどw)払って、7点???!!!これって酷くないですか?ほとんど詐欺。若冲と名打てば客が集まるのは確かながら、ここまでして集客したいか?!!地方美術館の汚さ見たり。いや、前言撤回。以前行った福島市の若冲展は内容も、金額も、素晴らしかったです。この、岡田美術館のアコギさ、あくどさ見たり(怒)

私が近所に住んでいれば、ここまで怒りはしなかったでしょうが、もう、本当に酷いったら酷い!こうなったら、小田原で最高のかまぼこを買って帰らなきゃ気が収まらない!!!(^^;

…ということで、どれほど怒ってみても、行ってしまい、払ってしまったものはもう仕方ありません。なので、長〜い屏風絵を除けばわずか6点。売店で全作品のハガキがあっさり買えてしまったので、その6点を愛でますか。

これは『月に叭々鳥図』。カラスじゃないんですねw 叭々鳥=ハハチョウという鳥だそうです。右上に4分の1ほど見える大きな月の下、真っ逆さまに落ちながら「ヤバ〜イ!」とでも言っていそうなユーモラスな顔。チョロっと舌も出していますw 西洋画と違い墨絵は書き直しが一切出来ない一発勝負。真っ直ぐ伸びた尾羽が、落ちるスピード感を表しています。若冲って、緻密な絵とは逆に、こうしたあっさりした墨絵で可愛い作品も多いですよね。とはいえ、これも一発勝負の超絶技巧です。

『傘に鶏図』。これも見事な一発勝負の尾や胴体。でもよく見ると、陰影を付けるためか、尾は濃淡の二筆ですね。それにしても、顔の可愛らしいことww 鶏がニヤッとしているように見えます。傘の上に乗って、バランスを取って遊んでいるのでしょうか。バランスで言えば、この若冲の全体構図のバランス感が見事です。(とか書きながら、『バランス』と言えばヴァン・ヘイレン!と連想してしまい、まだまだエディ・ショックを引きずっていますorz)

『雪中雄鶏図』。似た構図のニワトリでも、「ガチで描けばこーだもんね!」とニヤリとする若冲の顔が浮かんできそうなお見事さ。墨絵の素晴らしさも分かるようになったけれど、私はやっぱりこんな若冲の濃厚な作品が好きです。同じタイトルの『雪中雄鶏図』は他にもありますが、こちらは前出の墨絵と同じポーズの鶏なので、若冲の描き方の比較が出来て、同時に見るとより楽しめます。

『花卉雄鶏図』(かきゆうけいず)。ニワトリ好きな若冲は、庭にたくさんのニワトリを飼って、いつも写生をしていたそうです。この尾羽の見事な美しさ!私が初めて若冲を好きになった白鶴図もそうなのですが、羽の美しさが他を寄せ付けないんですよね。まるで油絵のような濃厚な黒と、透けるような白との対比。そして、まるでダビンチのブロンド天使の髪のように緻密な羽の描き方。羽一本でも、直接間近で見れるなら終日見飽きませんね。

最後は見事な屏風絵『孔雀鳳凰図』。2016年に、なんと83年ぶりに発見されたんですって。誰だ、隠していたのww その年に1ヶ月だけ東京都美術館で公開され、連日長蛇の列が出来たという伝説の美術展の目玉作品ですね。3時間待ちとか?それを思えばもう、今回は一切並ばず、誰もいないお部屋で独占鑑賞出来だだけで良かったと思うべきなのかな〜?詐欺とか言わずにwww いや、往復6時間かけ、足代&鑑賞代で約1万円出したのだから、独占鑑賞上等です!

確かに、鳳凰も、孔雀も、見事な緻密さ、美しさでした。他に誰もいなかったので、じっくり鑑賞出来ました。私の好きな白鶴図と同じ、この孔雀の透けるような胴の部分ね。『せかほし』で見たマルタのアンティークレースみたいです。美しいですね〜。にしても、高くつきましたね〜(^^;

…とまあ、いつまでもウジウジ言い続ける私も、なんか情けないですw まあ、行ってみなけりゃどんな美術館か分からなかったので、これも勉強でしょうか。ん、もしかしたら、お金のことで自分がグチグチ言ってしまうのも、箱根の美術館が集客のために詐欺まがいなことをしてしまうのも、全てコロナのせいかも!(泣)せいぜい貧すれば鈍するとならないよう、人としての品位を保つよう努力したいです。って、品位あったか?www

 

そんな箱根まで行って文句タラタラな週の一本は、『鵞鳥湖の夜』です。

中国映画なんですよね。予告を観て妙に惹かれて観てきました。結果は…かなり、かなり、面白かったです!

良くも悪くも中国です。日本なんて比較にならないほど社会の層が厚い中国で、最下層といえば本当に我々日本人には想像もつかない生活、文化がある様子。それが独特のカラーの中で繰り広げられ、非常に興味深かったです。またこの中国版フィルム・ノワールは、効果音があのオジーの『クレイジー・トレイン』イントロのビヨ〜ンという音みたいな?w 或いはお琴のような?何かたぶん中国楽器独自の音がして、それもまた面白くて仕方なかったです。

中国南部の最下層の町を舞台に、チンピラのリーダーと娼婦が出逢う。でも恋愛要素は一切ありません。愛なんかでは食べていけないのです。全てはお金。中国の逞しさは、隅々まで行き渡っているようです。ストーリーも面白かったのでネタバレはしませんが、中盤のちょっとした逸話。警察官が派手なシャツを着ていて仲間に指摘されると、自慢げに「エルメスだぜ。バッタもんのww」と答えるのです。あ〜、どこから突っ込めば良いのか!これぞ、This is Chinaですね。逞しい。

主人公が阿部寛に似ていると評判のようですがw 若い頃の吉田栄作似でもありますw そう、かなりのグッド・ルッキング。だからか、最下層の周囲とはぜんぜん馴染んでいなくて、そこがまた不思議な空気感というか浮遊感があって、哀しい人々の話のはずなのにどこかカラっとしていて…ラストは妙に良い気分になりました。中国の底力が見えたような。面白かったです!

 

さて、私はこの夏以降急に山に目覚めたんですが、9月頭、山デビューとなった茨城の御岩神社では本当に情けない結果で、山頂は諦めて帰ってきました。まったく、自分の力の無さを思い知ったわけですが、「それは暑さのせい!」という友人たちの慰めもあり、自分でも少しずつ山修行(?)をしていたので、この週末はリベンジで、もう一度御岩神社へ行ってきました。すると…無事に山頂まで行けました!やっと見ることの出来た山頂からの眺め! 何事も、地道な努力を重ねるのは大事ですね。まあ、確かに9月頭は暑かったけれど、今回は不思議なくらいまだまだいけそうな感じで、気を良くして帰ってきました。これからも精進を続けて、来年また9月頭に行ってみようかな。ライヴと同じで、山は体中で感じることなので何度同じ所へ行っても飽きないどころか、楽しいです。…と、終わりよければ全て良し(?)な週でした。