Amy's This Week

2007.03

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2007.03.04

2/26-3/4, 2007 週報

予想はしていたが、2月はあっという間に終わった。HDDに録っておいたアカデミー賞授賞式をじっくり鑑賞。司会はメリッサ同様ゲイをカミングアウトしているエレン。アメリカにいる時は欠かさず彼女のトークショーを見ている。一時、ものすご〜く苦労をしたエレンはそれも乗り越え、笑顔を振りまく。踊りも上手く、面白カッコ良い。全体の感想の結論は「スコセッシ監督、おめでと〜ございま〜す!」(笑)。ST&ジョーを登場させた『ライトニング・イン・ア・ボトル』の監督でもあるが、私の大好きな映画All Time Top10に入る『グッドフェローズ』の監督だ。過去7回(監督賞5回、脚色賞2回)のノミネートで無冠だった。その非情なバイオレンスみなぎる『ディパーテッド』は、終盤の畳み掛ける殺人シーンの連続が圧巻。が、この作品だけではなく、長年の功労の積み重ねに対する受賞かも。それにしても、受賞時の監督の早口でまくしたてるスピーチは『シャークテイル』そっくり、そのまんま。監督が魚に見えた(笑)。

衣装デザイン賞でプレゼンターとして出て来た『プラダを来た悪魔』出演の二人の即興に、その場で呼応して演技してみせた客席のメリル・ストリープにはさすがの一言!!瞬時に『プラダを来た悪魔』になったその表情を、何度も繰り返し見てしまった。同じくゆとりのジャック・ニコルソン。あちこちふらふらしていて可笑しかった。ビヨンセの『Listen』は、グラミー授賞式より何倍もアカデミーの方が良かった。やはり一人ではなく、エフィー役ジェニファー・ハドソンとの共演となったからだろう。が、火花バチバチかと思いきや、緊張でガチガチのジェニファーに対してビヨンセは大物の風格が。そのジェニファーが助演女優賞受賞の時は、ビヨンセがすごく嬉しそうにしていた。スコセッシ監督受賞を喜ぶディカプリオ同様、こんなところに人の良さが出る。

嬉しいのは長篇ドキュメンタリー賞と主題歌賞を『不都合な真実』が取ったこと。ノミネート2つでオスカー2つは効率良いことこの上無し(笑)。ゴア氏のスピーチは相変わらずさすが。真剣に、熱烈に見つめ聞き入る会場のハリウッド・スター達。その主題歌賞を取ったメリッサの奥さん(!)は、こぶしを上げて頷いていた。私的には、「これは政治的問題ではなく、モラルの問題」が、今年の流行語大賞だな〜。終盤、コッポラ、ジョージ・ルーカス、スピルバーグの3人が、まるでトリオ漫才のように監督賞のプレゼンターで出て来たのがウケた。そうか、ジョージ・ルーカスはアカデミー無冠だったのね。そろそろ、ディカプリオにも受賞させてあげて下さい。

劇場に観に行った映画は1本。スター勢揃いの『ボビー』。アンソニー・ホプキンズが良い味出しているのは当たり前。私はTVドラマ『6フィート・アンダー』に出ているフレディー・ロドリゲスが好き。デミ・ムーアは元カレ(エミリオ・エステヴェス)が監督し夫役でもある映画に今カレとゆーか夫(アシュトン・カッチャー)と出ているわけで。落ちぶれた歌手役とはいえ凄く綺麗。ヘレン・ハントは私が大好きな女優さん。なんて品があるんだろう。シャロン・ストーンはメイクや役で、本当にコロコロキャラが変わる、正に女優。リンジー・ローハンは、いかにもパーティー三昧している我がままお嬢な声だわね〜(笑)。マーティン・シーンは、大好きなTVドラマ『ザ・ホワイトハウス』のせいで、どうしても彼自身が大統領に見えてしまう。クリスチャン・スレーターは上手いけど老けたわ。もっと痩せて欲しい・・・等々、映画観ながら、一人一人の俳優を見てしまう。RFKの実写と上手く合成した作りが、かえって個々の俳優を引き立たせてしまう。むしろボビーも誰か俳優を立てて演技させた方が話に入れたかも。が、だからこそ、ラスト・シーンに愕然とする。約40年前のアメリカの話だが、今、再び似た状況を迎えたかの国は、新たなボビーを求めている。

上野の東京都美術館で開催中の『オルセー美術館展』へ行った。オルセーの魅力はその元駅舎という建物そのものにもあるし、目玉の一つであるアングルの『泉』はなぜか去年『ルーブル美術館展』(なぜっ??)で先に来日していたのでどんなものかと思っていたが、行けば行っただけのことはある。不思議だったのは、私自身幼い頃からそのやたら強い筆タッチや黒の縁取り、微妙な全体のぐらつきがグロテスクに思え苦手だったゴッホが、今年齢を重ねた目で改めて見たら非常に魅力的に見えたこと。彼がその不安定な精神で必死に真実を捕らえようと筆を走らせた思いが、「攻撃は最大の防御なり」となって強いタッチとなったかのよう。憧れの南の太陽を追ってアルルへ辿り着くも、愛したゴーギャンには捨てられ、貧しく孤独のうちに益々偏屈になっていくゴッホ。彼の苦悩とそのゴッホを支えた弟のテオの苦悩を思う時、その歪んだ力強さが愛おしく思えるようになった。音楽、美術、映画など芸術は、同じ作品でも受け止める側の成長で印象が変化していく。機会あれば何度でも同じ作品に触れることが、己の発見にもつながる。オルセー展売店で買ったゴッホの額絵を壁に飾った。

ハイ、今週も又々長くなって失礼しました。毎週Jetの原稿を書いているようだわ(爆)。Rock Jet27号、ただ今絶賛(?)発売チュ〜〜!