Amy's This Week

2017.02

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2017.02.13

2/6-12, 2017 Journeyと沈黙

昨年に遡りますが、某アーティストで「2月頭にVIPするよ」と言われており、その日程がすっかりジャーニーにかぶっていて今回はジャーニー観ることが出来ないなと非常に残念に思っていました。それがまさかの「やっぱ止めた」!…orz  時折外人には振り回されます(爆)。が、これで急遽、ジャーニー観れることになりました❤️ 私の日本人元上司がかつてジャーニー担当ディレクターで、たぶん公私ともに彼が最も愛したバンドだと思います。またアメリカ人元上司は、かつてジャーニーの所属事務所にいた人だったので何かと縁のあるバンドなのです。とは言え、私は2013年まできちんと観たことが無く、超遅ればせながら前回の来日で観て、王道のロック、ヒット曲オンパレードにとても感動したのでした。そう、私もアーネル・ジャーニー世代なのですww   2013年の来日後、たまたまお話した40代後半とおぼしきとあるIT講師をしている方がおっしゃっていました。「最近、恋をしているんです❤️」と。お話を伺うと、夫が学生時代からの友人と自分は知らないアーティストのコンサートへ行ったので、どんなコンサートなのかネットなどで調べたら、それがジャーニーというバンドだったとのこと。そしてそのヴォーカリストにあまりに惹かれてしまい、以来彼のことを考えるだけで胸がときめき、声を聴くだけで嫌なこと全て忘れさせてもらえると。それは立派な恋ですね❤️で、そのヴォーカリストの名前は?と尋ねると「アーネルって言うんです。とにかく可愛いんですよ」!!   そうか。ジャーニーの音楽に感動し、恋をしたヴォーカリストはスティーヴ・ペリーではなく、アーネル・ピネダだったんですね。なんだか時代を感じる逸話でしょう?でもこうして新しいファンが増えるのは素晴らしいことですよね。この日私も二度目のアーネル・ジャーニーを観に武道館へ行き、満員の観客を見回しながら、もしかしてこの中にあのIT講師さんもいるのかな?と思い出していました。   有難いことに、この日は追加の世界初特別公演日で、ファンの熱気もより濃い気がしました。また私はセットリストを見ながらショウを楽しむのが好きなので、こういう公演は嬉しいですww なんと言っても『エスケイプ』1曲目は『ドント・ストップ・ビリーヴィン』ですからね❤️ その盛り上がりようと言ったら。あちゃ〜!もうオープニング曲でこの日のライヴは出来上がっちゃいましたよ〜!!   2枚のアルバム完全再現ということで、バンド史上初ライヴの曲もあり、それをアーネルが見事に歌い上げ、盛り上げていました。前回観た時よりもすっかり貫禄が出てきた(決して太ったというわけではなくw)アーネル。以前は「うそ!マジ?俺ホントに今、ジャーニーのフロントマンとしてライヴやってんの?」ばかりに少し懐疑的な雰囲気と、その喜びに溢れた表情がとても新鮮で微笑ましくもあり観ていて嬉しかったのですが、今回はやっとジャーニーにおける自分の存在を信じることが出来た様な、しっかりとステージに足を踏ん張って観客を盛り上げようとする姿は風格さえ感じられ、素晴らしかったです。そして、そんな姿を安心して後ろから見ているメンバーたち。今年でアーネル加入早くも10年目だそうです。   2013年のジャーニーの映画『ドント・ストップ・ビリーヴィン』(内実『アーネル・ピネダ物語』です)で感動の涙を流したのがつい先日のように感じますが、10年経た今も変わらぬ姿勢で活動している事実を踏まえて改めて観れば、きっと感動の重みも増すことでしょう。当時のトレーラーはコチラ。 https://youtu.be/IlGSKXIodlE  私ももう一度観〜よおっと!   ジャーニ-を始め、アース・ウィンド&ファイア、クイーン…と、新たなヴォーカリストを迎えたからこそ、バンドが活動を継続出来、引き続きファンを楽しませてくれるのは、非常に有難いことです。ただもちろん、オリジナルのヴォーカリストが亡くなったのではなく生きているのであれば、ガンズのようにオリジナル・メンバーが戻るのも嬉しいことなのですが、ジャーニーの場合は…どうかな? 確かに最近はスティーヴ・ペリーが復活するなんて噂もありました。でも…アーネルを辞めさせないで!!「こんな猿みたいなチビのアジア人を…」と謙虚に言っていたアーネルが、それでも自分を抜擢してくれ、彼曰く彼自身を救ってくれたジャーニーへ人生を賭けて恩返しをしている姿に、スティーヴ・ペリーのファンには大変申し訳ないながら、私はジャーニーがこの先最後の最後までアーネルと共に活動していってくれることを願っています。   そんな素晴らしいライヴが来月には放映されます❤️ 皆様是非ご覧下さい!! さて、今週の1本は話題の『沈黙/サイレンス』です。なにはともあれマーティン・スコセッシ。ロックな監督らしさはどこにあるかしら? 遠藤周作の原作を読んだことはありませんでしたが、遠藤周作自身が敬虔なカトリック信者であることは有名です。日本におけるキリスト教、日本でキリスト教信者(キリシタン)であること…が、彼にとって生涯のテーマであったようです。   古来日本人は八百万の神がいるとしてきました。私の愛する古代ローマと同じ、日本は多神教の国です。ですから、神様の数が8,000,000から8,000,001になっても8,000,002になっても、寛容な多神教にとっては全く問題ないのです。しかし、彼ら一神教は自らの神ただ一人しか認めない。だから世の中、一神教同士の紛争が絶えないのであり、良い悪いでは無いながらも、多神教とは相容れないものがあると思います。   そして古代ローマはキリスト教に敗れ滅びてしまいましたが、日本は滅びなかった。この違いは何か?? もちろん理由は様々ありますが、島国の日本が鎖国をしていたことと、この映画の通りキリシタンを迫害したことは主たる理由に挙げることが出来るでしょう。   では、なぜそれほど迫害をしたか? 遠藤周作が知らなかったとは思えないのですが…、確かに私の中学や高校の教科書には載っていなかったと思います。が、ネット社会の現代では簡単に見つけることが出来ます。当時のフランシスコ・ザビエル始めキリスト教の宣教師たちは、善事ばかりではなく悪事も行っていたのですよね。なんと奴隷売買。それもうら若き日本人女性(その理由は一目瞭然です)をなんと50万人もヨーロッパ各地に売り渡していたという史実(天正遣欧使節団伝)。それに激怒した豊臣秀吉がキリスト教を弾圧するようになったというのですから、日本人にとっては理に敵っていたと言えるでしょう。また弾圧方法が残酷であったとしても、そもそも当時は刑の方法が現代よりずっと残酷な時代だったので、取り立ててキリシタンだけを残酷に扱ったわけではありません。 とは言え、実際に日本に来た宣教師が全員人身売買をしていたかと言うと、きっとそうではないと思うのです。水面下で行われる人身売買の目くらましとして、純粋に愛し信じるキリスト教の布教をしようとする無垢な宣教師が利用されていたのかもしれません。そして、捕らえられ、迫害を受けたのはそういった純粋な宣教師ばかりだったのかも。可哀想に。いつの日も、真の悪人はズル「賢い」のです。   私の大好きなリーアム・ニーソン(オアシスのリアムと同じ名前なのに、なぜこちらは「リーアム」と伸ばすのかしら?w)扮する棄教した元宣教師の無気力さや、全く光の消えたその目から、もしかしたらこの宣教師は人身売買の事実を知ったのかもしれないと思いました。自身は一切関与していないながらも、同胞の罪を一身に被っての覚悟のような気がしないでもありません。考え過ぎかもしれませんが、この俳優にはそう思わせる善良さが滲み出ています。そして、全てを諦めて無になることが、ひいては仏教の教えに通じるのは皮肉なことです。 さて、以上は外人側の事情。では、日本人側はどうだったか? 古来宗教とは貧しい地域で発展すると言われます。戦乱や飢餓の時代、幸せな来世を信じないと生きてはいけない。ツライ今を生き続ける為の支えとして神の存在が必要とされるのでしょう。この映画の中でも、多くのキリシタンとなった日本人たちが、キリスト教を信じれば幸せな天国に行けると口にします。なんだか、イスラムの自爆テロ犯のようではありませんか。もちろん、キリシタンたちは自爆するのではなく、その身を迫害されることに委ねるのですが。果たして彼らは豊かな暮らしをしていても、同じようにキリシタンになったでしょうか?   窪塚洋介扮するキチジローという男がいます。まあ性懲りも無い、観ていてイラつくまでに芯の無い男で窪塚洋介が好演していましたが、棄教せずに死んでいく者たちとキチジローとの対比が、遠藤周作からの「真の信仰」というものを考える課題なのかもしれないと思いました。 他にも浅野忠信始め、日本人俳優陣が皆とても良い味を出していました。とりわけイッセー尾形が良かったな〜!   マーティン・スコッシらしさとしては、宗教と暴力の対比という彼のテーマは十分貫かれていました。それでも、生々しくリアルな暴力描写が信条のスコセッシ監督作品で、多くの迫害シーンがあるにも関わらず、これほど血を見ることの無い作品は珍しいと気がつきました。それでもR-12指定とは、いかにも21世紀的。しかしそれは、真摯に信仰というテーマと向き合ったスコセッシの、原作者遠藤周作や日本へのリスペクトから、いたずらに血を見せることを潔しとしなかったのかもしれません。   さらに、ストーンズもクラプトンも流れませんw  そういった楽曲使用が無いというだけでなく、ほとんど音楽そのものが使用されていないのです。それで約2時間40分!ですが、これが全く退屈せず中だるみすることもなく、最後まで一気に観せてくれます。当時の貧しい田舎の日本人たちがやたら流暢に英語を話す違和感だけさて置けば、かなり興味深い作品でした。『グッドフェローズ』を超えることはないですが、『ギャング・オブ・ニューヨーク』のオルタナティヴとして、スコセッシの両面がこれでコンプリートした気がしました。オススメです!   さ、次週はついにグラミーです。追悼コーナーを楽しみにするのは残念なことですが、やっぱり楽しみ❤️ それでは皆様、また来週!