Amy's This Week

2023.04

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2023.04.12

4/3-9, 2023 ルーブル美術館展《愛を描く》と、『ワース 命の値段』

ほぼ体調も正常に戻り、六本木の病院へ行くついでに久しぶりの国立新美術館へ行ってきました。

前から気にはなっていたのに、今いちヴァトーとかのロココ調って苦手なんです。なんて思ってズルズルしていたけれどやはり行っちゃいましたw そしてさすがのルーブルと再認識!テーマを愛に絞っても、決してロココのみではなくとても良かったですw

この日はヒルズ方面から行ったので、国立新美術館はこんなアングル。こちら側も素敵ですね。

上の方がこんなに丸まっていたなんて気づいていませんでした。ちょっと草間さんのかぼちゃみたいw

過去ルーブル美術館展は何度も開催されましたが、膨大な作品を所蔵する美術館なのでこのようにテーマを絞って美術展を開催するのは良いアイデアですよね。今回は『愛』がテーマということですがとても広義で、古代神話の愛、キリスト教の神への愛、オランダ17世紀&フランス18世紀の人間の愛、19世紀フランスの愛とロマン主義…などの4章に分かれていました。そして第4章は撮影OK!だったので、画像は自分で撮影した写真と購入した絵ハガキ、そして公式サイトからです。

まずはポスターにもなっているこちら。フランソワ・ジェラールの『アモルとプシュケ』。

こんな角度も撮りましたw

アモルは神ですがプシュケは人間。が、むしろ表情は逆な雰囲気なのが面白いです。プシュケの頭上に舞う蝶は、プシュケには蝶という意味もあるから。またこのアモルの羽が肉感的なほどに厚みがあり、ダヴィンチの『受胎告知』を想起させました。恋愛の愛でもあるし、神の愛でもあります。がここではキリスト教の神ではなくギリシャ神話の神なので、非常に人間的。それでもやはり慈しむような愛を感じました。さすがポスターに選ばれるだけあって、とても魅力的な作品でした。

ジャン=バティスト・ルニョーの『友情の杯を交わすヒュメナイオスとアモル』。これは何も知らずに見るとBL系な雰囲気を感じてしまうのですがw 頭に花の冠を被っているのが結婚の神様ヒュメナイオスで、当然人々を結婚させるにはアモルの愛の矢が必要なので、この二人は名コンビなのです。

…という大前提がありながらも、この作品はあまりに少年二人が官能的。もしかしたら、ジャン=バティスト・ルニョーは当時(1820年)社会に理解されなかった思いをこの作品に込めたのかも…?

こちらも同じような雰囲気のあるクロード=マリー・デュビュッフの『アポロンとキュパリッソス』です。可愛がっていた牡鹿を誤って殺してしまい、哀しみのあまり永遠に嘆いていたいと神に哀願したキュパリッソスは糸杉に変身します。ここでは糸杉になる前、アポロンがキュパリッソスの頭を支えて、その願いを訊いているところかもしれません。

とはいえこの雰囲気。作者の思いを込めた?と前述しましたが、当時のパリのブルジョワ階級の好みに合わせて描いていたのかもしれませんね。

これは見た瞬間「あら、ダンテ!」と思いましたw アリ・シェフェールの『ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊』です。長い!ww ダンテの『神曲』はフランスでは19世紀前半に大流行したそうです。その『神曲』の地獄編に登場するフランチェスカとパオロは、不義の恋のため断罪され殺された二人。地獄を旅するダンテとウェルギリウスの前に苦しそうに、でも固く抱き合ったまま現れてダンテ達が「むむむ…」となっているシーンですね。

ダンテは結婚して家庭を持ちながらも、すでに亡くなっていたベアトリーチェをほとんど神格化と言えるほど妄信的に愛し続けた人。亡霊でも良いからベアトリーチェに出て来て欲しい…、殺されたとはいえ結ばれたのだから羨ましい…等々を考えているような表情に思えてしまいますw それが画家の狙いだったのかも?

これは地味ながら小躍りしたくなるほど嬉しかった作品です。『ロミオとジュリエット』シャセリオーの作品でした。かつて国立西洋美術館で開催されたシャセリオー展で知ったシャセリオー、大好きになりました。アングルの元弟子。アングルも大好きだし、その後アルジェリアへ旅してエキゾチックな作品を多く残したのも魅力的です。このロミオとジュリエットの最後のシーンもとてもシャセリオーらしい早い筆で、むしろ横たわる二人をはっきり描かなかったことで、薄暗い教会の地下を表しているように思えました。真っ黒にしないのがシャセリオーらしい。まるで赤外線レンズで見るような景色ですね。

こちらもシャセリオーで『ヘロとレアンドロスまたは詩人とセイレーン』です。海を隔てた対岸の地に住む恋人ヘロを、毎晩泳いで会いに通っていたレアンドロス。ヘロは目印になるよう塔に松明を灯して待っていたところ、ある晩その火が消えてしまい、レアンドロスは溺死してしまいます。そしてそれを知ったヘロは絶望し、自ら海に身を投げました。

…という古代ギリシャの悲恋物語を知ってこの作品を見ると、もがくレアンドロスに火の消えた塔。ヘロの姿は、この時レアンドロスが見た幻影かもしれません。非常に切ないです。

が、もう一つのタイトル『詩人とセイレーン』は明らかにオデュッセウスとセイレーンのことで、いきおい恋人同士どころか、セイレーンに惑わされないようにもがくオデュッセウスというわけですね。そう言われればそうも見れますw こちらは海でもがいたオデュッセウスは助かります。全く異なる物語を一つの作品で表すのは、非常に面白いシャセリオーの試みというか、遊び心を感じました。

なんとドラクロワの作品もありました。『アビドスの花嫁』。オスマン帝国の高官の娘ズレイカが父に政略結婚をさせられると愛し合う兄(!)セリムに伝えると、セリムはズレイカを匿おうとします。そこに娘を奪おうと父は軍隊を派遣し海まで追い詰め、ここが最後のシーンですね。そもそも禁断の愛だし、それを親に知られたし、政略結婚させられるし…との結果で、この二人はここで命を落とすそうです。なんて哀しい!

英国の詩人バイロン作の物語ですが、こうした禁断の愛もイスラム教だからこそ的な、キリスト教社会に受け入れられるような設定をしているのはさすが、なんてうがった見方もしてしまいましたww

さてこちらはこの美術展でTOP3に登る話題の作品、フラゴナールの「かんぬき』です。

冒頭で私はあまりロココは好きではない、と書きました。フラゴナールもその最たる者の一人ですよね。でもこの作品のドラマチックさは、のほほんとした(失礼!)ロココのイメージとは大きく異なり、惹かれました。

部屋に入った瞬間女性を抱きすくめ、伸ばした後ろ手でドアにかんぬきを閉める男性。かんぬきに手を伸ばすために軽く爪先立ち、その時力が入って膨らんだふくらはぎに締まった臀部。リアルです。そして仰け反る女性はどう受け止めているのか。これは愛なのか暴力なのか。セクハラとはあくまでも受ける側の受け取り方なので、愛なのであれば荒々しく抱きすくめられるのは喜びになるし、暴力であればもうそれは犯罪です。

結論としては、観る者に委ねられる作品らしいのですが、そもそも寝室に男性を入れた時点で知り合いではあったでしょう。が、そこまでは考えていなかったのに迫られた…的な?いえいえ、寝室に入れておいて「そこまでは考えていなかった」はないでしょうww なんて、いろいろ考えちゃいましたよね。嫌な振りをするのもいかにもロココなフランス女らしい…とか?wwww

もう1作品興味深かったのがサミュエル・ファン・ホーホストラーテンの『部屋履き』です。その名前通りオランダ人で、フェルメール作品を思わせます。

脱ぎ捨てられたような部屋履き、置かれた読みかけの本、鍵が刺さったままのドア、火が消されている蝋燭…などから、『かんぬき』さながらのシーンが見えないお部屋の奥で展開されているような?思わせぶりな作品です。が、一切人物を描かないところがオランダ(当時はフランドル)の奥ゆかしさを感じます。

散らばった部屋履きは、フランドル絵画の祖とも言いたい私の愛するヤン・ファン・エイクの有名な『アルノルフィーニ夫妻像』にもありますね。「神聖な場では履物を脱ぎなさい」という聖書の言葉に由来して、履物を脱ぐのは神聖な婚姻の場という意味がありました。また、部屋の外に箒がありますが、箒は家事や貞節の象徴です。となると、この部屋の奥の二人は夫婦で、仕事で遠出していた夫が久しぶりに帰ってきて…という感じでしょうかw いや〜奥深いですよね!

とまあ、印象に残った作品を挙げましたが、これらを振り返っただけで再びお腹いっぱいな気分ですw やはりルーブル、さすがなルーブルです。私の興味はこんな感じでしたが、人それぞれのお気に入りが発見出来ると思います。6月まで。オススメです!

 

そんな週の一本は、『ワース 命の値段』です。

地味な作品ながら、めちゃ良かったです!!あの911の犠牲者に米政府が補償した実話で、このマイケル・キートン扮する弁護士もまた、隠れた911のヒーローだと思いました。

今回コロナになって、弊社も日本政府に補償してもらえました。給付金、助成金、支援金、補助金…など。当然コロナは初体験なので知りませんでしたが、これほどに国が補償してくれるとは予想しておらず、なかなか有り難く、国って凄いなと思いました。その時と同じ感覚を、この作品を観て思ったんですよね。やっぱりアメリカも凄いな、と。

でも当然、国によって様々なはず。国連加盟国の約200カ国の中で、どれほどが日本やアメリカのような補償を受けられるでしょうか。むしろ補償など受けられない国の方が多いのでは?と思うと、いろいろ不満はあるとしても日本という国への感謝の気持ちを持ちました。せいぜい税金を払おうとww

この作品の中でも(実話)、いかにもプエルトリコ移民風な人々は提示額に一発OKしたり、金融業の役員などは絶対に高額でなければ応じないなど、生々しいやりとりがありました。まあ、そう考えると私の受けた感覚は移民並みですねww ともあれ、愛する人を亡くした喪失感はお金には代えられないのも事実。そんな哀しみを抱える人々に粛々と対応した主人公は素晴らしかったです。時々涙も出ました。良い作品でした。

 

さて、先週すっかり書くのを忘れていたことがありました!なんであんなに感動したのに忘れていたのか!WBCですよ!ww 今更ですが週報として書き残しておきたいし、何度振り返っても良いので、いろいろあった感動シーンの中でも特に良かったシーンをピックアップしておきます。

Deep Purple大阪の日だった準決勝のメキシコ戦。朝から生中継を観ていて、「もうダメだ涙」と思ってホテルを出たんです。そして週報に記したように天保山に寄ったりしてから会場に入り、合流したスタッフに訊きました。「メキシコ戦どうなりました?」と。すると彼女は「言っちゃっていいのかな?」というので、あ〜これは負けたんだな〜泣と思いつつ、「言って下さい!」と答えたら、「勝ちましたよ」とのこと。え?マジすか?!!!!

この日は祝日でライヴ終わりが早くてラッキーw そそくさとホテルに戻って再放送を楽しんだのでした。そしてこのシーンですよ。大谷が9回裏でヒットで2塁に出塁しての「カモ〜ン!!!」ここですでに涙が出ましたよね。

そしてそれに応えてフォアボールを選んだ吉田。からの代走周東。そこからの村上ですよ!!あの周東の走りっぷりったら!!!!!

そして決勝戦、トラウトとの対決を制してグローブを投げ、帽子を投げる泥まみれのピッチャー大谷!最高だよ!!!!

いやもう何度振り返っても良いし、感動出来るし、なんなら胸熱さえ何度も込み上げてきます。ハイライトシーンの録画は消せませんw こうして書くとまた録画を観たくなってきました。とにかく良かったですね。人が思い切り集中して、あたかも命を掛けているかのような姿を見るのは、そしてその結果勝利を手にするのは、本当に最高です。が、勝利を手にしなかったチェコチームも大好きになったし、やっぱり野球って良いな〜!

これほど興奮し感動したのは、2003年のタイガース優勝以来かもしれませんwww って、もう3週も遅れてますが…やっと忘れず書けた私は大満足ですw

というわけで、弊社は3月決算なのにパープルツアーはあったし、その後体調は崩すし、さらに今週はまたボストン行ってきます。ジョー・ペリー・プロジェクトです。ゲイリーに会うのも楽しみです。あ〜、決算遅れます〜泣。