Amy's This Week

2020.06

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2020.06.30

6/22-28, 2020 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展と、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』

今週は4ヶ月ぶりに歯医者さんへ。特に問題があるわけではないのですが、問題が起きてからは遅い!ということで、コロナ以前は月イチで通っていました。結局行かない間も特に問題は起きなかったので、3回分得した気になっていましたが、3ヶ月空いたらしっかり初診料から計上され、毎月行っていた時のほぼ4倍の診療費!ww 世の中、そう甘くありませんねww

さて、本来であれば3月上旬に行く予定だったロンドン・ナショナル・ギャラリー展。無事に延期開幕となりました。プラス200円で日時指定券もゲットして、久しぶりの上野へGo! JRの改札口が移動していて、ビックリでしたww

日時指定となったおかげで、入場に並ぶこともなく、ロッカーも空いていて言うことなし。えてして美術展・展覧会などは来場者数記録を出して宣伝したがる傾向にあったと思うので、ある意味コロナのおかげで来場者数を増やすより、来場者が安全に満足出来る運営となり、むしろ良い結果になっていると思えます。「どんなことにも良い面がある」(『Sunny Side to Every Situation』ミュージカル『42nd Street』より)ということですね。

以前にもここで書いた通り、ナショナル・ギャラリーは私が世界一好きな美術館です❤️ 美術展内は撮影禁止ですが、入口には撮影OKの美術館の外観が。トラファルガー広場中心からの眺めに、思わず「ああ、私は今ライオンのそばに立っている!」と早速感動してしまいましたw

私の好みで展示作品の中からいくつか気に入ったものをピックアップします。まず最初の『イタリア・ルネッサンス絵画』ブロックから。これははっきりと現地で観た記憶にあるティントレットの『天の川の起源』です。

ギリシャ神話で、ゼウスが他の女に産ませた息子ヘラクレスに、妻ヘラの不死の力を持つ母乳を飲ませようとするも当然ヘラは拒否。するとゼウスは妻に睡眠薬を飲ませて息子に母乳を与えるのですが、ヘラクレスの吸い込む力が強過ぎて妻は目を覚ましてしまい、驚いて拒否しようとして、母乳が飛び散り星になった…という、何でもありゼウスのなんとも生々しいお話(そこがギリシャ神話の楽しいところw)です。

およそ紀元前15世紀頃に遡ると言われるギリシャ神話。当時は晴れた夜に空を見上げれば、さぞや見事な天の川が見えたことでしょう。当時のギリシャの人々が、それをミルクを流したようだと見立てて『ミルキー・ウェイ(天の川のこと)』と呼んだわけですが、この作品でもティントレットは飛び散るミルクを星として描いています。いかにもヴェネチア派な、鮮やかな色合いが魅力です。

次はオランダ絵画。今ナショナル・ギャラリー展の目玉作品の一つ、フェルメールです。最晩年の作だそうで、『ヴァージナルの前に座る若い女性』。全体的に色合いの暗いオランダ作品の中でも、また同じフェルメール作品の中でも、暗いです。ナショナル・ギャラリーにはもう1点、『ヴァージナルの前に立つ若い女性』もあり、実はそちらの方が明るく、鮮明に描かれていて人気があります。こちらは全体的に薄暗く、細部が雑に見え、他のフェルメール作品のように左側にある窓も見当たらず、光源は正面?よく分かりません。ある意味貴重な、珍しいフェルメール作品と言えますね。

穿った見方をすれば、だからこそ貸し出してくれたのかもしれません(^^; いつも思うのですが、世界の美術館はどこも、作品を数点貸し出したところで美術館は普通に開けていて、特に入館料の値下げがあるわけではありません。なので、自身の代表的作品を貸し出すことは滅多にありませよね。たまにあったとすれば、それは余程お金を積まれたのだろうな〜と思うわけですw ある時知人がスペインのプラド美術館へ行った時のこと。何と『ラス・メニーナス』が貸し出し中だったとか。それは本当に残念です(泣)私がプラドへ行った時は、着衣と裸の二点あるはずのゴヤの『マハ』が、裸しかありませんでした。両方一対で観たかったな。

この後ブロックはイギリス肖像画、グランドツアー、スペイン絵画、風景画…と続き、風景画の最後にあったのが、ターナーの『ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス』でした。やはり英国を代表するナショナル・ギャラリーの美術展なのですから、英国画家作品を堪能しなくてはね。さらに言えば、「ロンドンの」ナショナル・ギャラリーです。つまり、英国(ブリテン)ではなく、イングランドの首都ロンドンですから、ロンドン生まれのターナーこそ、最も代表として相応しいですよね。

とはいえ、実際にロンドンへ行くとナショナル・ギャラリー、さらにテート・ブリテンの二ヶ所にはまあターナーがたっぷりとありますw なので、どうしてもじっくり見るのは有名な戦艦テメレール号や、蒸気機関車などにとどまってしまうのが残念なところ。こうして一点だけをじっくり観る機会は、来日したからこそです。

古代ギリシャ、ホメロスの抒情詩オデュッセイアから、オデュッセウスが巨人ポリュフェモスを倒して島を去るシーン。作品の脇に展示された解説によると、左上の山の上にかすかに巨人が、右側日の出の中には太陽を乗せた馬車に乗るアポロンが見える…とあり、空いていることを幸いにかなりの時間、じっくりと巨人とアポロンを探すべく見つめました。が…私には見えるようで見えない!!ええ?この沁みのように見える部分がそうなの?ターナーは作品発表当時、モップで描いていると揶揄われたそうですが、私も「もっとはっきり描いて!」と言いたくなりましたwww もちろん、そこがターナーの魅力なんですけれどねw

そして最後のブロック、近代フランス絵画。一連の作品を何度も観ているのに、久しぶりに間近で本物を見たら、一筆一筆の絵の具の盛り上がりに息遣いを感じ、改めてとても素敵!と思ったのがモネの『睡蓮の池』でした。私が水彩より油絵を好きなのは、絵の具を感じることが出来るからだと思います。絵ハガキやこうしたネット上の画像では、その魅力は伝わりませんね〜。そこはやはり、美術展に足を運んだ甲斐があるというものです。しばらく、睡蓮の池の前で佇みました。

そして、過去何度も行った現地で気づいてもいなかった(苦笑)ゴーガンの『花瓶の花』です。私はゴーガンはあまり好きではないの。だってゴッホに冷たかったから…。と長年思っていたけれど、この作品は気になりました。どこか平坦な描き方や色彩から、妙に和風テイストを感じ、これはきっとゴッホも気に入っただろうなぁと思ったりして。実際には、ゴッホが亡くなって何年も経ってから描かれた作品でしたが。そういえば、タヒチっぽい色合いなのかもしれませんね。

そしてトリを飾るのはやはりコレ。ゴッホの『ひまわり』です。生涯で描いた花瓶に飾られたひまわりは7点あり、そのうち最初の4枚は、アルルで共同生活をするためにパリからやって来るゴーガンを迎えるために描いたもので、その内特に気に入った2点にサインをしました。その1枚が、これです。会場では分かり易く、一連の7作を並べた写真を掲示してくれていました。なるほど、その中ではこのナショナル・ギャラリーのひまわりが一番輝いているように、自信に満ちているように見えました。サインもはっきりと記されています。ゴッホが一番、希望に光り輝いていた時を写しているのでしょうね。感動的です。

ところで、この作品をゴッホ自身が模写した作品なら、いつでも新宿で見ることが出来ました。損保ジャパン本社ビルの上層階にあった美術館に常設されていたのですが、なぜ過去形かと言えば、この春本社ビルの隣に新たな建物が出来てSOMPO美術館としてリニューアルオープンの予定だったところ、コロナのおかげで開館が延期になっているからです。こちらも、早く開館してくれると良いですね。

というわけで、展示作品数はまあこんなもの?程度な気がしましたが(ごめんなさい!)、全61点全てが初来日というから、それは凄いことです!コロナに負けず、よくぞ開催してくれました。さすが国立西洋美術館。ありがとうございます。

大好きなナショナル・ギャラリーへ行くと、毎回ファン・エイク、ホルバイン、カラヴァッジオ、ボッティチェッリ、ダヴィンチなど、自分ではお決まりの作品との再会に夢中になってしまい、なかなか他の作品はおざなりな見方をしてしまう私。こうした機会があると、なんともったいないことをしていたのだろうと反省をしますw 開幕が変更となったので、10月までやっています。日時指定でゆっくり鑑賞出来るので、この機会にもう一度行ってもいいな、なんて思っています。今年一番の美術展でしょうね!
https://artexhibition.jp/london2020/

 

そんな週の一本は、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ / 私の若草物語』です。

中学生の頃に読んだ『若草物語』。永遠の名作は、普遍の感動を与えてくれます。過去何度も映画化されていますが、この作品の見どころはやはり21世紀ならではのキャスティング(ある意味メリル・ストリープもw)。次女ジョー役のシアーシャ・ローナンが、いかにも当時最先端のニューイングランドの女の子っぽくて、とても良かったです。愛を貫く長女のエマ・ワトソンもぴったりだったし、四女役『ミッドサマー』のフローレンス・ビューも、ここでは末っ子の甘さと現実的さが混じる繊細ながらどっしりとした役を、嫌味なくすっきりと可愛らしく演じていました。

そんな中、一人女優としては地味な存在、三女役のエリザ・スカンレンは、素朴ながら一番印象的な素敵な役で、隣家のおじいさんとのエピソードには泣かされます。存在が薄いからこその、儚い綺麗な演技でした。

そんな中、私が一番感動したのはティモシー・シャラメ!すっごく良かった❤️と、ハートをつけておこうww 『君の名前で僕を呼んで』の時は、どうしてもアーミー・ハマーが素敵過ぎて、ティモシーはお子ちゃまと思ってしまったし、その後も情けない役が似合うひ弱な若者だったけれど、ここではそんな彼の魅力が全開でした。お金持ちのおぼっちゃまで性格も良し。そんな人現実にはいない!と思うけれど、そこが児童文学の素晴らしいところです。大人こそ、こうした作品を観て心のお洗濯をしないとね。

 

先週に続き、今週もほぼ4ヶ月ぶりの友人に会い、4ヶ月ぶりに大好きな西安料理を頂きました。感動し過ぎて、写真は1枚しか撮らなかったwww 愛する人参&ジャガイモの冷菜、変わらずにいてくれてありがとう!!!美味しいものを食べて、コロナを避けつつ元気に梅雨を乗り切らねば。この週末で、弊社創立19周年を迎えました。頑張ります!