Amy's This Week

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7/13-19, 2020『コズミックガーデン』サンドラ・シント展@メゾンエルメスと、『透明人間』

幼い頃、時々親に連れて行かれた銀座は、私にとって不二家レストランとソニービルのドレミ階段がお楽しみでした。自ら行くようになったのは40歳を過ぎてからで、それまでは全く関係ない世界だと思っていたので、自分も歳をとったな〜と思ったものです。それが今やそんな感慨も一切消え、あれほど通っていた渋谷より、もっぱら銀座の方が慣れ親しむようになってしまいましたw

そうした感覚は大体皆同じようで、友人たちと会うのも今は銀座が一番多くなり、今回は友人のお誘いでメゾンエルメスでの美術展に行ってきました。一人で行こうとは考えもしなかったww

銀座の中心、四丁目の交差点といえば三越、和光、日産ビル、数寄屋橋の交差点といえば、誰もがソニービル!と答えていたでしょう。が、3年前の春にソニービルがなくなってしまいました。建て替えをするそうで、それまでしばらくはソニーパークという名で建物は地下のみ。すると俄然、目を惹くようになったのがエルメスビルでした。いえ、メゾンエルメスですね。

ソニービルがある時には、晴海通りに面したショップ入口しか目立たなかったのに、ソニービルがなくなってみると、それは氷山の一角であったことが明らかに。ビル側面の存在感たるやもう、クリスマス時期になど行ったら、その壮観に絶対写真を撮りたくなりますw 今回私が行ったのは昼間でしたが、公式サイトに素敵な写真があったので載せますね。この角度はどこから撮ったのでしょう?ドローン撮影?

女性なら誰しも、ハイブランドへの憧れがありますよね。私など旅好きであり、旅も仕事の一部だったので、世界各地の免税店という誘惑がありますw それでも改めて思い返せば、自ら購入したエルメスは人生でカレ2枚だけでした(^^; それほど、手が届かない存在です。だからこそ、ギフトやお下がりで頂いた物は、本当に大切にしています。

そんな私が、ギャラリーとはいえ今回突然エルメスに行くことになったので、取り敢えずブランドへの敬意を表すためにブレスレットを一つ身につけて、初めてのエルメスギャラリーへGo! ギャラリーは8階ということで、ビル中央のエレベーターヘ真っ直ぐ向かうと、セキュリティーが。「こんにちは」と挨拶をして、「ギャラリーへ行きたいのですが」と言うと、エレベーターボタンを押して下さいました。ハイブランドのお店へ行く時は、緊張しながらも礼儀正しくすると、とても親切にして頂けます。敬意を表するということはとても大切ですよね。

エレベーターの中にもスタッフがいて、自分でエレベーターボタンを押す必要がありません。これはこの時期ありがたい!エレベーターボックス内の背面はガラスになっていて、壁に無数の美しいカレが縦に並んでいました。エレベーターの上昇に合わせて下へ流れて行く連続したカレを見ているだけで楽しい!「これは本物のカレを張っているんですか?」と尋ねると、「本物のカレのデザインを壁にプリントしています」とのこと。確かに、シルクの布を貼るわけないですねw

会場へ着くとお出迎えのサイン。美術展では、いつも一人ではなくても話をしないようにしていますが、ちょうどその時のギャラリーの観客は、私たち二人だけ。さらなる緊張感を覚えつつ、やがてはアートに吸い込まれるような錯覚の中、無言で観て回りました。

ブラジルはサンパウロを拠点として活躍するアーティストのサンドラ・シントは、メゾンエルメス銀座のガラスブロックを意識して、いえガラスブロックをむしろ自らの芸術の一部として、6人のアーティストと共に毎日6時間、2週間かけてこの世界を創り上げたそうです。まずは晴海通り側の明るい『朝』のイメージから。

ところどころにあるパネルに描かれたイメージが、そのまま壁面に広がっていきます。

白いペンのドローイングは、とても緻密で繊細。離れて眺めてみたり、接近して見入ってみたり、飽きずにずっと観ていられます。

この制作風景は、頂いた豪華なブックレットの中の写真です。

そしてその後明るい水色が深みを増し、奥には夜の光景が広がりました。靴を脱いで、サンドラ・シントのドローイングがプリントされたカーペットの上に上がります。同じように制作されたクッションもありました。ふと気づけば、かすかに鳥のさえずりが聞こえました。他にも水の流れる音や虫の鳴き声もあるそうです。あとで知ったのは、わずかにラベンダーの香りも漂っていたそうで、ああ、もっとクンクンするんだった!w

しばし銀座の喧騒の最中にいることを忘れ、贅沢な時間を味わうことが出来ました。入場は無料であるのに、豪華なカラーブックレットも無料で頂け、エルメス財団の支援はアーティストのみならず、観客にも翼を広げているんですね。企業が文化・芸術を支援する活動をメセナと呼びますが、これは古代ローマ最初の皇帝、アウグストゥスの側近二人(軍事面ではアグリッパ)のうち、外交・政治面で支えたマエケナスが語源です。古代ローマの考えが、2000年以上経った今エルメスにしっかりと受け継がれているというのは、深い感動であり、感謝でしかありません。

元々5/10までだった同展は、緊急事態宣言での中断があったため、再開後7/31(金)までと延長になっています。私たちは昼間行ったので、ガラスブロックを通した光を受けて広がるコズミック・ガーデンを楽しめましたが、夜に行けばまたガラスブロックを通した銀座の灯りが反射して、特に夜のパートなどは幻想的に楽しめるかもしれません。最終入場が19:30なので、ギリに入るのも良いかもしれませんね。

エルメスといえば、良い思い出があります。10年以上前のこと。プライベートでパリに遊びに行くことになり、それをとある友人に告げると、「あら、じゃあバーキンを買ってきて!」と言われたのでした。なんと!そんなの無理に決まってるじゃない!と言うと、「なんで?大丈夫よ」と、ハイブランドに慣れている彼女はことも無げに言うのでした。私はといえば「まず着て行く服が無いし、バッグもないし…」とオロオロ言うと、「服なんて冬なんだからコート着れば下はデニムで全然平気よ。バッグは…じゃあ使わないのあるから、1個あげる」ということで、後日本当にキャンバス地のエルメスバッグをくれたのでした。しかも大きさの違う付け替えも一緒に!

この時貰ったバッグが、今でも私が持つ唯一のエルメスのバッグ。というか、生涯唯一のエルメス・バッグですねww そんなわけで、もう行くしかなくなったメゾンエルメス、パリの本店です。それまでに散々、フランス人は意地悪だとか、冷たいだとか聞いていたのに、まして超ハイブランドなエルメスですよ。一緒にパリに行った友人は当然付き合うのは無理ということで、ついに覚悟を決め、別行動の日にいざ乗り込みました。お下がりのキャンバス地エルメスバッグを持って…。

ドキドキしながら入店。そして、パッと見渡したところやはりバーキンのディスプレイはありません。そこで、こわごわとスタッフさんに声を掛けたのでした。「こんばんは。フランス語が出来ないので、英語でよろしいでしょうか」すると、意外にもにこやかな対応で、「はい、何をお探しですか?」そこで「あ、あの、バーキンなんですが」「あら、それでしたらこちらへどうぞ」と奥へ案内され、カウンターの前の椅子を勧められました。「ここでお待ち下さい。ムッシュなんとかを呼んで参ります」

緊張して待っていると、にこやかなロマンス・グレーのムッシュなんとかさんが登場し、「ようこそ」と言いながら握手してくれました。これは誰かと間違われているのではないか?私は一見さんよ、と内心焦りながらも、優しいムッシュに尋ねられるままに友人のオーダーを伝えました。革の種類、色とサイズ。するとムッシュが「金具の色は?」と、予想外の質問が。「えっ?あ、それは聞いてきていないのです。どうしましょう…」と慌てると、ムッシュは落ち着いて「では、一般的に人気のあるゴールドにしましょう」と言ってくれ、無事にオーダー終了。そしてお支払いと、送り先記入…とまあ、なんともスムーズに、優しく対応してもらえたのでした。そこで、「こんな突然初めて来たのに優しく対応して下さり、本当にありがとうございました」と伝えると、ムッシュは「またいつでもおいで下さい」と、にっこりして名刺をくれたのでした。

良い思い出でしょう?w まだ中国人海外旅行者が少なかった、古き良き時代の思い出ですね。後日談としては、1ヶ月後に本当にバーキンが届き、2ヶ月はかかると思っていた友人は大喜びしてくれたのでした。ミッション・コンプリートした私も一安心。あれほど感じ良く対応してもらえたのは今でも不思議な感じがしますが、あのムッシュ、元気かな?ごめんなさい、頂いた名刺はどこかへ行っちゃいましたが…(^^;

その時が三度目のパリで、その後は休暇で英国のポール・マッカートニー公演を観てから、ユーロスターでパリに渡ってエアロスミスに合流…という、楽しい旅が最後のパリでした。コロナ禍で、海外旅行に出ることが叶わなくなった今、メゾンエルメス銀座に行ったことでパリでの出来事が無性に懐かしく思い出されました。

 

そんな週の一本は、『透明人間』です。

『ゲットアウト』『アス』『ハッピー・デス・デイ』シリーズなど、最近の私のお気に入りは全てブライムハウス作。さらに『ソウ』シリーズの脚本家リー・ワネルとのタッグということで、かなり期待していました。その結果は、期待通りでした!

もともと私はホラー作品が大好き。だって、とにかくこれは映画。実際に人間を殺すわけないし、本物の血をピューンと飛ばすわけないし…と、現実的に考えてしまうので、怖いというよりは良く作った!と感心するほうです。なので『ソウ』シリーズも、最近では『アス』など血しぶきあげて殺されまくりな作品は、怖いどころか面白くて大好きなくらい。むしろ何よりも怖いのは、実際にいるかもしれない普通に見える人なのです。いわゆるサイコパスね。これはホント怖い。だって、ほら、すぐそばにもいるかもしれないから…。

割と最近、友人の一人がサイコな男に付きまとわれて大変なことがありました。私自身も昔ストーカーにあったことがあるし、DV男(付き合っている時に一度だけぶたれて、別れました)に出会ったこともあるので、人ごとではありません。全く、そういう人たちに限って外面が良いというか、第三者にはまるで被害に遭っているこちらの方に非があるように見られたり…と、関わってしまうと大変な思いをする羽目に陥るのです。が、そもそも関わった当初は感じが良かったから深入りしたわけで、深入りしてみないと分からないアブナイ本性というものが厄介なのです。

…と、少し映画の話から逸れてしまいましたが、この映画『透明人間』。絶対にネタバレは出来ないので、あまり書くことないやww サンフランシスコ郊外の太平洋に面した豪邸が見事でしたw この作品は、過去に制作された『透明人間』映画のリブートだそうで、それらを観たことのなかった私だから面白かったの?とも思いましたが、今回、低予算で作られたにも関わらず先に公開されたアメリカでも大ヒットだそうです。低予算で大ヒットこそ、ブライムハウスの真骨頂ですねw かなりのオススメですよ。主役のエリザベス・モスが、すっぴんでボロボロになりながら熱演していたので、ここにはメイクした綺麗なエリザベスを載せておきますw

 

最後になりましたが…この週末の大ショック。三浦春馬、どうして〜?!!(号泣)3年前のNHK大河『女城主 直虎』の井伊直親役を見て大好きになりました。端正な顔立ちをくしゃっとさせて笑う直親。波乱万丈な人生で、最後は若くして無残に亡くなりました。ああ、亀〜!大枚叩いて買ったNHKのDVDボックスがあるのでw 三浦春馬の追悼上映会をひっそり開こう…。にしてもあれほど順調満帆に見えた人がなぜ?残念という言葉以外見つかりません。どうかどうか、心安らかに…。涙涙涙