Amy's This Week
2025.05
4/21-27, 2025 『どこ見る』展と、『HERE 時を超えて』
やった〜!!!決算資料まとめついにこの週終わりました!なんという開放感。なんという達成感w もうスキップしそうな勢いで上野に行ってきました。久しぶりの西洋美術館。『西洋絵画、どこから見るか?』展、通称『どこ見る』展です。
上野ではここが一番好きなのにホントお久しぶり。なんだかよく分からないタイトルになっていますが、よく見れば『サンディエゴ美術館』ですって。なんと。サンディエゴへは何度も行ったのにこんなにヨーロッパ絵画が揃った素敵な美術館があったなんて。次に行く機会があったら絶対に行かなくちゃ!!
それにしても、静物画をポスターにするなんて珍しいですよね。静物画結構好きなんです。ポスターには『静物画の最高傑作』とあります。それはどうして?wと思いつつ、この誰かが『最高傑作』と思う静物画をじっくり見て最高傑作の所以を探りたいと思いました。
入口で注意書きをチェック。なんと全作品撮影可でした!ブラボー!入口に掲げられた巨大な4作品ですでに私の好きなものだ!と大興奮。やはり私は西洋絵画、しかもルネッサンスが一番好きです❤️
おお〜!なんだこれは。『マグダラのマリアの回心』by ベルナルディーノ・ルイーニ。この人レオナルド・ダ・ヴィンチの弟子の1人だったと言われている人です。あー右の女性の顔や髪が見事なスフマート技法じゃないですか。そしてこの手!この指!!
これはルーブルにあるダ・ヴィンチの『洗礼者ヨハネ』です。手の動きが似ていますよね。そんなダ・ヴィンチの弟子の作品がサンディエゴにあったとは驚愕でした。
絵画展の展示方法ってライヴのセットリストの組み立てと似て、まず一発目でガツンと掴もうとしますねww 見事にやられたわw これから途中眠くなりそうなパートを挟んで、終盤は畳み掛けるように盛り上げるんでしょうねw
『聖母子』by アンドレア・デル・サルト。ルネッサンス最盛期を支えたロレンツォ・メディチがすでに亡くなっていたフィレンツェで、ローマに出ず、フィレンツェで伝統を守っていた人らしい。額縁を窓に見立てたのか、キリストを窓枠に立たせているのが面白いです。
『ダヴィデを装った若い男の肖像』by ヤコポ・ティントレット。え?あのティントレット?しかも国立西洋美術館所蔵?二重に驚きましたw そうか、東京にあったのか…。常設展は何度か観たことありましたが、まだまだ観ていない、覚えていない作品がたくさんありますね。てかティントレットですよ。ヴェネツィアの。『天の川の起源』の。ヴェネツィアではドゥカーレ宮殿には中に入って観光したけれどアカデミア美術館には入っていないんですよね。コロナ禍の日々では私、コロナが明けたらヴェネツィアに行こうと願いそれを支えに、希望にして過ごしていたのに、実際にコロナが空けてみたら即現実に戻ってアメリカにばかり行っています。ヴェネツィアに行きたい!!!
あー!これめちゃくちゃ好きです!!『アポロとダフネ』by パオロ・ヴェロネーゼ。ルーブルにある『カナの結婚』を描いたヴェロネーゼです。サンディエゴには意外にもヴェネツィアの画家作品が多いんですね。興味深いです。あの大作『カナの結婚』はもともとナポレオンがヴェネツィアから略奪してパリに持って行ったんですよね。ナポレオン失脚後いくつかはイタリアに返還されたのに『カナの結婚』はルーブルが返還を拒否。それほど巨大な『カナの結婚』は価値があると思われたのでしょうが…それに比べたらこの『アポロとダフネ』はかなりの小作品です。事実サンディエゴ美術館が購入出来たのですからw でもめちゃくちゃ魅力的だし、これがヴェロネーゼってもう、サンディエゴ最高かよ!!!!!
ちなみにこの『アポロとダフネ』はギリシャ神話で、エロス(ローマ神話ではキューピッド)を揶揄ったアポロがエロスに金の矢(最初に見た人に恋をする)を射られ、また同時に近くにいたダフネは鉛の矢(最初に見た人を忌み嫌う)を射られます。その結果アポロは恋焦がれるダフネを追いかけ、ダフネは嫌で逃げ回りついに追い付かれる瞬間、神である父に人間以外の姿に変えて欲しいと願い、父に月桂樹の姿に変えられたのでした。この作品はその瞬間ですね。アポロもダフネも、そして父も全員哀しいお話です。
その後のお話もあって、愛するダフネが月桂樹に姿を変えてしまったことを嘆いたアポロが、「せめて私の聖樹になってほしい」と願うと、月桂樹が頷くように枝を揺らしてその葉がアポロの頭上に落ちたとか。それでアポロは月桂樹の葉で冠を作り、ずっと被るようになったのです。やがて月桂樹はその常緑性や浄化能力から勝利の象徴になるのですが、お話としてはアポロは負けたのでは?と思ってしまいますね。
こちらは大好きなモティーフ、『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』by ティツィアーノ・ヴェチェリオと工房(まあティツィアーノの弟子たちが描いたってことかな)です。よく男性の首をもつ女性の作品がありますが、サロメかユディットか混乱しますよね。自らの剣で首を切るのがユディットで、他人に斬らせてお盆に乗せて持ってこいと言ったのがサロメですw しかもサロメは母に言われたから。つまり一番悪い女はサロメの母親でしたw
面白いのは、よく舞台で演じられる『サロメ』は有名なオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』が元で、オスカー・ワイルドのサロメは新約聖書のサロメとは異なり、ヨハネ(戯曲ではヨハナーン)に恋をし、が拒絶されたために逆恨みをしてヨハナーンの首が欲しいと王に所望しますね。自らの意思だから、気の弱い母の言いなりとはかなりイメージが変わってきます。でもこのティツィアーノ工房はじめ、ルネッサンスの画家たちが描いた頃は19世紀のオスカー・ワイルドが生まれるずっと前なのでまだ『気の弱いサロメ』。「生首ちょっと怖い」的な雰囲気が出ていて可愛いかもしれませんw
次はまたヴェロネーゼで『聖カタリーナの神秘の結婚』です。聖カタリーナといえば『車輪』ですが、この作品の中に車輪はありませんね。神秘の結婚とはカタリーナの夢の中での出来事だからでしょうか。祝福に満ち溢れたシーンなのですね。背景の木の雰囲気が『アポロとダフネ』のダフネが変身した月桂樹と同じです。同じ画家によるので当たり前といえば当たり前ですが、これぞキリスト教の勝利の象徴ではないでしょうか。
今回思わずギョエ〜!!!と叫びそうになったのがコレ。なんと、サンデイエゴにヒエロニムス・ボスがいたとは!!!私の大好きなボス。ボスの『キリストの捕縛』です。いやもう、この美術展はここで終わっても大満足なボスでした。展示にはヒエロニムス・ボス(の工房)と、カッコが付いていましたけどねw 100%ボスの手によるとは証明出来ていないからなのでしょう。でも良いんです。ボスの工房ってことはそこにボスがいるんですから。それにこの表情ったら!これぞボス印ですよwww なのに興奮していたのか、もう作品の中に非常口の明かりが映っていたのに気づかなかったとは致命的な大失態でしたorz
でも良いの。実はMR.BIG以降ずっと決算のせいでバタバタ。そんな時はふと美術展の前売りを買ったりしてストレス発散していたのですが、なんとこの美術展、私2回も買ってしまっていたのですよwww だから良いもん。もう1回行けるからww またボスに会いに行きますw
それにしてもキリストのされるがままな表情に対して、後ろから抱きつき「こいつだ!」とキリストに接吻した直後(直前?)のユダの憎たらしい表情ったら。まさに邪悪顔。その後ろの役人はユダが抱きついた人がキリストと周囲に分かるように松明を持つ手を伸ばしてキリストを照らしているんですね。手前の赤い服が剣を持ってキリストを守ろうとしたペテロ…でしょうが、まるで漫画みたいww 剣は欠けているしね。そしてカンテラを持つ多分役人(?)には袖を噛みつかれているし、全くもうこのドタバタ劇は、聖書を嘲笑っているかのようです。当時問題にならなかったのかな?まあボスなのでw この作品なんてめちゃ写実的な方ですよね。「ボスなんだから仕方ない」と周囲は諦めていたのかもしれませんww ボス、サイコー❤️
さて、豪奢な祭壇画です。『三連祭壇画:キリスト磔刑』by ヨース・ファン・クレーフェ。え?これも国立西洋美術館所蔵?なんと。ちゃんと観ていませんでしたね。ごめんなさい。
ファン・クレーフェという名前とこの作品とですぐ思い浮かべたのはファン・エイクの『三連祭壇画:神秘の子羊』です。似ているの名前の「ファン」だけじゃん!って思いますがw この人はアントウェルペンってアントワープ。ファン・エイクはゲントだからどちらもベルギーです。あ〜クレーフェの方が7-80年後なのか。これはファン・エイクの影響をバリバリに受けていても当たり前ですね。今ではベルギーですが当時はフランドル。フランドル絵画も大好きです。この緻密さ。撮影OKなので拡大してみました。
キリストの荊棘の冠が大きめです。左奥には岩の洞窟の中に住む貧しい人々が見え、遠景には豪華なエルサレムの城壁が見え、その中は教会や多くの建物が見えます。それにしても、右側の人たちがよく見るにつけおかし過ぎるw 鉄の兜を被っているのがたぶんローマ兵でターバンみたいな帽子を被っているのがユダヤ兵なのだとは思いますが…まずもってローマ兵が間抜け顔だし衣服がおかし過ぎる。服におへそも乳首も付いてるし、何あの股間の羊(やぎ?)はwwww 盾もこんなに修飾されてはいないし、そもそもローマ兵はヒゲを剃ります!ww キリストを磔刑に処したのですからローマ兵は悪者。そこを悪そうに描くのではなく間抜けそうに描くところに画家の意地、或いはスポンサー(教会へこの絵を寄進するお金持ちの信者)への気遣いを感じます。いや〜細かく観ると面白いですねー。
右側を見ると…中央画のエルサレム城壁の外にある川から続く入江が見えます。船がいるしね。手前も川かもしれないけれど、大体エルサレムから西の地中海も、東の死海も、いずれも現在で30km以上ありいくら遠近法といってもこれほど近くに見えるのはあり得ないですよね?右端の小屋の前にはブリューゲルの描く農民的な2人が歩いていて、その後ろには小さくアヒルや猫?が見えて楽しいです。女性の左奥には馬も見えました。ホント面白い。
さて左側は…祈るおじさん、もとい修道士でしたが、写真がビミョーにボケていたのでボツにしました。でもこうしてアップクロースに見ることが出来るのも、撮影OKのおかげ。めっちゃ楽しいです!
次も三連で『アレキサンドリアの聖カタリナの神秘の結婚』by フランクフルトの画家。って、作者不明なのですね。それでもフランクフルトの画家ということが分かっているのが興味深いです。だってこの羽。めっちゃダヴィンチの処女作『受胎告知』に似ていませんか?
ダヴィンチの『受胎告知』はフランクフルトの作品の25年くらい前の物なので、十分影響を受けていることが考えられますよね。イタリア・ルネッサンスがドイツにまで影響を及ぼしていたとしたら、この無名のフランクフルトの人の後にあのデューラーが続くのかな。あ、いえ、フランクフルト作品は1500-1510年頃の作品で、当時すでにデューラーは30歳くらいだったので、そうか、ほぼ同時期!デューラーはニュルンベルクなのでフランクフルトとは東京-静岡くらいの距離だし、デューラーはフランクフルトにも行ったことがあるようなので、影響を受け合っていたかも?しれないです。なんだかこんなふうに考えていくと本当に面白いです。
続いてこれぞまさに私の大好物!ファン・エイクさながらの豪華さです!『玉座の聖母子』by アドリアーン・イーゼンブラント。これも国立西洋美術館所蔵。もう、灯台下暗しですw アドリアーン・イーゼルブラントって知りませんでした。でもブルージュで亡くなったとのことなのでファン・エイクのゲントに近いですね。同じ匂いがしますw この緻密さが堪らない。めっちゃ隅々まで拡大して見ましたよ。そしたら…気付いたのですが、玉座って普通屋内にありますよね。でもこの作品だと足元の下が地面で植物が生えています。これは例えば、庭にある玉座なのですか?すごく不思議です。
同じくアドリアーン・イーゼンブラントの『『聖母子と天使』こちらはサンディエゴ美術館。だから並べてみたのですね。こちらは出窓に座っているのかな?と思いましたが当時ここまで大きく透明なガラスは無いですよね。では広いベランダ?微かに柱の上に屋根のような庇のような影が見えますね。じっくり見るといろいろ不思議なところに気付きました。
あーここまで長かった!ようやく本日のメインイベントに到達しましたよwww この美術展のメインビジュアル。『マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物』by ファン・サンチェス・コターン。1602頃のスペインでボデゴン(スペイン特有の静物画)の先駆者ですが、若くして修道士になってしまったので非常に寡作なのだとか。この人に一体何があったのだろう?
この作品の魅力は奥の漆黒の闇(何か写って見えるのは私の撮り方のせいですw)。そして強い光と影。私の好きなカラヴァッジョ風とも言えるけれどやはりスペインですから、ベラスケスやエル・グレコ風と言った方が良いでしょうね。いかにも日差しの強いスペインの画家作品と思わせます。
ずっと観ていると不思議に思えてくるのが影について。この強い光は正面やや左側から当たっていますが、小さくカットされたメロンやキュウリの影のつき方がおかしいように思えました。さらに、上から吊るされたマルメロとキャベツの影はどこ?考えれば考えるほど不思議。もちろん写真ではないので何でもありなのですが、画家は何か意図していたのでしょうか?うーん、この美術展のタイトルが『どこ見る』で、この作品がメインビジュアルの理由が分かったような気がしてきました。
あまりに可愛いこの子は『神の仔羊』 by フランシスコ・デ・スルバラン。サンデイエゴ美術館所蔵です。手足を縛られ頭上に微かに光輪があるところから、神に捧げられるために犠牲になった子羊ちゃん。思わず触りたくなるフワフワ感が堪りません。
面白いなと思ったのは、同じ画家で同じモティーフの作品がプラド美術館にありました。大きな違いはプラドの『神の仔羊』には立派なツノがあること。ん?仔羊にツノはありませんよね?まるで悪魔の象徴の山羊みたい。あと頭上の光輪がなく、手足を縛る紐もしっかりとしていてナマナマしいです。いかにも生贄といった風情だし、まるで悪魔を成敗したような感じがします。
それに比べるとサンディエゴの仔羊ちゃんは本当に可愛いし、可哀想だし、でも神々しさも感じられます。展示場を出ると物販がありますが、今回はこの子のぬいぐるみが販売されていました。めっちゃ可愛い!!!欲しい。そしてもし買ったら真っ先に手足を縛る紐を切ってあげたいw めちゃくちゃ悩んで行ったり来たりしてしまいましたが、いやいやぬいぐるみやクッションはやたら持っているので諦めました。ん、もう一回来るしねww
…というところで、今回はここまでにしておきます。『どこ見る』展は本当に本当に素晴らしいです。同じ作者の作品を見比べてみたり、同じ時代(ルネサンス、バロックなど)の作品を見比べてみたりなどとても興味深い組み立てで、特に私はルネサンス、北方ルネサンス(フランドル派)、バロックなどが好きなので、それらのコーナーでは内心キャーキャー大騒ぎしていましたww
まだまだ展示はあるし、自分で撮った写真もあります。ボス作品の撮影に失敗したしw 必ずもう一度行くので、残りはまた次の機会に書きますね。もうキリが無いからww
そんな週の一本は、『HERE 時を超えて』です。
監督がロバート・ゼメキスでトム・ハンクスですよ!これが名作でないわけないのに、なぜあまり宣伝されていなかったのかしら?うかうかしていたら見逃していましたよ。
観終わってみたら…なぜ地味な扱いだったのか分かった気がしましたw まあ作品自体が地味なんですよねw 定点カメラのような視点で一つの家の中の光景を見続けるアイデアは、日本のようにいちいち家を建て替えない文化ならではで私は面白く興味深い作品と思いましたが。俯瞰して見ればそれぞれの一般家族の有り様はさほどドラマティックではないながら、やはり100の家庭に100のドラマ有り。じんわりと面白さや哀しみや愛を感じることが出来、主人公がトム・ハンクスなことに深く納得しました。
そのトム・ハンクスと妻役のロビン・ライトが10代からおそらく80代まで演じていて、でもとにかく自然に若く、自然に年老いていたのが素晴らしかったです。特殊メイクだけではなく巧みなハリウッド最高峰のSFX処理があまりに自然。現在のトム・ハンクスは60歳過ぎているはずなので、10代頃の映像には「本当にトム・ハンクス?」なんて思いながら食い入るように観てしまいましたよw
そんなトム・ハンクスとロビン・ライトといえば『フォレスト・ガンプ』(1994)なんですよね。レストラン『ババガンプ』も大好きなのに私観ていないのorz 1994年は現在に繋がる仕事を始めたばかりで、全く映画を観るゆとりがなかったのかな。映画はシアターで観るのを基本としている身には、タイミングを逃すと本当になかなか観ることが出来ません。今度飛行機に乗ったら観ようかな。
上野の美術館・博物館に行くと、暑い時はどうしてもスタバを素通り出来ません。コーヒー・フラペチーノに呼ばれるのw がこの時は絶対飲みたいと思っていたICHIGOフラペチーノをついに飲むことが出来ました。大感動!美味しかったわ〜。期間限定なのであと3-4回は飲みたいです!
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