Amy's This Week

2020.04

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2020.04.08

3/30-4/5, 2020 『ナイチンゲール』と、私のTop 10 エグ怖名作映画 All Time(笑)

いよいよ東京のCOVID-19は深刻な状況となり、緊急事態宣言が発出されることになりました。だいたい感染してから潜伏期間が2週間あるという事で、桜が咲き、春の陽気になった先月春分の日3連休に外出した人々の感染結果が表れ、連日100名以上感染と判明したからなようです。そうか。では、2月のラスヴェガスからは帰国後すでに6週間以上。ヴェガスTPに行った皆様(私も含む)は明らかにセーフと言えますね。それは本当に安心しました。

先月からすでに美術展やライヴなどが続々延期となり、それらがここ週報のメイン・テーマだっただけに、何を書こうか悩む日々になっています。そこで毎週の『今週の一本』をメインにと思いつつも、すでにシアターに行ける状況でもなく。なので、取り敢えずは3月に観貯めておいた作品をピックアップしつつ、それらが尽きたら、今年観た作品から週報にはボツになった作品(笑)を取り上げていこうと考えています。それが尽きたら…?それはその時ですねw

 

そんな緊急事態宣言直前となる今週の一本は、『ナイチンゲール』です。

あの誰もが知っている看護師さんのお話ではありません。ヨーロッパに多い、鳴き声の美しい鳥の名前。そして、この作品の主人公であるクレアも美しい声で歌う人でした。「あまりにも過激な内容とバイオレンス描写で、ヴェネチア国際映画祭を揺るがし二冠!」「慟哭のリベンジ・スリラー!」などという宣伝文句で、めちゃくちゃ期待していましたが、少し期待し過ぎだったかも?(^^;

「リベンジ・スリラー!」、「あまりにも過激な内容とバイオレンス」と言われても、いやいや、これ以上過激なリベンジ・バイオレンスはいくらでもあるでしょう(^^; (←かなり『過激』に耐性のある私の意見ですw)

ですが、底抜けの不愉快さがありました。後味も悪い。それはなぜかと考えると、21世紀の民主主義国家に生きる身からすれば、あまりにあらゆる差別があり過ぎるからだと気付きました。このダイバーシティーの世からは想像も出来ない理不尽さ。観ていてお腹の底から、ムカムカと不快感・嫌悪感が湧いて来ました。

時は19世紀。主人公の女性は、流刑されてオーストラリアのタスマニア島にやって来たアイルランドの囚人です。罪状は分かりませんが、19世紀という時代柄、『レ・ミゼ』のジャン・バルジャン同様微罪なのではと想像がつきます。ここで彼女に同情出来るかと思いきや、彼女もまたアボリジニに対して非情なる差別的態度を取るのです。

あまりに多くの差別に辟易します。その差別も、単に虐められる程度ではなく、もう人としての扱いがなされないのです。
囚人 < 将校
アボリジニ < 白人
アイルランド < イングランド
植民地 < 本国
女性 < 男性
…などなど。本国イングランドから来た人非人白人将校から、囚人で女性でアイルランド人の主人公はトリプルで蔑まされ、植民地のアボリジニの女性などはいともあっけなく命を奪われてしまいます。あまりにも酷い。

バイオレンスとしては詰めが甘いくせに、精神的にやたら不快にさせる作品でした。そういう時代であり、そういう土地柄(舞台となったタスマニア島とは、たぶんオーストラリア国内でも離島が故にあらゆる面で進歩的ではない保守的な地域でしょう)…ということなのでしょうが、にしても、この消化不良的な不快感はムムムムム…な作品でした(^^;

 

そんなわけで、先週ずいぶんミュージカルについて書いたので、今回は『ナイチンゲール』での消化不良から、やたらエグくて、また怖くても「これはスゴイ!」と思える『エグ怖名作映画Top 10』を出してみることにしましたw

 

第10位:『アレックス』(2002)
これは酷い!驚愕のレイプシーンで成人指定のフランス作品です。壮絶であり凄惨なストーリーが、時間軸を逆行させて展開します。なので、ラストはまだ何も無かった平和な本来のオープニングシーンで終わるところが、むしろ衝撃的。十字軍の時代から「かわいい顔してあの子、わりとやるもんだね〜」なwフランス感満載です。

あの美しいモニカ・ベルッチですしね。最低なシーンに最高に美しい人を使うわけです。そして、公開当時夫婦だったヴァンサン・カッセル!浅はかなヤツ、喧嘩っ早いヤツ、弱い犬ほどよく吠える的なヤツ…を演じさせたら最強です。大好き!

タダでさえ逆回転的展開なところ、わざとブレブレ、グルグルで、『ブレアウィッチ・プロジェクト』的な不快さも加わり、本当に酷い作品です。が、なぜかしばらくするとまた観たくなる?

 

第9位:『悪の法則』(2013)
監督はリドリー・スコットですから、間違いなし!しかもこの豪華キャスト。キャメロン・ディアスが怖いよ〜ww

ホラーではないのに、エグい殺人シーンや殺人小道具(!)などがむしろずっと現実的で恐ろしいです。メキシコの麻薬カルテルの残酷さは、本当に情け容赦ありません。

テンポが早く、ついていくのがやっと。いや、ついていけないかもw だから必ずもう一度観たくなります。こうした冷酷でスピーディーな展開はさすがリドリー・スコット監督だし、これまたさすがあの『ノー・カントリー』の原作者で、本来ならもっとずっと上位に挙げたかったのだけど、邦題のダサさが唯一の減点要素(^^;  なぜシンプルに『カウンセラー』にしなかったのかな〜(^^;

 

第8位:『ゲット・アウト』(2017)
ジョーダン・ビールというコメディアンの初監督作品ながら、アカデミー4部門にノミネート、1部門で見事オスカー(脚本賞)を獲った話題作です。

ストリーそのものがやたらエグいです。そこへ導く伏線が多く張られていて、その回収のために必ずもう一度観たくなります。そして、怖さや不気味さの中にコメディアン監督ならではの笑える面白さもあって、これはヒットして当然と思えます。

実はエグさだけで言えば、同じジョーダン・ビール監督2作品目の『Us(アス)』(2019)の方がずっと上をいくのですが、全体的な面白さから、こちらを挙げました。

 

第7位:『アメリカン・サイコ』(2000)
エグさだけで言えばダントツですよねw 先に本で読んでいて、映画化を知った時から大いに期待していました。果たしてどこまで映像にするのだろうと。そして、本を読んでいる時に文章を元に十分イメージしていたので、実際の映像を観た時にはそれほど驚愕の衝撃!というほどではありませんでしたw

でも『アレックス』でのモニカ・ベルッチ同様、何と言ってもクリスチャン・ベールだし、ジャレッド・レトやウィレム・デフォー、クロエ・セヴェニーなども出ているのでエグさの中に品さえ漂います。これ無名俳優で作っていたら、単なるB級グログロ映画になるところでしたww

見た目はパリッとしたエリート会社員。が、実はサイコパスで殺人者…という、いかにも現実にありそうなところが、一番怖い要素です。

 

第6位:『パフューム ある人殺しの物語』(2006)
この作品も私は先に本を読んでいました。原作者はドイツ人、映画はドイツ、フランス、スペインの合作、そして舞台はパリ。ヨーロッパ独特の上品さと下品さが、えも言われぬ雰囲気を醸し出します。野蛮に言ってしまえば単に変態のお話なんですけどねw やたらエモいです。

主人公のベン・ウィショーが良い。そう、『007』のQね。とても知的なイメージですが、この作品の中ではまさに無知という意味のナイーヴな青年。その透明感は、人を殺しても全く変わりません。

映画ではさすが映像の力。グロい冒頭はめちゃくちゃ臭いですw 思わず「うっ」と鼻を塞ぎたくなります。もちろん、本も映画も匂いというものは無いのですが(ソアリンじゃないんだからw)、これほどあらゆる良い匂いも悪い臭いも感じさせてくれる映画はありません。そしてラストは、グロい映像に素晴らしい香り(実際には匂わないんだけどw)というコントラストに圧倒されます。う〜ん、やっぱり名作だな〜。

 

第5位:『ハンニバル』(2001)
もう説明はいらない名作。リドリー・スコット監督にひれ伏しますw 前作『羊たちの沈黙』でクラリス役だったジョディ・フォスターが「エグ過ぎる」と出演を断ったため、ジュリアン・ムーアになったとか。ジュリアンもとても良かったです。

レクター博士は不動のアンソニー・ホプキンズで、さらに私の大好きなレイ・リオッタ!彼の脳みそを見せながらの怪演も最高でしたwww さらにゲイリー・オールドマン!どこがゲイリー・オールドマン?と全く分からないほどの特殊メイクもエグかったし、彼の殺され方もいやはやエグさの極致!原作と異なるラストシーンは、やたら続編への期待を持たせてくれたのに、スコット監督!お願いしますよ〜!

舞台がフィレンツェというのも最高だし、パッツィ家の陰謀とか、好きな材料しかない今作。『羊たちの沈黙』に比べエグ過ぎると賛否両論でしたが、いや、吹っ切れていて、突き抜けていて、前作を大いに超えていました。最高。

 

第4位:『エンゼル・ハート』(1987)
邦題が『エンジェル・ハート』ではなく『エンゼル・ハート』というところに、時代を感じますね〜ww もうトラウマになる程衝撃を受け、これ観てニュー・オリンズに行こうと決意したし、「エピファニー」とか「ガンボスープ」wとか、いろいろ覚えました。そして初めてのニューオーリンズでは、いかにも『エンゼル・ハート』な、中庭のある二階建ての植民地時代風ホテルを選んで泊まり、大感動したっけ。一度で十分でしたがww

大感動したのでもちろん、原作も読みました。本が発表された時は、その凄惨な内容から「悪魔のバイブル」と呼ばれたそうですが、あながちそれは間違いではありません。ルイ・サイファー=ルシファーや、エンゼル・ハート=天使の心=エンゼルの心臓?など、いかにもスティーヴン・タイラーが好きそうな言葉遊びもあって、もう隅々まで面白い。

グログロな映像が話題になったけれど、しっかりと中身の面白さがある名作です。美しい頃のミッキー・ロークも、郷愁を誘いますw

 

第3位:『セブン』(1995)
聖書にある『七つの大罪』になぞって猟奇的殺人事件が起こるという、デヴィッド・フィンチャー監督の出世作。公開から四半世紀経った今も、「衝撃のラスト」と言えば必ず取り上げられる名作です。

救いようのないバッド・エンディング。後味の悪さがズシーンと残ります。そこは『ナイチンゲール』と同じなのですが、やはり全然違い『セブン』が「最高の」バッド・エンディングと言われるのは、プロットの面白さや、映像の芸術性(グロいながらも)、そして、この頃まだ若くスウィートなイメージの残るブラッド・ピット演ずる普通の若者が、徐々に追い詰められ、終いには常軌を逸し己を見失うところが、あまりに切なく、苦しく、ある意味美しかったのです。途中まで我を忘れていたのに、最後で冷静になってしまう『ナイチンゲール』とはそこが違うんですね。(だから、比べるなってww)やっぱりブラピ良いわ!

 

第2位:『ナインス・ゲート』(1999)
やっぱりジョニデですw 子供が出来た時「子供に見て欲しい」と思って海賊や、チョコレート屋などの方向へ行ったというジョニデですが、本来はロッカーw ダークで、恐ろしい作品の方が圧倒的に似合います。

エグさ的にはライトな作品ながら、もうロマン・ポランスキー監督の存在自体がエグいですから。観ていてこちらがむせてしまいそうなほどタバコを吸い、どんどんダークな世界に吸い込まれていく主人公は、お金のためなら何でもするゲスな奴。セックスとバイオレンスが謎に絡まり、追いかけているようで実は導かれていて、ラストは「ええ〜??」ともう、全く後味の良いも悪いも訳分かりませんw ただ、ジョニデかっこいいww

ハリウッド・ヴァンパイアのギタリストという立場も板についてきた今でこそ、期待通りの演技で魅せてくれる一本です。

 

第1位:『アポカリプト』(2006)
「そう来るか!」と言われてしまいそうな選択ですねww いやだって、エグ怖映画ならメル・ギブソン監督作品を挙げないわけにはいかないし、『ハクソー・リッジ』も最高だけどアレは戦争物ジャンルに入れたいので。

私には縁遠いマヤ文明なので、それだけでも大変興味深くて面白くてたまりません。この映画を観たあとメキシコ・シティでティオティワカンに行き、太陽のピラミッドに登った時は、その階段を踏みしめながら「おお〜、あの首が転がった階段だ〜」と、ゾクゾクしたのでしたww

とにかく面白い。冒頭トラップでイノシシを仕留めるシーンから(それも伏線の一つ)、やがて人が殺されるもしくは殺されそうになる方法が、マヤ文明ならではの残酷さと斬新さ。メル・ギブソン監督曰く、人間の恐怖の根源となるのは「痛さ」だという通り、観ていて思わず「痛っ!」と叫びそうになりますww

とにかく文字通り疾走感のあるエグ怖映画で没頭して見入ってしまいますが、ラストでスペイン人の船が見え、ふと我に帰ります。そう、マヤ文明は16世紀スペイン人が持ち込んだ疫病で滅んでしまったという説が濃厚なんですよね。彼らには免疫のなかったウィルスを、他の大陸から来た人々が持ち込んでしまったのです。ということで、現代のCOVID-19がどこかの文明を絶滅させることの無いことを、切に願います。

 

…という訳で、必死でエグ怖映画を考えていたら、ついに東京に緊急事態宣言が発出されました。遅かったという声も少なくありませんが、GW明けまで…というケツカッチンであれば、1ヶ月で収めたかったんでしょうね。

以前、VIP VoiceでTabasaさんが教えて下さった除菌スプレーが、今大変役立っていて、私の周囲ではプチ流行り!Tabasaさん、貴重な情報ありがとうございました!

そしてChikaさん、素敵なドロウイングを送って下さり、ありがとうございました!これから1ヶ月ず〜っと自宅ですね(全国ではないし、例外のお宅もあるでしょうが)。少しでも楽しく過ごせるよう、またその楽しかったことをシェアして楽しみを倍増させるよう、愛するアーティストを描いてみたり、写真を掘り返してみたり、シュラインを作ってみたり…など、ぜひぜひVIPの皆さまならではのお楽しみをして、送って下さいね!

テレ朝のアナウンサーが言っていました。「明日は変えられないけど、2週間後は変えられます!」と。皆さま、Stay home!頑張りましょうね!!!