Amy's This Week
2021.08
7/26-8/1, 2021 聖徳太子と法隆寺展と、『プロミシング・ヤング・ウーマン』
暑いですね〜!東京オリンピックが始まって、テニスなど野外で試合をする競技で海外選手からクレームが来るのは解りますw それでもお天気ばかりは誰のせいでもないし、地球温暖化は年々加速し、想定外がスタンダードになりつつあります。驚いたのはこの週、東京より札幌の方が気温が高い日もあったようで。オリンピック最終日を飾るマラソンの日がそんなことになったら、選手と共に都民も皆ブーイングしちゃいますよ〜ww
私が小さな頃はまだクーラーの無い家もあって、それでも熱中症なんてありませんでした。1400年も前となれば、日本の夏もさぞ過ごし易かったでしょうね。今年は聖徳太子が亡くなって1400年だそう。トーハクの『聖徳太子と法隆寺』展に行ってきました。
奈良の法隆寺には、修学旅行を含めて3回行っているんですけどね。現存する世界最古の木造建築群ということは学校で教わったので、五重塔など建物はじっくり観た記憶がありますが、それ以外は…ほとんど覚えていませんでしたww それでも、昔の1万円札の柄は覚えていますよ!そのイメージと、このポスターになっている聖徳太子は、ずいぶん違いますね〜。
また正直に言うと、かつては仏像って皆同じに見えていたんですよね。スミマセン!音楽も映画も美術も宗教も、東洋には興味がなかったんです。そんな私が変わったのは2017年の運慶展から!本当につい最近ですww 以来、ずいぶんトーハクに行くことが増えましたが、法隆寺展は初めて。行く前に少し予習もして、かなり楽しみにしていました。
まずは国宝の薬師如来座像。7世紀の作品で、光背には用明天皇(聖徳太子の父)が、自らの病の平癒を祈願してこの仏像を作り始めたと彫られています。が、完成を見ることなく亡くなってしまい、聖徳太子が父の思いを引き継ぎ、弔いの気持ちも込めて完成させたそうです。 用明天皇の病気とは大陸から渡ってきた天然痘で、当時の日本は天然痘パンデミック。パンデミック収束を祈ってワクチン作り…ではなく、1400年前は仏像を作ったんですね。裳懸座(もかけざ)の裾の広がり、模様が美しいです。
法隆寺で金堂に鎮座しているこの薬師如来坐像は、高い台座(この展覧会では別に展示)の上にあり、そもそも薄暗い中遠くからしか観ることが出来ないので、これほどしっかりと間近で観ることが出来るのはとても貴重な機会です。ニューヨークの自由の女神像を思い起こさせる、酸化した銅の青味がかった色合いもはっきり解って感動的でした。
私が気に入ったのは、こちら。重要文化財の菩薩立像。7世紀、飛鳥時代のイメージ通りでかなり頭でっかちw よく見ると、顔や体のサイズと比べて足はさらに大き過ぎるような感じで、全体的にかなりバランス悪いですw が、袈裟の左右バランスは美しく、不思議な魅力がありました。それも黄金に輝く穏やかな表情のせいかしら。
そしてポスターにもなっている聖徳太子座像。こちらは12世紀平安時代の作なので、7世紀台の仏像に比べれば新しい方ですが、法隆寺聖霊院の御本尊で秘仏。だから観たことなかったんですね。年に一度の太子の命日にしかご開帳されないそうなので、こうして博物館でしっかりと鑑賞出来るのは貴重な機会。いつもトーハクでの展覧会で思うことですが、本家の奈良や京都に行くよりも東京にいた方が、貴重な日本美術を堪能出来る気がしますw 考えてみれば、聖徳太子は天皇にはなっていません。でも『和を以って貴しとなす』と言う言葉は、その後の日本人の価値観を形作ったと言えるでしょう。でも生年月日や没年月日は分かっているのに、本名についての当時の記録は無いなど、どこか不思議。
それでもだからこそ、同時に話す10人の話を全て聞き取り、それぞれに正確に答えた…という伝説もあるのでしょう。今回、聖徳太子について少し知ることが出来て特に興味深かったのは、聖徳太子の母は処女懐胎とか、太子は厩で生まれたとか、ほとんどイエス・キリストのようじゃないですか。が、そのイエス・キリストもさらに遡った釈迦誕生の逸話に似ているそうで、一体本当のルーツは誰なのか、気になりました。が、遡ればきっとどこかで神話になってしまうのでしょうね。いや、すでに釈迦の誕生自体神話のようなものかもw
また聖徳太子の興味深いところは、まるでスペインのマルゲリータ王女の肖像画のように、幼い頃からの姿の像が多く存在することです。これは鎌倉時代の『聖徳太子坐立像』。2歳の時に東を向いて合掌し「南無仏」と唱えた姿だとか。
これは平安時代の7歳像。
鎌倉時代の16歳像。こうして時代を遡って様々な像が造られたのも、やはり歴代天皇とは違う、超えた存在…と捉えられていたのでしょうね。
太子の没後100年弱の頃に記された日本書紀に聖徳太子の功績が多く載っていても、果たしてそれらが真実かどうかは他に資料が無いので判明しないそうです。がそんな謎も含め、いえ、謎めいているからこそ、聖徳太子は日本人の心のルーツなのかもしれません。そして、世界最古の木造建築ということでは現実に存在する法隆寺。
古代ローマであれば、紀元前のことであれ現存する建造物(例えば水道橋など)と同時に詳細な歴史資料もあるのに対し、日本ではローマより700年以上経った後でも詳細な資料は無く、確かなのは現存する建造物や像だけ。そんなところがまた神秘的で魅力的なのかもしれません。
今回私が特に魅力的と思ったのはこちら、地蔵菩薩立像(9世紀)。ポスターにもなった聖徳太子坐像とは約300年の開きがあるにも関わらず、法隆寺では並べて安置されているそうです。その理由も謎。そしてこの地蔵菩薩の眉間にある白毫は真珠です。なんと美しい!初めて見ました。これぞジャパンじゃいですか。とても素敵でした。
他にも多くの興味深い作品があり、実際に奈良の法隆寺に行ってもこれほどしっかりと見ることは出来ないはず。コロナ禍で日時指定で人数制限があるためか、2000円以上という高額な入場料になりましたが、その価値はたっぷりとありました。謎は謎のまま受け止めて、それこそが歴史ロマンと、日本文化のルーツを楽しむ聖徳太子と法隆寺展。9月5日までです。
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/index.html
…と聖徳太子と法隆寺展に行ったなら、そのチケットでこちらにも入れます(当日のみ)。
私の大好きな美しい貴金属がいっぱいあり、こちらは個人利用なら撮影もOK。たっぷりと目の保養をし、煌びやかな宝石を存分に撮って大満足でした。これで法隆寺展の入場料にも文句はありませんwww 行って良かったです。
そんな週の一本は、『プロミシング・ヤング・ウーマン』です。
今年のアカデミー賞授賞式を観てから、一番楽しみにしていた作品です。(5部門にノミネートされながら『ノマドランド』に負けて、脚本賞のみ受賞)ついに観れた!
詳しいストーリーは知らないままだったので、観終わっての衝撃は相当なものでした。ん、観終わるまでもなく、終盤の展開に「ええ〜?!」と本当に声をあげそうに!
もしも主演をマーゴット・ロビーあたりが演じていれば(彼女は今回プロデューサー)、もっと分かり易かったと思います。でもだからこそ、裏をかいてのプロデューサーだったのでしょうね。マーゴット・ロビーには無いキャリー・マリガンの線の細さ、存在の危うさが、終盤の衝撃をより大きくしたと思いました。
いやそれにしても…衝撃でした。なぜこんなことに。主人公はそもそも、学生時代の事件で精神を病んでしまっていた…というのをスタート地点とすれば、まあ一番納得出来るのかな〜。ラストをスッキリしたと言っても良いのか…いや、ダメでしょう。でも不幸中の幸いとか?ん〜、観終わって様々なレビューを読んでみても、私にはよく分かりません。
ただ、分からないままで良いのかもしれないと思いました。この作品は、あくまでも問題提起。実際に日本でもあるであろう問題、事件を、誰もが忘れないようにするために。そう考えると、本当に『ノマドランド」と良い勝負の、現代的作品だと思いました。多くの人に観て欲しいです。
さて、早くもオリンピックは前半が終了。思いの外日本頑張っていますね!これほどまでに柔道を観た週は生まれて初めてな気がしましたw ウルフ・アロンってどっちが名前でどっちが苗字?日本人は皆苗字が先?じゃあアロンが名前なの?え?アロンってAaron?じゃあ「アーロン」じゃないww 曽根ってSoneと書かれると「ソーン」って読んじゃうw 日本語読みしないとね。あ!そうか!アロンは日本語読みなのねww
これは外国選手がインスタ(?)にアップしていた画像です。おじさん素敵!私も嬉しくなりました。「So」が付いているところが、日本人ぽくて好感持てます。残り1週間。頑張れNippon!!
LATEST ARTICLE
-
11/18-12/8, 2024 TP前半ポートランド編と、『動物界』
-
11/11-17, 2024 昇仙峡遠足と、『シン・デレラ』
-
11/4-10, 2024 相国寺展で若冲三昧と、『トラップ』
-
10/28-11/3, 2024 Bウィークに『光る君へ』道長様の涙と、『2度目のはなればなれ』
-
10/21-27, 2024 暴風雨の赤城山と、プレ・バースデー
-
10/14-20, 2024 介護もどき後のLUNA SEAと、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
-
10/7-13, 2024 Androgynos The Final Warと、『哀れみの3章』
-
9/30-10/6, 2024 『サウンド・オブ・フリーダム』
-
9/23-29, 2024 サミー、メイデン、オリヴィア&タックと、『アビゲイル』