1/7-13, 2019 ルーベンス展と、『私はマリア・カラス』

毎年のことながら、お正月は楽しくも忙しいうちに過ぎ、やっと終わってゆっくり出来るかと思いきや日常の再開ですね。この週は本当にその日常が忙しく全くイベントは無かったので、前の週末に行ったルーベンス展について。



10月から開催していたのに、なんだかんだで年明けとなってしまったルーベンス展。祈るような気持ちで行きましたが、当然のように混んでいました(泣)。私の悪いところは、本当に混んでいるところが嫌なので、せっかく楽しみにしていた美術展でも、人が多いともうさっさと進んでしまうんですよね。あ〜、もったいないorz 王様に失礼だわ。

そう、『王の画家にして、画家の王』。その威風堂々たるルーベンス作品群は、迫力満点でした。日本の美術展で、あれほど大きな作品が展示されるお部屋があると、一瞬ルーブルにいるような錯覚を得ましたよ。あの、ダヴィッドの『ナポレオンの戴冠式』やジェリコーの『メデュース号の筏』、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』なんかが並んだお部屋ね。私にとってルーブルの一番好きなお部屋です。

で上野のルーベンスはというと、今回の目玉はなんといっても初来日の『聖アンデレの殉教』です。縦3メートルの大作です。
306 x 216cm



この作品は、美術館所蔵ではなくマドリッドにある王立病院の礼拝堂に寄贈されたものということなので、かなり貴重ですよね。私もマドリッドに行ったけれど、知りませんでした。これはありがたや。

そんな風に、美術展に集められた作品の出どころを確認するのも、かなり大切なことだと思っています。行ったことのある美術館所蔵作品でも、覚えていないものは多いし、今後の旅の目標になったりもします。ニヤッとしてしまったのはこちら。



『眠る二人の子』かわいい〜❤️ でもよく見ると…なんと、国立西洋美術館所蔵!普段は常設展にある作品を特別展に移動しただけでしたww ということで、この作品はルーベンス展が終わってもいつでも観ることが出来ます。別の意味でありがたやw

『聖アンデレの殉教』に戻ると、この珍しいX型十字に目がいきますが、これはアンデレ自身の希望だったそう(って誰が聞いたんだ?と思いますがw)師キリストと同じでは恐れ多く、同じ理由で兄弟子の聖ペテロはすでに逆さ十字を選んでいたので、アンデレはX十字にしたそうです。なので、聖アンデレを守護聖人にしているスコットランドの国旗もX十字。英国のユニオンジャックの中に組み込まれていますよね。そういえば、アメリカより圧倒的に英国人にアンドリューという名前が多い気がします。

ところで、このルーベンス作品では右の方に、民衆の声で磔刑を中止しようとする赤いマントを着けたローマ総督がいます。結局、X十字の上のアンデレ本人から拒否されるのですが、「だったら初めから磔にしなきゃよかったじゃん!」と周囲に言われそうな、滑稽にも見えるローマ総督です。が、もちろんローマにはローマの言い分があるのです!

私は古代ローマのファンなので、そこはどうしても悔しい思いがしてしまいますw だって、ローマは上下水道の設備や公衆浴場の建設(清潔な暮らしの提供)から、食料の安定供給、蛮族侵入からの防衛など、市民に平和な生活を提供したわけですよ。2,000年も前に。それに対する市民の義務として、兵役や納税があったのですが、ユダヤ人はそれらの義務をユダヤの戒律を理由に拒否していたわけです。それでもユダヤ教にとどまった人々は選民意識があったので広めはしなかったために大目に見ていた寛容なローマでしたが、キリスト出現で、キリスト一派はそれを広めようとしたわけです。義務を果たさず権利ばかりを享受しようとする人々が増えては国家の危機です。そこで、ローマとしては先導するリーダーたちを捉えたわけです。

ね?こうして考えれば、至極まともなことで、決してローマが酷かったわけではないのが分かるでしょ?でもキリストのパワーは広まるばかりで、最終的には結局ローマは滅びてしまいます。挙句、キリスト教が支配するヨーロッパの中世は、ローマの遺産(上下水道や浴場など)を踏みにじったばかりに、黒死病など不潔に起因する病に苦しむわけです。だから『暗黒の中世』…。とまあちょっと大雑把だけど、そんなローマファンの私にとっては、キリスト側についたこうした絵画には複雑な思いが湧くのでした。勝てば官軍ですね。

さて、ついローマが出てくると熱くなってしまうのでww 次に神話からの大作を。『エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち』。217.8 x 317.3cm



エリクトニオスというのは、カゴの中の赤ちゃんの名前で、この赤ちゃんは大地の女神ガイアから生まれた子。話は長くなるので短めに頑張ると… ある男の精液が地上に落ちて、大地の神ガイアが子供を産むのですが、その子は下半身がへび。そこで、カゴに入れて蓋をして、中は決して見ないようにと言って、ケクロプスの娘たち3姉妹に預けます。が、娘たちは開けてしまい、中の蛇に噛まれて死ぬ…という(諸説あり)神話です。

左端に見える悪魔みたいな彫像が、まさに欲望の象徴。そして右端の噴水(実物を見ると、それぞれの乳房から飛び出る水や魚の口から注がれる水が今にも飛び散ってきそうに見えました)が、豊穣の神ガイアを表しています。つまり両端に両親がいて、中央がその子供。囲む3姉妹の迫力がまさにルーベンスで、人々の動きの一瞬を捉えて絵にするルーベンスらしさと、両端の動かない石像の対比が面白いですね〜。

動きの一瞬を捉えるといえば、こちら『パエトンの墜落』。98.4cmx131.2cm



もともと空を飛んでいる馬車に乗るパエトンに、さらに上からゼウスが雷を落とすという空中戦。地に足がついていない不安定な中での大混乱なので、もう何が何だか分かりませんw 中央の馬のお尻はやけにくっきり分かるけど、果たして全体で馬は何頭いるのかもよく分からず、本当にもっとじっくり見たかったです。そばで見て、離れて見て、また近づいて見て…と、混んでさえいなければ何度でも前後して観たかった。でもきっと、そうしても結局よく分からないだろうなw

美術館の展示面積は変わらず展示する作品が大きいので、全体の展示数がいつもの美術展と比べれば少なめになるのは仕方ないこと。さらに自分がさっさと移動したせいもあり、画家の王展は意外にもあっさり「もう出口?」という感じでした。失礼ですねぇ、アタシ。とはいえ、大作が多かったので十分お腹いっぱいになりましたw また、次回からはやはりなるべく早めに観に行こうというのが、新年の誓いの一つになった次第ですw

そんな週の一本は、『私はマリア・カラス』です。



音楽関連の映画が続きますが、こちらは完全なドキュメンタリー。マリア・カラス本人の独白(録音された声)と、膨大な量の資料映像で、マリア・カラスという稀代のオペラ歌手であり、その才能を持った一人の女性の生涯を伝えてくれます。

ほぼオペラには無縁の私でさえ、名前は知っていたマリア・カラス。まず驚いたのは、アメリカ生まれのギリシャ人なのに、その独白はほとんどがフランス語だったことです。時に英語もありましたが、英語は生まれ育ったアメリカの言葉なので出来て当たり前でしょう。あとギリシャ語も当然出来るはずだし、きっとイタリア語も出来たはず。歌の才能のみならず、かなり聡明な女性だったのですね。

もっと驚愕したのは、9年間付き合った恋人(オナシス)が、他の女性(ジャクリーン)と結婚したのを新聞を見て知ったということ!これはあまりにも酷い!!私だったら生きていけません!しかも、さらにさらに、その彼が結婚した妻とうまくいかないからと再び近づいてきて(離婚しないまま)、また付き合ったなんて!う〜ん、常人には理解出来ませんよね〜。それほど情熱的な人だったということでしょうか。やはり、常人とは次元の違う飛び抜けた才能を持つ世界のプリマドンナは、思考回路も全く次元が違うのですね。そんなところも、ファンにとっては魅力だったのかもしれません。

『ボー・ラプ』の中でも、『蝶々夫人』や『カルメン』、『トゥーランドット』などが使われていて、フレディーもマリア・カラスを好きだったんだろうな〜と思いました。マリア・カラスの声をイメージしたら、そりゃあロジャーの高音に「もっと高く!」と言いたくなるわなwww あ、Divoのデイヴィッドもマリア・カラス大好きだったでしょうね。にしても、53歳で亡くなるとは、本当に残念です…。

人の一生はアップダウンの繰り返しで、アップした分ダウンもあり、結局生涯を通じればアップとダウンは比例する…と思っています。大きな失恋や早生などの可哀想な分だけ、マリアには突出した輝き、満ち足りた日々もあったということでしょう。私は、なるべく平坦な人生を歩みたいですw

ということで、早くも1月半ば。来週は1週間お休みを頂いて、大体毎年12月か1月に出る冬旅に行ってきます。なので、来週の週報は、火曜か水曜あたりになってしまうかもしれません!よろしくお願い致します。それでは皆様、風邪ひかないようにね!!!

最新記事