Amy's This Week
2025.11
11/3-9, 2025 運慶展と、『フランケンシュタイン』
9月から開催されていた運慶展。ずっと行きたかったのに行けず。会期が終わりに近づくと混むので避けたいのにもう11月。慌てて上野へ足を運びました。まだ激混みほどではなくホッ。最近は国宝といえば人間国宝、しかも架空の喜久雄(亮ちゃん❤️)に心奪われていますがw これぞ本物の国宝です。

私が初めて運慶作品を観たのは10年前くらいでしょうか。大体私は日本の美術には疎く、知るのが遅いのがある意味人生の後悔の一つですw とにかく初めて観た時は衝撃的で、以来運慶大好き。NHK大河『鎌倉殿の13人』に出てきた運慶には最初予想と異なり苦笑いでしたがw それでもドラマが終盤に差し掛かる頃になると、運慶そのものに見えてきたのは三谷マジックかな。
今回の運慶作品は、興福寺北円堂からです。通常は非公開のところ、修理完成を記念して60年ぶりの寺外公開だそうです。なんと。これは人生最初で最後のチャンスじゃないですか!
2018年同じくトーハクで仁和寺展があった時に大感動したのは、実際に京都まで出向き仁和寺に行っても決してこれほどしっかり観ることが叶わないその展示方法でした。それなりの照明があり、仏像たちの裏側まで観れること。さすがトーハク(正式には東京国立博物館)です。なので今回もめっちゃ期待していました。

展示は一切撮影禁止なので、写真は美術館ナビなどのサイトから。まずは入場してドーン!弥勒如来像です。

何が凄いってさすがなこの黄金ぶりです。1212年頃。つまり13世紀初期ですよ。日本って本当にアメイジング!ちなみに展示されている像はどれも国宝ですが、これらが奈良で安置されている北円堂はその建物自体も国宝だそうです。文字通り、国宝の中の国宝✨

その後ろに控える二体は、左が世親(せしん)菩薩、右が無著(むじゃく)菩薩で、古代インドに実在した兄弟僧。菩薩とはいえ実在した人間らしい造形で、まるで運慶がモデルを前にして彫ったかのようです。

兄の無著。この二体には鎌倉時代の特徴とされる玉眼(目に水晶を嵌め込む)が施されているそうで…

特に弟の世親像ではその目が良く見えて、その瞳に吸い込まれそうになります。

またこうしてこの二体をよく観ることが出来るよう、本来なら正面に真っ直ぐ向かって安置されているところ、トーハクの展示では少し外側を向かせ、我々観客に見やすいように展示してくれているそうです。後ろから見ると八の字型に安置されているのがよく分かりました。ありがとうトーハク。

そして、四天王ですよ。私の大好きなw 現在は中金堂に安置されているそうですが、研究により本来は北円堂に安置されていた可能性が高いとのことで、ここでは12世紀当時の安置状態で見せてくれます。でも、本来はもっと詰めて安置されているところ、広々とした空間で360度ゆっくり鑑賞出来るよう離して展示してくれているところもトーハクならでは。贅沢な空間です。

これら四天王像は運慶とその一門による、とのことなので運慶とそのお弟子さんたちとで創られたのでしょう。私の好みはこうした運慶らしい力強い四天王像で、これこそが運慶の魅力だと思っています。こちら持国天。

こちら広目天。ところで西洋史好きの私には三又の槍を持ってネプチューンか!と思ってしまうのですが、もちろん違いますw そこで気になって調べたら、四天王が持つ三又の槍もどきは戟(げき)という古代中国の武器だそうです。なるほど。強い武器とは、東西離れていても結果的に共通した形になるのが興味深いです。

これまたポーズがカッコ良い増長天。

そして唯一視線が上な多聞天。宝塔を見上げているんですね。お釈迦様の骨を納めているそうです。またよく耳にする毘沙門天は単体としての多聞天の別名。徳や財宝の神様です。

さてこうした力強い運慶が大好きになったのは、以前にも書いたかもしれませんが、初めて運慶の四天王像を見た時に私の大好きなミケランジェロの『モーゼ像』の足(ふくらはぎ)に似ていると思ったからですw これがそのモーゼ像。ローマのサン・ピエトロ・イン・ヴォンコリ教会に鎮座しています。圧倒的な大きさなのです。

壁全体の図です。中央下のモーゼ像だけで2.35mあり、台座だけでも1mはあるので、この前に立つチビな私はモーゼのふくらはぎあたりから見上げることになりますw それでなおさらその逞しさ、力強さに圧倒されたのでしょうねw

そんな素晴らしいミケランジェロの作品ですが、造られたのは16世紀初頭ですから運慶はそのおよそ4世紀前!ねえ、ミケランジェロより400年も前にあの四天王を彫っていたんですよ。それも石ではなくもろい木で。ああ、ミケランジェロに見せてあげたかったですw
と、運慶を観るたびにミケランジェロに思いを馳せてしまいますがw 今回は運慶の力強い『動』だけではなく『静』も味わえる素晴らしい空間でした。あ、お楽しみのショップではまたまた心をくすぐられるクッションがあったんですよw あ、クッションではなくぬいぐるみですかw とにかく、この二点を購入してあなたも多聞天に!!って、なれるかい!w

美術館や博物館で誰かの展覧会が実施されると、大概展示数を増やすために「影響を受けた人」とか「同じ時代の人」「同じ流派の人」など、例えばゴッホ展でもゴッホ以外の作品も展示されて、確かに充実はするし見応えもあるんですが、結果かなり疲れてしまったり印象が散漫になることも少なくありません。が、この運慶展は至ってシンプル。だからこそ集中出来るし、ゆったりと贅沢に鑑賞出来ます。めっちゃオススメ。11月いっぱいですよ。

そんな週の一本は、『フランケンシュタイン』です。

ギレルモ・デル・トロ監督なので、ダークだけどエモいんだろうな〜と予想していたらまさにその通りでした!決して否定的に言っているわけではありません。凄く良かったです。マジ好き。ネトフリ、劇場公開してくれてありがとう!
キャスティングも良いんですよ。フランケンシュタイン博士がオスカー・アイザック。いかにも独りよがりで倒錯的な天才。危ない色気も感じるし、ふと見せる孤独な哀しさがエモいのです。

そしてジェイコブ・エロルディのクリーチャー。想像しているフランケン(はい、フランケンシュタインとは博士の名前で、彼の創造した人造人間は過去映画では『モンスター』こちらでは『クリーチャー」です)とは全然違って線が細く哀れな雰囲気だしなんなら美しくもあります。クリーチャーという単語にどこかエモいイメージが付きました。

また一番のキャスティングが、博士が好きになる女性役があのミア・ゴスなんですよ。もう完璧。名前通りゴスですw この作品をゴシック・ロマンとでも言いましょうか。ゴスロリならぬゴスロマw 登場する廃墟だった塔もあまりに美しく、私は見惚れました。
そして極め付けはラストです。さすがギレルモ・デル・トロ監督。エモい!!!ため息しか出ない、大人のおとぎ話でした。
この週末はルナ・フェスでした。イエモンも出る日曜日のチケットを手配して準備万端!でしたが…同行の友人がいろいろあり…決して友人のせいではなく自分の判断でリセールに出すことに。そしたら結果的に友人は行けたという皮肉w まあ人生そんなもんですw いいの。今月はまだあるもん!

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