Amy's This Week

2022.04

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2022.04.05

3/28-4/3, 2022 第94回アカデミー賞授賞式と、『ベルファスト』

私がWOWOWを契約し続けている唯一といっても良いほどの理由が、アカデミー賞とグラミー賞の授賞式を観ることですw 今年もそのお楽しみがやってきました。音楽同様、映画も世界共通の話題。授賞式はスターたちの素の顔を見ることが出来る、Movie Loversの一人として胸踊る時間です。

日本での放送は3/28(月)だったので、この週の頭でした。そのためこの後の一週間アカデミー賞の話題といえば、クリス・ロックの笑えないジョークに対するウィル・スミスの平手打ち事件で持ちきりでしたねorz アカデミー授賞式がこうした内容で話題になるなんて、ファンとしてはもう残念でなりません。

事件は式典のわりと後半で起こったことだったので、まずは時系列に、それまでの私がいいなと思ったことをピックアップしていきたいと思いますが、振り返ってみると今年の授賞式は少し地味だったという思いが否めませんね。

まずは、序盤で発表となる助演女優賞。『ウエスト・サイド・ストーリー』のアニータ役アリアナ・デボーズが受賞しました。私は『ベルファスト』のジュディ・デンチを応援していたので少し残念でしたが、まあジュディは一度受賞しているので、若手に花を持たせたと受け取ることにしますw この賞は、60年前の『ウエスト・サイド物語』でもリタ・モレノが同じ役で獲っていたので、受賞したアリアナ・デボーズはことさら嬉しかったでしょう。

会場に来ていたリタ・モレノもとても嬉しそうでした。唯一1961年版と2021年版両方に出演した役者であり、1961年版で自分がアカデミー賞を獲った役が、2021年版でも受賞したのですから、プエルトリカンのプライドが見事に継承されたと感じたことでしょう。にしてもこの方、90歳ですよ!この美しさにはデヴィ夫人も目標にしているかもしれないですね。

アリアナ・デボーズの話に戻ると、彼女は『クイア』であると自称していました。ストレートでもレズビアンでもなくクイア…。この辺りになるととても複雑で、私もよく分からないのですが、もしかしたら自分でもよく分からず辛い思いをして来たのかもしれないですね。そんな彼女は受賞スピーチで「自分のアイデンティティに疑問を持ったことのある人たち全てに約束します。必ず、私たちのための場所はあります!」と、『ウエスト・サイド・ストーリー』の中の曲『Somewhere』(Il Divoも歌いますよね)の歌詞を引用していたのが素敵でした。

さて、その助演女優賞のプレゼンターで登場したのがH.E.R.でした。今回は残念ながら演奏はありませんでしたが、イエローのドレスがとても可愛らしくて、日頃男前なイメージのH.E.R.の別の顔が見れたようでした。演奏は、グラミー賞でのお楽しみですね。

地味な扱いながら、007が60周年を迎えたということで、その記念映像が流れたのは嬉しかったです。ショーン・コネリーからダニエル・クレイグまで歴代のボンドが登場し、BGMはずっとポールの『Live And Let Die』。これはやっぱり不動の007テーマソング最高峰でしょうね。にしても改めて、これを『死ぬのは奴らだ』という邦題を付けたセンス。珍しくw すごく良いセンスでした!

感動的だったのは、短編実写映画賞を獲った『ザ・ロング・グッドバイ』で主演と共同脚本を手がけたリズ・アーメットのスピーチでした。パキスタン系イギリス人のリズ・アーメット。映画『ボヘミアン・ラプソデイー』の中でフレディーが「パキ!(パキスタン人の蔑称)」と言われていたのを思い出します。リズ・アーメットは実際に、子供の頃は「パキ!」と虐められたのかもしれないですね…。そんな彼の言葉が素敵でした。

「今のこんな分断された世の中で、私たちはこう信じてこれを書きました。There’s no us and them, just us!」…。これはもうロシアによるウクライナ侵攻真っ最中である今、プーチンに聞かせたい!!私はこのUs and themという言い方に感動したのですが、それを字幕では「世の中に敵や味方はいない。全員が仲間です」と訳していたのが、また凄いなと感心してしまいました。

ちょっとした小ネタとしては、セリーヌ・ディオンそっくりさんが登場してびっくりしたことですwww 『タミー・フェイの瞳』でヘアメイク賞を獲ったリンダ・ドウズですって。セリーヌ・ディオンとは別人だということが信じられませんwww

小ネタその2は、15年前の『JUNO/ジュノ』(2007)の出演者がプレゼンターで登場した時です。私も観たこの作品、十代で予期せぬ妊娠をしてしまう主人公のジュノを演じたエリン・ペイジが、純粋で可愛いのと同時に、冷静でマイペースでとても良かったのですが…、なんとエリオット・ペイジと男性名に変わっての登場でした。え〜?知らなかったのは私だけ?いやあもうびっくりでしたよww 一見エディ・レッドメインのような雰囲気ですが、ジェニファー・ガーナーと並ぶと小柄さが際立って、やはり可愛いあのジュノでした。が、話したら声がすっかり太くなっててまたまたびっくり!彼の新しい人生が、輝かしいものとなりますように!!

小ネタその3はシーラEの登場でした!オールスターバンドと紹介され、トラヴィス・バーカー(しっかり蝶タイでタキシードを着ていましたw)、ロバート・グラスパーらと共にステージに上がったことです。残念なことに演奏自体は受賞者発表のBGMに終始しましたが、これもコロナ禍での授賞式を少しでも時間短縮するためでしょう。私はシーラEの元気溢れるカッコ良い姿が見れただけで大満足でした。

今年は『ゴッドファーザー』50周年ということで、アル・パチーノ、フランシス・フォード・コッポラ監督、ロバード・デ・ニーロが揃って登場したのもエピックでした!82歳のコッポラ監督、すごくしっかりしていて(失礼!)立派でしたね〜。私の人生で最も好きな作品TOP3に入る『ゴッドファーザー』三部作ですが、考えてみれば『I』も『II』も当然リアルタイムでは観ていません。音楽ファンがツェッペリンやビートルズを遡って聴くように、映画ファンなら必ず遡って観るべき作品なんですよね。

『I』を初めて観た時の感想は実は覚えていませんが、『II』を初めて観た時は、ロバート・デ・ニーロが若く、あまりにカッコ良くて、本当にこれがデニーロ?!とめちゃくちゃ驚いた記憶がありますww 今やすっかり好々爺なロバート・デ・ニーロ、時々『ゴッドファーザーII』を観て、カッコ良い姿を思い出してあげたいですw にしても…この日のステージではせっかく登場したのに、アル・パチーノもデニーロも、一言も発さず引っ込んでしまったのは残念でした〜。

さて、今回のアカデミー賞では日本の『ドライヴ・マイ・カー』が国際長編映画賞を獲りましたね!日本人として素直に嬉しいです。私が邦画観るのは年に一本くらいなので、今年の一本はこれで決まりですw その発表をしたプレゼンターが、シム・リウと、ティファニー・ハディッシュでした。ティファニーのハスキーな声、良いですね〜!そして、『Drive My Car!』と発表した直後、たぶん知っている唯一の日本語?「オハヨゴザイマ〜ス!」と言っていたのが最高でしたwww

今回作品賞や監督賞にもノミネートされながら、唯一脚本賞を獲ったのがケネス・ブラナーでした。シェークスピア俳優のイメージがある大ベテラン。が、今回初めての受賞だったんですね。なんかびっくりでした。おめでとうございます!この作品、あとで詳しく書きますが、ホント良かったです〜!!!

そう考えると、アカデミー賞の選考基準ってホントよく分からないんですよね。愚痴になってしまうけれど、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』だって、ノミネートにかすりもしなかったから、あれ?去年の扱いだったっけ?と思ったくらい。が、楽曲賞を獲ったので、あ、今回の対象だったんだと気づきました。なんだかな〜。あれほど素晴らしい作品だったのに!

それに対して、あの『ドント・ルック・アップ』が作品賞ノミネートですって?司会のエイミー・シューマーが言っていましたよね。「アカデミーの審査員たちは、作品レビューを見ていなかった(Don’t Look Up)のね」と言って笑いを誘っていましたがww

…と一通り振り返ったところで、最後に触れないわけにはいかない平手打ち事件。もう世の中の理不尽さが凝縮されている気がしましたよね。被害者は実名を晒されるのに加害者は保護されるみたいな…。

何はともあれ絶対に暴力はいけない、というのなら同様に、何はともあれ女性の容姿について、しかもそれが病気に起因する容姿については、絶対に触れてはいけない、ましてやジョークにしてはいけない、と私は思います。きっぱり。それがどれほど当人を傷つけることか。暴力による痛みならいつか痛みは消えますが、心の傷はその痛みが消えることは一生ないのですから。

もう20年以上前のことですが、私は病気で顔の右半分が麻痺しました。命に別条はなかったけれど、内心は一回死んだくらいの気分でした。3週間入院し、退院後わずか2ヶ月で仕事(TP)があり、私の仕事は裏方なので顔がどうであろうと関係ないと意を決し、ファンを連れてアメリカに行きました。それでもあらゆる写真を撮る場面で私は遠慮していました。まだ麻痺が残っていたので、写真に残るのが嫌だったからです。

どうにか無事に仕事も終わり、帰りの飛行機の中でのことでした。名前を呼ばれ、え?とそちらを向いた瞬間、写真を撮られました。思わず「何するの?」と言いましたが、その人は「良いじゃない」と笑っているだけ。ファンであるその人は軽い気持ちでスタッフをからかっただけだったでしょう。ですからそれ以上は何も言いませんでした。が、私はその時の気持ちを一生忘れることが出来ません。今でも思い出すたびに、悔しいとか、哀しいとか、スタッフだからファンには何をされても何も言えないの?とか…モヤモヤが晴れることはありません。

ウィル・スミスも、その後主演男優賞を獲ってのスピーチで、「この仕事をしていると悪く言われたり、バカにされたりすることがあり、それは笑ってやり過ごすしかないのは分かっている」と言っていました。彼もきっと自分のことを言われたのなら、やり過ごせたでしょう。が、妻のことを言われたので、そこは妻の名誉のために命を賭ける『最後の決闘裁判』のような、歴史ある西洋文化を踏襲したインテリ俳優らしいところかもしれません。

だからといって確かに暴力は暴力ですから、ここは両方悪い。だから絶対に両成敗だと思うんですけどね。果たしてアカデミー協会は遠山の金さんのような采配をしてくれるのかどうか…。クリス・ロックは長年に渡るウィル・スミスへの僻みのような感情があったという話もありました。でもだからといって妻を攻撃するなんて。まるでマフィアのやり口じゃないですか。それも映画の中でね。

…と、結局この話題で盛り上がってしまう結果となった今年の第84回アカデミー授賞式。なんだかかなり残念な結末です。不幸中の幸い?いえ、全然幸いではないですが、敢えて言えば、この両人が同じ人種で良かったと思ったのが正直なところでした。これがまた違ったら、よりこんがらがってしまうところでしたからね。さて、ともあれ私は、なんとなく興味を持てなかった作品『コーダ』を、やだ!観なくちゃ!と思ったのが、今年のアカデミー賞の感想でしたwww

 

そんな週の一本は、アカデミー脚本賞受賞の『ベルファスト』です。

いや〜、最高でした〜!ケネス・ブラナーの自伝的物語だそうで、彼の幼い頃へのノスタルジーや地元愛が溢れていました。

ベルファストといえば、あのロンドンを恐怖に陥れたIRAの本拠地とか、荒っぽい労働者階級の地という怖いイメージしかありませんでしたが、そこには普通に愛溢れる家族や親戚一族の暮らしもあったんですね。この時代なら、妻をバカにされたパパは相手をグーで殴っていましたよwww

何と言っても主人公が可愛らしかったし、おじいちゃん役のキアラン・ハインズは私の大好きなドラマ『ROME』でジュリアス・シーザー役だった人!すごく良いおじいちゃん役でした。そしておばあちゃん役がジュディ・デンチ。もうこれ以上ないという最高さじゃないですか!

さらにパパがもうカッコ良いったらなくて!www おじいちゃんが亡くなった後、故人の人生を祝福するパーテイーで『Everlasting Love』という曲を歌うシーンがあって、もうきゃあ〜!って声が出てしまうくらいwww ママも最高だし、この美形夫婦はなんなんだ!w トレイラーでわずかですがそのシーンが見れます。もう何度見たことかwww コチラです。
https://youtu.be/075VBtcmLeA

プロテスタントとカトリックの争いといえば、ブラディ・メアリーとエリザベス一世の確執を思い出すくらい、16世紀から続く英国の伝統とも言えそうですが…のちのテロ組織であるIRAはカトリック系ですよね?この映画の時代のベルファストでは、プロテスタントに抑圧されていたんだ…などと、複雑な英国&アイルランドの宗教状況にも思いを馳せました。

が、ともあれボクにはカッコ良いパパと綺麗なママがいて、幼くしてイギリスに渡って、無事に成長し、映画の仕事に就いて、頑張って続けていたらアカデミー賞をもらいました!という…ケネス・ブラナー最高!な作品でした。あ〜、もう一度観たいです。

 

東京都でも蔓延防止措置が解けて、この週、超久しぶりに友人たちと飲み会がありました。といっても3人ですよ。その時に、なんとエルメスのリップバームを頂きました!なんと!人生初のエルメス・リップバーム!あまりに気分が上がったので、勢いで写真を撮りましたw コロナ禍となり、もう2年以上口紅をつけない日々でしたが、これならマスクにも付かないし、ありがたく使わせて頂きます!ヤッホー!