Amy's This Week

2023.03

14
2023.03.14

3/6-12, 2023 エゴン・シーレ展と、『アラビアン・ナイト〜三千年の願い』

この週はついにMR.BIG VIPの抽選先行受付が始まり、そして結果が出ました。昔と違ってチケットを買うために整理券をもらいに出向いたりせず、手元のケータイでチャチャッと操作するだけで申し込めるのは便利な世の中になったものだと思いますが、抽選というのはどうもね〜。あくまでも個人の見解ですが。

当たった方からのご報告や外れた方からの無念のつぶやきなど、メールたくさん頂きました。あまりに多くてVIP Voicesに載せることが出来ません。てか、もう少し落ち着いてから載せますね。全ての申し込みなどが終了してからね。

そして翌週はいよいよDeep Purple来日を控えて嵐の前の静けさ的な私は、前から気になっていたトビカンのエゴン・シーレ展に行って来ました。

先週の佐伯祐三と並んで、夭逝の画家エゴン・シーレ。100年に一度起きるといわれるパンデミックの中、ちょうど100年前のスペイン風邪にて妻子と共に(エゴン・シーレは妻子の3日後)亡くなってしまったという、なんとも痛ましい悲劇の芸術家です。享年28とは。言葉もありません。

が場所はウィーン、時は世紀末。美術の世界では一つのジャンルと言える『世紀末美術』の真っ只中にあって、エゴン・シーレは病に伏すずっと以前からクリムトの影響を受けたり、戦争で従軍したりして、自らの感性で『メメント・モリ』をテーマとした作品を描いていたと思います。まあ平たく言うと暗いんですが、その暗さの中に独特の魅力があるんですよね。そもそも私はクリムトが大好き(ベルギー世紀末のクノップフも大好き)なので、とても楽しみにしていました。行ったことのないウィーンのレオポルド美術館のコレクションです。

館内は風景画コーナー以外は撮影禁止なので、画像は外で撮ったものや公式サイト、自分で購入した絵はがきからです。まずはこのポスターになっている『ほおずきの実のある自画像』。エゴン・シーレは自画像を多く残しています。というかこれは私の勝手な考えですが、自画像を多く残す画家には二種類あると思うのです。自分の容姿にコンプレックスのある人ほど自己肯定のために自画像を多く…そしてあとはとにかく自分大好きな人ですw

ゴッホは今風に言えばコミュ障だし、ロートレック、ドガ…、皆精神や身体に障害を持っていましたよね。デューラーは本当に単に自分大好きだったんでしょうね。レンブラントも成功した自分が大好きだったと思えるし、エゴン・シーレも才能溢れる自分が大好きだったのかな。この作品の「どうよ俺」的な目つきったら!そうした意味では、女性は容姿で自分を好きになり、男性は中身で自分を好きになるのかも。あ、それをいったらデューラーは女性的だったということになってしまいますがw だんだん意味が分からなくなってきたので閑話休題w

私がとても良いと思ったのがコチラ。『装飾的な背景の前に置かれた様式化された花』です。なんとまあ理屈っぽいタイトルww
金と銀の顔料が使用されているとのことで、思いきり師匠クリムトの影響が見て取れますね。

私はこの作品を見てほぼ同じ世紀末でもオランダにいたモンドリアンを思い出しました。『オランダカイウ』です。

ずっと『世紀末』というだけでなぜこれほど暗く、死を意識し、独特の世界観になるのだろう?と思っていましたが、コロナ禍となり歴史的にパンデミックは100年に一度起きていると知り、なるほど今から100年前はスペイン風邪というパンデミックがあり、今のようなワクチン開発も医療設備も無い中、バタバタと病に倒れる周囲の人々を見て死を身近に感じたのだと理解しました。さらに戦争も身近でしたからね。従軍したシーレは戦場でそれこそ死を目の当たりにしたのかもしれないし。そこで『メメント・モリ』古く古代ギリシャから言われていた『死を忘れるな』がテーマになる時代だったのかもしれません。

『自分を見つめる人II(死と男)』は、自分とその後ろに張り付く死だそう。これもとてもクリムト的だけど、クリムトは好きな女性たちで描いたのに対し、エゴン・シーレはやはり自分大好きだったんですねw

こちらクリムトの『死と生』。

おお〜!これもクリムト!(の影響)と思ったのがかなりセンセーショナルな『頭を下げてひざまずく女性』です。エロいですね〜苦笑。こんな作品が多く見つかったら、当時の閉鎖的な村から追い出されるのも分かる気がしますw

こちらは私が大好きなクリムトの『ダナエ』です。美しい!

どちらもぶっちゃけ描きたかったのは女性の太腿というかお尻ですww でもクリムトはお得意のゴールド使いをそのままギリシャ神話としてお尻を芸術に昇華させていますが、シーレはとにかくストレートw 自分の才能に対する自信が溢れ出ていますね。「これが分からないヤツはそれで結構!」的な。顔を見せないことでさらに腿とお尻を目立たせていますしね。なんならクリムトの方は胸も見せているんですが、女性の品の良い寝顔と神話テーマで下品さが一切ありません。まあクリムトの方が「旨い」ということなのでしょうか。それならシーレは素直と言えるのかもw

そんなシーレはゴッホも好きだったとか。ゴッホの亡くなった年に生まれたことに運命を感じていたという話がありますが、ゴッホのある意味エキセントリックな生き方にも惹かれたのではないかと思います。こちらシーレの『菊』です。

凄く好き。そしてずっと見ていたら、これは菊とはいえゴッホのひまわりだと思いました。この美術展には展示されていませんでしたが、シーレはひまわりも描いているんですよね。明らかにゴッホにインスパイアされたのでしょう。そしてこの『菊』。エロティックな女性を描くクリムトと極限の集中力で花や風景を描くゴッホ。その両方の影響を受け、独自のスタイルを構築していったシーレ。いえ、構築半ばでしたよね。それが悔しい。

この美術展ではなぜか風景画コーナーだけ撮影OKでした。最近は全作品撮影OKな美術館も増えてきた中、トビカンはまだその過渡期にあるのでしょうか。『ドナウ河畔の街 シュタインII』。興味深いのは、シーレはこの街シュタインをよく知っているのに、この作品はシュタインにある特徴的な建物を組み合わせて描かれているそうです。東京で言えば歌舞伎座の隣に東京タワーみたいなことでしょうか。シーレはとにかく「自分のしたいようにする!」という人ですね。

これは妙に惹かれた『吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)』です。秋・冬どっち!って思いましたがww

この作品はすぐにまたモンドリアンを思い出しました。こちらモンドリアンの『タブロー No.4/No.VIII/コンポジション3』です。どうでしょうか。似ていませんか?でも面白いのは、制作年を調べたらモンドリアンの方が1年後だったんです。つまりシーレの方が先に描いていました。じゃあモンドリアンがシーレに影響を受けた?う〜ん、そこはビミョーですよね。やはりこうした無機質に描きたい時代だったのかな。

他にもなかなか興味深い作品がたくさんあり、レオポルド美術館の充実さが伝わりました。才能溢れる若者に惹かれて、彼の作品を収集したレオポルドさんが、半分は自己顕示欲で、半分は税金逃れで(?)創った美術館かな。嫌味な書き方になってしまってごめんなさい!素晴らしいと思っています。ホントに。やはりお金持ちにはこうしたお金の使い方をして欲しいです。

何はともあれこんな人が28でパンデミックの犠牲になるとは。イル・ディーヴォのカルロスと同じ。本当にFxxk パンデミックです。だからこそ、レオポルド氏は生き残った者の使命のような気持ちがあったのかもしれないですね。

美術展なんて作品を眺めてこれは良いな〜、これは好きじゃないな〜などと観て回るだけで全然良いんです。でも死を身近に感じある意味現世の虚しさを思いながらも、自信に溢れ才能ある少し生意気な若者が結局は自らも死に取り憑かれてしまった短い生涯を思うと、一作一作をとにかく丁寧に観なければならないと思いました。

この『母と子』は、こんな恐ろしい世の中に生まれてしまった我が子に対する愛と恐れが現れているようで、コロナ禍や戦況下で出産した全ての女性たちと思いを共有することが出来るかもしれません。そして最後には「頑張ろう!」と思わせてくれるエゴン・シーレ展でした。だって私たちは生きているのだから。

4月9日までです。上野公園の桜を見ながら足を運んでみてはいかがでしょうか。
https://www.egonschiele2023.jp/index.html

 

そんな週の一本は、『アラビアン・ナイト 三千年の願い』です。

元ネタはディズニーの『アラジン』と同じで、魔法のランプとジーニーが登場します。『アラジン』のアラジン抜き?ww それが現代に現れるストーリーはフツーに予想通り。結末までも予想通りだったので(ティルダならそうならないと思わせることが出来るとでも思ったの?www)特に感動を得たということはありませんでした。スミマセン。

まあ感動作品というよりはエンタメ作品なので、そこそこ面白かったです。現代のお話とはいえ、なんたって彼は3000年生きているんですから、ちょこちょこ過去の思い出語りで時代が戻ります。そんな過去映像が面白かったです。

あとは映画ファンとして冷静な感想を言うと、嬉しいのは気づけば最近こうした中年女性を主人公にした作品が増えてきたことです。多様性・平等の時代となり、映画界は必死で差別を無くすように努力しています。それは人種、性的マイノリティに対してだけではなく、女性を年齢だけで判断することも含まれているのです。

『ローマの休日』も、『プリティ・ウーマン』も、40歳以上の女性では成り立たなかったでしょう。お相手男性は40歳以上だったとしてもね。『エイリアン』のシガニー・ウィーバーだって、『ターミネーター』のリンダ・ハミルトンだって、最初に出た時は20代でした(シガニーは撮影時)。

2017年の『スリー・ビルボード』あたりから、流れが変わってきたのかな。今や女性は90歳近くまで生きる世の中。20歳からの20年より40歳からは50年もあるんですよ!もちろん40歳で区切るのもナンセンスですが、とにかく、マスに訴えるのなら50代、60代の女性を主人公にした方が圧倒的に共感を得る率は高いということにやっと気付いたのでしょうか。女性だって男性同様、見た目より中身と平等に捉えて頂きたいです。ま、取り敢えず中身の綺麗な中年女性でいたいなw

 

そんなわけで、すでにDeep Purpleツアーが始まりましたが、それはまた次週にね。取り急ぎプチ感動したことを。武道館の最善のしきりです。ちゃち!www なんか「絶対にお客さんは暴れない」という主催側の自信と信頼の現れだと思いませんか?ww 70年代のパープル公演とは大違いwww でもイアン・ギランの声は驚異的に変わらず素晴らしかったです。あっぱれ70代!!