Amy's This Week
2024.05
5/20-26, 2024 Gipsy Kingsと、『関心領域』
この週はついに楽しみにしていたジプシー・キングスのライヴがありました。三茶から会場までの道を歩きながら、いつものところでポスターをパチリ。そして、プライベートでここへ行くのは初めてだったと気付きました。
昭和女子大学人見記念講堂というと、真っ先に浮かぶのはナイト・レンジャーです。来年あたりにはまた来てくれるでしょうか。前回会った時にマネージャー氏は、「次に来る時が最後になるだろうなー」なんて言っていました。そんなこと言わないでー!と言ったら、「まあ、毎回これが最後だと思うようにしていれば良いんだよ」ですって。ああ、それはエアロでも散々スティーヴンから聞いた言葉でした。でも私は、最後なら「これが最後!」とKISSみたいに華々しくぶち上げてくれた方が嬉しいんですけど…。
…なんてことを考えていたら会場に到着。お馴染みのプロモーターの皆様にご挨拶しながら、「今日はプライベートなんです」と言うと、「えー!意外!」と言われましたw 「あはは、私の中にはラテンの血も混ざっているんですよw」と答えると、「ああ、なんか納得です」とw
ジプシー・キングスを好きになったきっかけはもう全く覚えていませんが、1989年の初来日からほぼ毎回観ています。今までは今回のように「featuring Nicolas Reyes」は付いておらず、オリジナルのメンバーでした。あれから30年以上!ニコラ無事に生きているのかしらw
おお〜ありがたい!今日はお席近目だから嬉しいわ。チケットで4列とあったので4列目に感動していたら、会場に入ってみると3列目でしたw めちゃ嬉しいw ドームや有明や最近出来たKとかアリーナになると飲食出来るのが嬉しいんですよね。その代わり、ステージは遠い(近い人もいるけれど、私は敢えてのスタンドだから)w 昭和なんて大学の講堂ですからまあ飲食禁止は理解出来ますが、今時は水くらいは飲みたいですよね。そんな時はめちゃコソコソ飲む感じですw その代わりステージが近いからOK!ww
ニコラご本人が出てきました。その第一声を聴いた瞬間「ああ!これこれ!!」と大感動。このダミ声ww 彼が元気に生きていて歌が歌えるということが何よりも嬉しかったです。思わずニヤニヤww この独特の声がまさにジプシー・キングスそのものなのです。
他のメンバーは多分ことごとく変わっていたと思います。何せ皆やたら若かったからw ベースは渋いおじさんでしたが、元々ベース、ドラムス、キーボードはプロジェクト・メンバーなんですよね。このバンド、フロントにギタリストが4人並んでの演奏ですよ。私はギターの弾き方についてまるで知識が無いのですが、あのスパニッシュ独特のギターボディを叩く奏法がめちゃ迫力ありました。もうPAどころか、アンプも通さずナマの音でバンバン聴こえましたから。
リードギターはアコースティックギター(でもプラグドです)やエレキギターなどギターを取り替えながら、見事に弾きまくっていました。ジャンルが異なるとはいえインギー顔負けの早引きで、でもピックは使わずに指で弾いていて、指先痛くならないのかなと心配してしまいました。素晴らしかったなー。
ジプシー・キングスは基本的にファミリーバンドです。なのでこのリードギターはもしかしてニコラの孫かしら?ww きっとフランスやスペインに行ったら、彼らと同じくらい弾けるギタリストが山ほど路上やレストランなどにいそうです。ワールドツアーが出来る彼らはラッキーラッキー。それを自覚している彼らは、だからバンド名に「ジプシー」を付けたのでしょうね。ま、バンド名を決めた時は今ほど売れてはいなかったでしょうが、他の仲間のためにもメジャーを目指す心意気があっての命名だった気がします。
もう一人の上手のギターはちょい渋親父。でもきっとまだ40代くらいかもw
お客さんはイル・ディーヴォのファンがいるかな?と思っていましたが、どなたにも会えませんでした。まあロック系のお客さんはいませんよね。私が異色なんでしょうw でも皆さんめちゃ盛り上がっていて、同じ列の右端のお二人は途中からずっと立ち上がって盛り上がっていました。私は目の前の人が立ち上がらないことをひたすら祈りつつ…ww でも世の中にこれだけラテン?フラメンコ?まあジャンルと言えばもうジプシー・キングスと言うしか無いのですが、これだけファンがいるって凄い感動でした。
キーボードはオールマイティーな人で、途中ギターを弾くこともありました。そうなるとギター5本のバンドです!もうめちゃ迫力あって素晴らしかったです。
私はイタリアへ行った時に多くのジプシー(ロマ)に会いました。実際のロマの人々はかなり貧しくて、それはまともな職に就けないからで、それがなぜかと言えば現在でもヨーロッパには根強い差別があるからです。ジプシー・キングスがファミリー・バンドだと前述しましたが、むしろ家族・親戚以外とはなかなかお付き合いが難しいのだと思います。
国は飛びますが、私の大好きなミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で、ニュージャージー出身の彼らが若い時に言います。「俺らが金を稼ごうと思ったら、軍に入るか、ギャングになるか、音楽をするかしかない」と。それはかつてのアメリカにおけるイタリア人(ジャージー・ボーイズもイタリア系)全般に言えることで、フランク・シナトラやディーン・マーティンはその中のまさにヒーロー。そんな歴史のあったアメリカですから、同じ労働者の街ニュージャージーから出たイタリア系のバンド、ボン・ジョヴィが大いに売れたり(ブルース・スプリングスティーンは半分イタリアン)、同じくイタリア系のスティーヴン・タイラーが音楽家の父からその才能を受け継いだり…と、今こそあらゆる人種のミュージシャンがいるアメリカでもイタリア系は脈々と才能を受け継ぎながら、また多くのイタリア系移民二世、3世のファンに支えられながら、音楽シーンに根強く生き残っているんですね。
ところでジプシー・キングスのレイエス・ファミリーのルーツはスペインです。が、ニコラの祖父がフランコ政権から逃れフランス南部に移住したところで、ニコラの父がジプシー・キングスを結成しました。フランコ政権の時代とは、まさにピカソと同じ!ピカソのあの有名な『ゲルニカ』はフランコ政権に呼応したドイツ軍がゲルニカの地を爆撃したことへの反戦の意味が込められているし、ピカソもそれでフランス(パリですが)に移住したんですよね。
こうしたヨーロッパの近代史を掘り下げていくとキリが無いのでこれくらいにして…そうした社会の大きな変化の中で、ただでさえ苦労の多いロマの人々はさぞや苦労をしたことでしょう。だからこそ、ジプシー・キングスは遠く海外のファンを楽しませつつ、欧州の苦労している同胞たちのためにも彼らの希望、目標として頑張り続けているんですね。
ニコラはかつて無いほどMCを挟みました。高齢になってきて間髪置かず歌うのが大変になったのもあるかもしれませんww で、その言語がフランス語なんですよねww 歌詞はほとんどスペイン語だし。ああ、イル・ディーヴォのファンならきっと理解出来るのかなぁとぼんやり思いましたw だってイル・ディーヴォのVIPの時は多くのVIPがカルロスにはスペイン語で話しかけていたし、セバスチャンにはフランス語で話しかける人もいましたから。私はイタリア語を少し勉強しました。だからスペイン語は少しだけ似ていて分かることもあります。でもフランス語って!同じラテン系なのにどうしてあんなに違うんでしょw 全くお手上げですw
そんなわけでニコラのMCは1mmも理解出来ませんでしたが、まあきっと「また日本に来れて嬉しいよ。変わらず僕らを愛してくれてありがとう」的な?ことを言っていたと思うことにしますw めちゃ楽しい夜でした。もちろん、帰宅の途は『ヴォラーレ』を聴きながらでした。
そんな週の一本は、『関心領域』です。
半ナチ作品です。でも、一見は壁のこちら側、つまりアウシュビッツの外側にある所長の自宅のファミリー映画です。所長という立場からなかなか裕福なドイツ人一家で、妻は庭の手入れをし、お手伝いさんたち(複数)に指示し、子育てをしています。時々友人が遊びに来て、お茶を飲みながら世間話。その内容が、さらりとガス室へ送る前に搾取したユダヤ人の持ち物の話だったりするので、人の無関心の恐ろしさをヒシと感じます。
一切戦争シーンは無いし、アウシュビッツの内側の描写はありません。つまり、観ている我々も壁の外にいるわけです。そんな状態で最後まで淡々とまるで1サラリーマン家庭のような物語を観ていると、ラストにあれ?と見たことのある状況が現れます。それは現代のアウシュビッツにもあるし、ワシントンDCにあるホロコースト博物館(ここが凄いです)にもあるユダヤ人たちが焼却される前に身ぐるみ剥がされ、メガネ、靴、鞄…などアイテム別に仕分けされ積み上げられた品々がガラスの向こうに見える場所です。そんな博物館の中で通路を淡々と掃除する人々。彼女たちも展示物には無関心でただ清掃をしているだけですが、そんな作品を観ている我々もハッとさせられるシーンでした。不気味です。
反ナチスの所業を描いた作品は多くありますが、エモさで言えば『シンドラーのリスト』(1993)、エグさで言えば『サウルの息子』(2016)がお勧め、いや、お勧めして良いのか?ってことですが、私の中では一番強く印象に残る作品です。エグいとはいえ、『サウルの息子』が実際に起きたことなんですよね。なんと言ってもゾンダーコマンドの証言を元にした作品ですから。とにかくエグいというか、観ていて気が狂いそうになります。
現代を生きる私たちにとって第二次世界大戦はかなり過去のことですが、現在もあちこちで戦争が行われています。平和な国で生活している我々は戦争の悲惨さや愚かさを忘れないように、定期的に戦争映画を観るべきだと思います。ああ、これ書いている日はちょうど『虎に翼』で泣いたところだったので、なおさら今は辛いですw
そんな週の終わりには、前から行きたかった栃木県の唐沢神社に行ってきました。唐沢城址にある神社で、お城好きには堪りません。また、ここはにゃんこがたくさんいることで有名なのでずっと行きたいと思っていたんです!丸々して毛ツヤの良い可愛い子たちがのんびり過ごしていて、参拝客に可愛がられ地域猫として平和に暮らしているのが、とても嬉しく思いました。
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