Amy's This Week

2023.07

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2023.07.12

7/3-9, 2023 古代メキシコ展と、『トゥー・レスリー』

前売り券を購入したのは随分前だったような気が。昨今はフィジカルな券ではなくモバイルが多いので、時々自分のケータイの中をチェックしないと、買ったのか買っていないのか分からなくなってしまいますw

そんな折、新聞で古代メキシコ展の記事があり、「あ!」ww やっぱりありましたw 気がついて良かった〜!というわけで、午前中仕事の打ち合わせで出掛けた帰りに、上野に寄ってきました。こんなことが出来るのも事前予約ではなくなったから。私の日常はほぼコロナ前に戻りました。

それにしても暑〜い!!あ〜、そういえば私がメキシコ・シティからテオティワカンのピラミッドに行った時も暑かった。なんてことを思い出しながらの久々トーハク平成館でした。

歴史といえばヨーロッパばかりに興味が向く自分ですが、何と言ってもメル・ギブソン監督の『アポカリプト』(2006)は強烈でした。メル監督作品の中では一番好き!ピラミッドの中央にある歩幅の狭い階段は、なんと生首を転がり落とすためだったんですよ!(あくまでも映画ですw)とドキドキしたし、いろいろ面白いと言ってしまったら私の人格が疑われるんじゃないかと心配してしまいますがw まあ、面白かったのですww

そんなわけでお久しぶりの国立博物館。何気に上野駅から遠いし、その中でも平成館は入り口からまた遠いのよね。暑さが身にしみるけれど、中は涼しいので到着したらまずは汗を拭いて、一呼吸してから見学開始です。撮影OKなので写真は全て私が撮りました。

いきなりカマしてくれるアステカ文明!『装飾ドクロ』です。古代メキシコ展と名打っていても、この辺りの文明はやたら長い年月に渡っていて、マヤ文明は紀元前2000年頃から、スペインがやって来る1500年くらいまでのおよそ3500年に渡るんですよね。でこのドクロは15世紀後半なので最終盤。さて、「頭蓋骨を胴体から切り離し…」と解説にあるこのドクロ、さて胴体から切り離されたのは死んだ後でしょうか、死ぬ前でしょうか…。

どうしても一見は牙のある豚に見えてしまいますが、これはジャガーですw 『アポカリプト』を観てもジャガーを崇拝していることが分かります。でも『アポカリプト』はスペインがやって来る頃なので16世紀初頭、このジャガーの土器は8世紀前後。マヤ文明の息の長さにはヨーロッパもアジアも及びません。

なんか可愛い!『クモザルの容器』です。これがまた950年〜1521年という、まあなんという大雑把な年代特定w ヨーロッパでもアジアでもこれはあり得ないことですよね〜w アラバスターに目は黒曜石を嵌め込んだかなりの芸術品。耳にピアスの穴があるのが擬人化しているのかしら。それにしてもこれほど長期に渡る年代特定しか出来ないのに、最後は1521年としっかりと細かく刻んでいることに興味が湧きます。1521年に何があったのか?

『チコメコアトル神の火鉢』1325~1521年。これも1521年で区切っていることに気付き、いよいよ気になる1521年w 手にしているのはトウモロコシで、なんだかお店から顔を出して「はい、いらっしゃい!美味しいトウモロコシあるよ!」的な雰囲気ですw

さて、全ての展示を見終わってからやはり最終的に一番不気味だったのがこちら。『シペ・トテック神の頭像』アステカ文明の1325-1521年です。気になったので調べたら、1521年にアステカ文明が崩壊したんですね。だからケツカッチンということで1521年が特定出来るようです。でこちらの頭像、何が怖いかって、『シペ・トテック』とは「皮を剥がれた我らが主」という意味で、生贄となった人間の皮をまとった神の像だそう。アステカの王たちは戦争時にはこの神に扮した…って、要するに実際にやったってことですよね。ハンニバル・レクター博士も真っ青です。ゾワ〜!

生贄用のナイフ。1502-1520年。まさに『アポカリプト』の頃かな。歯と目が付いていて可愛いくらいw 儀礼用のナイフということで、神に捧げる生贄を殺すことは儀礼なんですよね。

何やらとても綺麗なコレ『錐(きり)』だそうで、200-250年頃のテオティワカンの月のピラミッドから出土したヒスイの錐。生贄2体の肩に刺さった状態で発見されたとか。うわ〜。まあこれを肩に刺しても死なないと思うので、殺してから儀礼的に刺したのかな。ちなみに、テオティワカン遺跡のピラミッドは現在登れなくなったようです。なんと残念な。私が行った10年くらい前は自由に登れて、先に太陽のピラミッド(一番大きい)に登ったら暑い中ヘロヘロに疲れてしまい、その後行った月のピラミッドは「もういいや」と登りませんでした。その下からこんなのが出てきたんですね〜。

こちらも同じく月のピラミッドから出土した首飾り。貝製です。展示方法の素晴らしさもあって、素朴なネックレスがとても素敵に見えました。

このカッコ良いモノは『死のディスク石彫』。腑に落ちないのは、展示作品の大きさを記してくれていないことです。絵画では必ず縦横のサイズが記されるのに。このディスクとはかなり大きくて、見上げるようにして撮影しました。そして謎は、コレは一体ナニ?『死のディスク』ってそれは見れば分かります。『石彫』というのも、そうか、石を彫ったのね、と理解しますが…その目的は?儀礼用の何か?鼻の部分にはナイフを差し込んだそう。はて、一体これは何なのかしら??

これも見れば分かるそのままな『小坐像』w 高さ5-6cmでしょうか。これもサイズが表記されていないのではっきりしません。ただ「小」というだけw なんだ古代メキシコ展、大雑把だな〜。ちなみにこの材料も「緑色岩」って、それも見れば分かるんだけどなw

出土した生贄が身につけていた装飾品で、こちらは「ヒスイ輝石岩」と材料は判明しています。生贄は神様への捧げものだから、しっかり装飾されるんですね。『アポカリプト』では、生贄にする人間の体に塗料を塗っていました。さすがに「体」は残らないので、塗料が塗られていたかどうかは分からないのでしょうね。

ケツァルコアトル(羽毛のある蛇)の神殿。これは実物大かな。バックの写真と手前の展示品とのコラボで、迫力の存在感です。

ケツァルコアトルのピラミッドには地下トンネルがあり、そこから出土した二体。こちらは荷物を背負う男性です。ほぼ三頭身w これは捧げ物ではなく、働いていた人をお供として一緒に埋める代わりの人形でしょうか。兵馬俑的な?理由が判る解説などが無いのは、研究者たちにも意味が分かっていないということなのでしょうか。ちょっと欲求不満が募ります。

二体目がこちら。こちらは女性像だそう。二体とも男女の身体的特徴は表現されていないので、服装(女性はスカートとか?)で男女を識別しているのでしょうか。なんかこの人、樹木希林さんに似てるww

今回展示品の中で1、2を争うほどのお気に入りの品がこちら。『トランペット』です。同じケツァルコアトルの地下トンネルから出土した、いわゆる法螺貝かな。精巧に彫られているのは人物とワニに似た神。遠隔地との連絡に使用されたらしい。実際に使用されたコミュニケーション・ツールだったんですね。

こちらはテパンティトラ神殿の壁画写真です。なんとなくバリ島の美術を思い起こす雰囲気ですが、左右に立つ三頭身の人物で、マヤ文明なのだと分かりますねw 私はテオティワカンには行ったのに、ここには立ち寄らなかったことが悔やまれます。下部の地味な部分にある細かい人物たちの動きがとても興味深くて、ずっと見ていられるようでした。

可愛い!ww 『奇抜なアヒル』と名付けられた鳥形土器は、土器に貝殻や緑色岩などでデコレーションされています。出土した時からこうだったのでしょうか?頭の赤い部分は何で出来ているのかな。詳しいことが全然分かりません!

お〜『千と千尋』の湯婆婆じゃないですかwww 猿の神だそうです。そしてその好物のカカオの実からなる土器の蓋ですって。

あ、これは今話題のキャンドル・ジュン氏ww と思ったのは私だけではないはずww 捕らえられた捕虜を石に彫ったものです。ああ、ますます『アポカリプト』の世界ですよ。この後この人は生贄になるのかもしれません。

出た〜!!チャクモール!!これを見たくていつかチチェン・イツァに行きたいと思っていました!が、先にあっちから来てくれたww このお腹の部分に生贄の取り出した心臓を置くんですよ。1000年以上前のものだと、ここに血液反応があるかどうか調べることは出来ないのかな?よくドラマでやってるルミノール反応っていうの?映画では取り出したばかりの心臓がまだドクドク動いているんです。いや〜ここにあれが〜って想像してしまうとブルっと震えがきましたw そんなチャクモール、たくさんあるんですね。

この古代メキシコ展では展示物のサイズ表記がないので、こうして説明を書こうとするとすごく難しいです。この『鷲の戦士像』は巨大でした!人間の実物大以上だったと思います。見上げました。こうした展示品を破損させずに太平洋を横断させる空輸技術が日本は世界一なのだとどこかで聞いたことがあります。だから日本は美術展や博物展が多いのだと。ありがたいことです。

以上いくつか印象的だった物をピックアップしてみましたが、実際に私が撮った写真はこの倍以上!それほどさすがトーハクな展示品の数でした。あまりに展示数が多いと結局何も印象に残らず観終わってしまうことがなきにしもあらずでも、撮影OKとなると後から振り返って見ることが出来るので、再度自分のお気に入りを選ぶことが出来ますね。

絵画作品の美術展物販エリアでは撮影禁止と表示があります。そりゃあそうですよね。絵画の絵葉書やポスターが商品なのですから、写真撮られたら商売の妨害行為にあたるでしょうw でもここにはそんな表示がなかったので…思わず撮ったコレ。誰がアトランティス像と一緒にお出掛けしたいの??www これハニワでもあった気がw んハニワはぬいぐるみだったかな。チャクモールの何かがあれば絶対買いたかったのに無かったのは残念でした。仕方ないので(何かは絶対買いたいモードに入っているw)ドクロの像のブックマーカーを2個だけ買いましたw そういえば…私は今でもちょっと曜変天目茶碗のぬいぐるみを買わなかったことを後悔しているんですよね…w

まあとにかく、さすが世界に誇るトーハクでの特別展。膨大な量の展示で、いや〜、観終わったらもう疲労困憊ww 特別展のチケットで当日に限り常設展も観ることが出来るんですが、誰がそんな余力を残すんですかw 私が小学生だったら、この夏の自由研究は決まりましたね。古代メキシコ研究ですw 小学生の時にこんな凄い展覧会を見てしまったら、その子の人生はどうなるでしょう。きっと私の歳までにはテイオティワカンどころかチチェン・イツァや、アステカの遺跡を求めてグアテマラやエルサルバトルなど危ない地域にまで旅する子に育つかもしれないですね。

一つ突っ込みたいことがあります。前述しましたが、マヤ文明始めメソアメリカの文明ってスタートは紀元前ですが、紀元後はスペイン人たちがやってくる16世紀まで続いているんですよね。それをひっくるめて『古代』と呼んでしまうことには違和感を禁じ得ないです。16世紀って古代じゃないもの。あ〜ごめんなさい。こういうのを「いちゃもん」って言うんでしょうねwww ごちゃごちゃ言っていないで、とにかくただ観て感じろ!的な、展覧会かもしれませんw 9月3日までとはまさにレイバーデイまでか(いえ単に8月末の週末ですねw)。異世界を感じに上野へどうぞ。あ、福岡、大阪へも行きまっせ!
https://mexico2023.exhibit.jp

 

そんな週の一本は、『トゥ・レスリー』です。

何と言っても大好きなケイト・ブランシェットが主演女優の演技を大絶賛したと知り「これは観なければ!」と、上映館を調べて行って来ました。

端的に言えばアル中になった女性のお話です。アル中作品といえば、古くは美しいテーマソングが哀しみを増す『酒とバラの日々』(1962)や、近年ならニコラス・ケイジの絶頂期『リービング・ラスベガス』(1995)が頭に浮かび、いずれも悲劇。がこの『To Leslie』はハッピーエンドです!やはり21世紀にもなったら、アルコール依存症は克服しなくちゃねw

ニコラス・ケイジがアル中患者の演技でアカデミー賞を受賞(1995)したように、呑んだくれの酔っ払いな演技とはきっと難しいのでしょうね。だから評価される。この単館系作品も、ケイト・ブランシェットをはじめケイト・ウィンスレット、グィネス・パルトローなどがその演技を大絶賛して、一躍主演のアンドレア・ライズボローはアカデミー賞ノミネートになったようです。同業者だからこそ評価出来る素晴らしい演技ということですね。

とはいえ観ているこちらは演技シロウトですから、彼女は本当の酔っ払いにしか見えません。匂いまでしそうで嫌悪感以外の何物でもなく、観ていてイライラします。もし身近にいたら、縁を切りたいです。なので、よくぞ持ちこたえて復活したな〜と感心したし、地元の人々の愛の素晴らしさに感動しました。

その地元の知人役で冷たく厳しく、でも愛あるめちゃ良い役がなんとアリソン・ジャネイでした!あの大好きだったドラマ『ザ・ホワイトハウス』の報道官CJです!CJ大好きだったので、これはもう嬉しい驚き。良い役でしたよ〜。

感動したとネタバレしてしまいましたが、宣伝でも涙の感動作!と謳っているのでOKでしょうw まあアル中には同調出来ないのでそこまで感動出来るかといえば主人公に対してはビミョーなところながら、周囲の人々の決して見捨てない愛に大感動でした。私もそうなりたいです。その前に、身近にアル中はいて欲しくないですけどねwww

 

殺人的な暑さの日々が続きますが、その合間でホッと一息な曇りの日に奥多摩に行ってきました。めちゃ気持ち良かったし、そこで野生の鹿に逢えて大感動でした!そ〜っとそばに寄り写真を撮りました。「オマエ何?人間?」とでも思っているかのように、キョトンとしばらく見つめて頂けましたw ありがとう!!東京も広いです。