Amy's This Week
2009.08
8/3-9, 2009 週報
なんともまあ、続きますね〜(涙)。水曜日に入ってきたSTのス テージ落下のニュースですが、「また怪我をした」という速報に、最初 は「いつのこと言ってるの?」って感じでした。まさか、こう立て続けに事故るとは。しかも、良いか悪いか判らないことに、やってしまった場が通常公演ではなくフェスティバルだったので、それだけ注目度も高く、ニュースも画像や写真なども共にアッとゆー間に広まりました。
まあ、画像や映像はそれ自体が真実なのですからそのまま受け取るのみですが、文章となると元は英語。そこで、それを読んで最初に訳した人の日本語が、あっとゆー間に日本中に広がるわけです。すでに日本語があれば、わざわざ英語の文章を読もうと思わないのを責めることは出来ません。でも……危険なのはその訳が、真実とは違っていた場合です。
今に始まったことではなく、90年代の『9Lツアー』のときもメンバーの負傷が続き、ツアー中断→再開→中断→再開と繰り返したわけですが、そういうときは本当にファンは心配するものです。近年のSTの喉の手術のときも心配したのは記憶に新しいところですが、正直申 し上げて、私がほんとうに嫌だなと思うのは、必ずと言っていいほど、 どういう状況かという推測はいいのですが、憶測…つまり、臆して測る…勝手に悪い方向に考えて言う……ということになりがちな人々が多いと言うことです。
それが人の心理といえばそれまでですが、我々はそんな人たちに真実を伝え、安心してもらうのが仕事でもあるので、必死に世間の憶測と戦うことになります。若い頃のバイク事故以降で、STの最悪の負傷といえば9Lツアー時の靭帯裂傷でしたが、あのときも散々「STはもう歩けなくなる」とか、「ツアーはもうできない」とか、いろんな憶測が飛び交いました。幸いだったのは、今ほどネット社会ではなかったことです。良い意味で「知らぬが仏」だったファンも多くいたわけです。
が、数年前の喉の手術のときは、あっという間に「STが喉頭癌になった」とか、癌まではいかなくても、「喉にポリープが出来て摘出するらしい」とか、ご丁寧に「良性のポリープらしい」なんて話まで出る始末。たいしたことではないので正式発表がされずにいると、「発表出来ないのはよほど深刻な状況だ」とまで言われてしまっては、本当にファンって実はSTにどうなって欲しいの?などと、聞きたくなってしまいます。今もまた、「呪われている」とか「憑かれている」なんて噂もありますよね。日本だけではなく、アメリカにもホーンテッドマンション(取り憑かれた屋敷)というくらいですから、世界中そういう観念はあるんでしょうが、なにもファン(という人たちが)が言う必要はないでしょうに。
これは私個人の、非常に子供じみた考えかもしれませんが、ファンというからには、世界中にクソみたいな曲だと言われても「サイコー」と言い、世界中にカッコ悪いと言われても「ステキ♪」と言う……そんな盲目的な愛を抱いていていいんじゃないかと思うのです。だからこそ、 アーティストはファンを大事にするんです。どんな状況にあっても勇気をくれ、自信を取り戻させてくれるから。だから、セットリストを見て選曲をどーだこーだ言ったり、新曲や新アレンジを聞いてどーだこーだ言うのは、ファン以外の評論家やマスコミに任せておけばいい。ファンは、どんな状況下においても、エアロ最高!と言い続け、STは我々ファンのために続けてくれる、戻ってきてくれる、不死身なんだ!と、アホと言われようと、なんだろうと、思い続けていたいと思うのです。
英語で熱狂的なファンのことを「フリーク」と呼んだりします。「異常」だとか「気違い」なんて意味もありますが、私はフリークと呼ばれるのが大好きです。TPとしてアメリカに行くと、バックステージでは「ジャパニーズ・フリーク集団が来たぞ」なんて、冗談めかして関係者に言われることがあります。私はそれを、とても誇りに思っています。バンドに会うチャンスを得たファンに「何をプレゼントしたら一番喜ばれますか?」と聞かれれば、必ず「カードか手紙」と答えます。なによりも、不屈の愛が一番のSTへの治療薬になるからです。
ということで、実はだれよりも心配しているであろう実の娘が「大丈夫」と言ってくれているのですから、我々も心配ではなく、信頼を寄せていきたいと思うわけです。そして、愛と信頼と言えば…この週遂に公開になった映画『HACHI- 約束の犬』を観ました。
ストーリーは結果まですべて知っているのだし、泣くのも予定済み。犬 が可愛いのも、リチャード・ギアが良いのも判っていること。もちろん、そーゆー意味で安心して子供を連れて観に行ける優等生な作品でありますが(あの愛子様も鑑賞されたとか)、映画ファンとしては、いや私はさらにラッセ・ハルストレム監督のファンなので、この判りきった映画の中のどこにハルストレムらしさを探すか…なんて観かたを楽しみました。
北欧出身の同監督は、もちろん英語出来るのでハリウッド進出しているわけですが、やはりそこは外国人としての言語の壁があるのではないかと思うのが、彼の作品に共通する寡黙さです。主人公はだれもが共通して多弁ではなく、また、登場人物の暗い過去や、亡くなる哀しいシーンなど、本当に軽い描写のみで、映画の行間を読ませるような表現をします。そこは「淡々としている」と一言で片付けられることもあるでしょうが、私はファンなので、その淡々さが堪らなく良いわけです。今回もたっぷりと泣いてしまいました。
また、ケイリー=ヒロユキ・タガワという日系二世の素晴らしい役者さんや、秋田犬の歴史や、実際の渋谷にあるハチ公の銅像についてなど、ハルストレム監督の日本への愛やリスペクトもたっぷりと感じました。とても嬉しいことです。日本人のみならず、少しでも多くのアメリ カ人がこの映画を観てくれることを、切に願います。
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