Amy's This Week

2024.10

09
2024.10.09

9/30-10/6, 2024 『サウンド・オブ・フリーダム』

この週は相変わらずいつものように病院行って仕事して映画を一本…なマイ・ルーティン・ウィークだったので、めちゃ衝撃を受けた今週の一本について。 『サウンド・オブ・フリーダム』です。

お昼に病院が終わって、さてちょうど良い時間の一本はあるかな?と上映中作品一覧を見ていたら、なんだか地味な作品っぽいのにやたら評価が高かったので観て見ることに。5点満点で4.5ってめったにないですからね。(以下ネタバレになるので嫌な方はスルーして下さい)

平日の昼間だというのにめちゃ席が埋まっていてびっくり。何が起きてる?的なドキドキから始まりました。まず一番最初に「Based On True Story」と出ます。実話を元にした作品。オーケー、観る心構えは出来ました。舞台は南米ホンジュラス。私にはまったく馴染みの無い場所だけど…可愛い子供2人、9歳くらいのお姉ちゃんと5歳くらいの弟です。お姉ちゃんは歌うのが好き。そこで近くで子供のタレント養成所のような所へお父さんは子供2人を送り届けます。中には子供達がいっぱい。いかにも自身モデルのような女性が「では、お迎えは午後7時に」と言ってドアを閉めました。

その後夜7時に迎えに行くと…なんと部屋はもぬけの殻。人がいた気配すらなく途方に暮れる父親。そこでようやく騙され子供達が連れ去られたと悟るのです。

身代金目当ての誘拐ならまだマシ。危険を犯して身代金を狙うより、小児性愛者対象の人身売買の方がよほど儲かるのです。こんなセリフもありました。「客がヤクを買うのは1日1回。でも子供なら1日5回でも10回でも売れる」最初は意味が分からなかったけれど、不幸にも段々理解出来るようになります。子供達を集めた施設に小児性愛者たちを呼んでのパーティー。それが建物ごと、或いは島ごとといった大規模で繰り広げられるのです。大物政治家やIT長者など超金持ちが対象の巨大マーケットは、今や奴隷制度のあった古代ローマから南北戦争時代のアメリカなど、いつよりもどこよりも、現在が一番子供の奴隷数が多いのです。しかも性奴隷です…。

そんな組織の奴隷になってしまった子供達には地獄でしかありません。想像出来ますか?5歳や6歳の子供が文字通り身体を引き裂かれ暴行されるのです。想像も出来ないですよ。想像出来るとしたらその子の絶叫だけ…涙。

誘拐されるのは主に南米で、メキシコまで運び待機。主な顧客はアメリカ人です。一部の超金持ちな異常者たち。でもそれを許さないと立ち向かったのもアメリカ人。メキシコとの国境で小児性愛者(=ペドフィリア。小児性愛=ペドファイル)たちを見つけ逮捕していた国土安全保障省の捜査官ティム・バラードが、犯罪を根から断って子供達を救おうを現地に向かいます。

前述した姉弟の父親がティムのデスクにあったティムの家族写真を見て、ティムも子供のいる親だと知りこう尋ねます。「娘のベッドがカラなのにあんたは眠れるか?」と。グッとくるシーンでした…。

が!ここで私は訴えたいです。子供がいるから子供を失った悲しみが理解出来る=子供がいなければ子供を失った悲しみを理解出来ないのか?そんなことは無いですよ。では、人を殺した事がなければ人を殺すことが大罪と理解出来ないでしょうか?これは想像力の問題です。想像力の無い人間なら、たとえ子供がいてもネグレクトしたり虐待したりします。残念ながら世の中そう珍しいことではないですよね。逆に、想像力さえあれば子供がいなくてもペドがどれほどおぞましく許せない行為か分かります。どれほどお金を持っていようが、やって良いことと悪い事があるわけです。絶対にペドを許してはいけません。

閑話休題。現在品物としてアメリカへ密輸出されている子供達の販売価格はすでに武器の販売額を上回っており、麻薬の額を上回るのも時間の問題だというのです。つまり、闇の輸出でやがて最大となるのが人間であり子供になるかもしれない事実があるというのです。驚愕しませんか。

主人公のティムが奮闘した結果、5歳の男の子を救って父親の手に渡します。がその時にまだお姉ちゃんが囚われたままだと知り、ティムは命掛けで女の子を救うために現地に向かいます。ジャングルの奥へ。まるで『地獄の黙示録』のような状況なのですが、これは実話なのでした。

息子は戻ったけれど娘はまだどこにいるか分からない。そんな父親の苦悩のセリフが前述の「娘のベッドがカラなのにあんたは眠れるか?」でした。眠れるわけがありません。人と一緒にして大変申し訳ないのですがお許しを。人間の子供がいなくても犬や猫も息子であり娘です。我が家の息子が誘拐されたとしたら絶対に許しません。小さな体にイタズラすることを目的とするヤカラに販売するなんて、もうその犯人を捕まえて殺したいと思うでしょう。いっそ、むしろ病気や交通事故で亡くなった方が諦めがつくかもしれません。そう、想像力。それがもし人間の子供だったら?地獄の中で1日何回もさらなる地獄を味わい、その子がそのまま成長したらどんな将来になるのか。本当に本当に許しがたい犯罪です。

映画の終わりのエンドロール時に、ティムを演じたジム・カヴィーゼルが真剣に訴える映像が流れます。前述したこの犯罪に関する数などはここで知りました。驚愕。とにかく子供の人身売買目的の誘拐がどれほど多いか、その問題をより多くの人に知って欲しい。その為にはこの映画をまずは1人でも多くの人に観て欲しい。それも一時停止が出来ず集中して観る事が出来る映画館で。中には経済的理由で映画館で映画を観ることが出来ない人もいるかもしれないので、よければそうした人たちの分を先払いする『ペイ・イット・フォアード』をして下さい。これは寄付ではありません。先払いです…。

上映前に劇場から「この映画のラストで出るQRコードを携帯電話で撮影するのはOKです」と告知がありました。そこで私もQRコードを撮ってみると、10人から100人?200人?300人?と人数が出てきて、その人数分をApple Pay(私はiPhoneなので。他の手段もあるはず)出来ます。私は最低の10人を選んでみました。すると金額は15ドルで、アメリカの映画料金の安さにちょっと安堵したのは正直なところ(スミマセンw)。日本じゃあ1人分ですもんね。良いんです。取り敢えず自分も参加出来たことで十分。

その画面は英語表記だったので、年配者の多い平日昼間の回でどれだけの人が先払い出来たかは分かりません。それでも上映が終わったところで盛大な拍手が起こりました。えっ?映画館で終演時に拍手が起こったのは『ロッキー・ザ・ファイナル』以来でしたw うわ〜と感動というか何というか。エモさのムーヴに圧倒されて私も拍手しました。多くの観客は自分のお孫ちゃんを思ったのかもしれません。きっと友人たちに話してくれるでしょう。その結果の平日昼間の混みだったと分かりました。

公式のトレイラー(予告)を貼っておきます。この週報をご覧になった貴方、貴女も映画館に足を運んで下さったら嬉しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=Nf6S5PlzrAE

私が初めてアメリカに行ったのは1979年で、それ以来ずいぶん通っていますがいつのことか、スーパーで売っている牛乳に子供の写真が付いていることに気付きました。MISSING=行方不明です。こうした広告を出すということは、身代金目的の脅迫は来ていないということ。だから親はもう何目的で誘拐されたか分かっているんですよね。私はこうした広告をよく見ていましたが、そこまでは考えが及んでいませんでした。今になって「そういえば…」と気がつくという…平和な日本人でした。

単なる迷子案内ではなかったのでしょう。アメリカの闇は深いです。

いつだったか、ニューヨークにいた時にiPhoneからもの凄い警告音が出ました。え?地震?いやニューヨークで地震は無いはず。よく見ると『アンバー・アラート』とありました。え?アンバー・アラートって何?

すぐ調べました。すると周辺で子供が誘拐された場合に出る緊急アラートで、これが鳴ったら周囲に嫌がる子供を連れた大人はいないか見回せ、というアラートだったのです。なんと。こうしたシステムが確立されているのは素晴らしいと思いつつ、いや、こんな社会がどれほど悲しいというか情けないというか…。とにかくすぐ真剣に周囲を見回しました。残念ながら何も怪しい事は見受けられませんでしたが…後になって、いや、いかにも怪しい様子を見せる犯人などいないはず。睡眠薬を使用して、いかにも寝ている我が子を抱いているだけ…なんて演じている人がいたのかもしれない、なんて思ったりしました。ニューヨークシティの人混みの中には何があるか分かりません…。

『はじめてのお買い物』なんてテレビ番組がある日本。でもあれはあくまでもテレビで、近くにはカメラマンやクルーがいて見守っているわけです。真似して実際に子供を1人で買い物に出すのは自重した方が良いかもしれないですよね。私が子供の頃は、田舎へ行った時よくおじいちゃんのタバコを買いにお使いに行き、お駄賃(10円とか?w)を貰ったりしていました。古き良き時代だったのかな。今や時代は変わりました。

…とまあ、今週は深刻なコトを書いて恐縮です。でも本当にこの映画を観て初めてこの犯罪の酷さ、汚さ、残酷さを知り、驚愕したので書かずにはおれませんでした。日本は離れてはいるけれど、大体の犯罪はアメリカの数年後、数十年後に日本に上陸?感染?するんですよね。いやらしいことを書いてしまうと、性犯罪者の中にはアジア人を好む人もいるのが事実。それなりに需要はあって、良い商売になり得るのです。どこの国においても、子供は宝です。私たちの未来です。この映画をご覧頂けたら嬉しいです。

https://hark3.com/freedom/

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https://theaters.jp/20788