Amy's This Week
2021.04
4/5-11, 2021 あやしい絵展と、『ビバリウム』
本当にしつこいCOVID-19は、変異種となって関西で大暴れ。東京ももうすぐ!ということで、1月からの緊急事態宣言が解除されてまだ半月なのに今度は『まん延防止等重点措置』が適用されることに。『まん防』と省略するのはふざけた感じになるから止めましょう、となったのは納得ですが、なぜ報道では「蔓延」ではなく「まん延」なのかしら?w
差し当たり私の生活はあまり変わりません。ん、実は3月末、緊急事態が解除されてすぐ、3人で飲み会をしました。新年会ww もちろん21時前にお開きしましたが…あの時やっといて良かったww 再び地味〜な毎日ですよw では前の週に行った国立近代博物館『あやしい絵展』のことを。
「あやしい」って、「怪しい」「妖しい」「奇しい」…など、漢字にするといろいろありますよね。ちょっと怖かったり、セクシーだったり、変わっていたり…何れにしても、どこか惹かれるものがあります。私にとってあやしい絵を端的に挙げれば、クリムトやクノップフ、ギュスタブ・モローなどが浮かぶところでしたが、そのどれもありませんでした。やっぱり絵画の世界は奥が深いです!日本画もあやしい魅力がたっぷりでした。
会場に入ってまず目についたのが、あやしい魅力の猫!稲垣仲静の、その名も『猫』。パッと見、可愛い!という感じではないながら、こんな子が甘えてきたら堪りませんw それにこの目!油絵のように、猫の目がウルっとしていてあやしいですw 稲垣仲静は今からおよそ100年前に流行した感染症、腸チフスに罹って、わずか25歳で夭折したとか。さぞや無念だったことでしょう。そんな思いで見るとまた、この猫のあやしさが倍増します。
日本画の知識がほぼ無い私には、多くの日本画を観るのはとても興味深いことなのですが、やはり本来は洋画ファン。なんとロセッティがいるじゃないですか!あるとは知らなかったので大喜びw ダンテ・ガブリエル・ロセッティの『マドンナ・ピエトラ』です。魔性の女=ファム・ファタルといえばロセッティ。私は特にこの人の描く女性の唇が好きです。シンデレラのトム・キーファー的な唇ねwww (わかる?w) このマドンナ・ピエトラは、彼女に恋した男を石の中に閉じ込めてしまうとか。この石の中に閉じ込められた男たちが入っているんですよ!ロセッティが好きそうな題材ですw
そんな私の大好物であるラファエル前派と密接な関係にあるエドワード・バーン・ジョーンズもたくさんありました。彼の晩年の作品フラワーブックから。これは『天国の薔薇』。フラワーブックは全38点あり、全て花からのイメージ画です。この『天国の薔薇』は、平和の象徴である鳩がたくさんとまっている天国への道をやって来たところ、つまりこの美しい女性は亡くなったんですね。彼女を薔薇と称するのは手向けの意味もあるのかもしれません。
これは『もつれた愛』。バックにあるのはつるバラで、英語ならTangled Roses。そのTangledは紐などが絡む(私はこんがらがる…と言いますww)ことを言うので、そこにかけているんですね。糸が赤くないのは、そもそも西洋に赤い糸の伝説は無いからだと思いますが、バーン・ジョーンズは東洋のこの伝説を知っていてこれを描いたのでしょうか?
これは『白い庭』。一面の白い花は百合のようです。百合は純潔を表すので、圧倒的に聖母マリア、特に受胎告知のシーンに登場します。が、そのマリアの産んだ子供キリストは、無条件の愛で人類を救うために死を迎える…白い百合は「死」の象徴でもあるのです。そこでこの二人は、もしかしたら処女のまま亡くなった若い女性たちを表しているのかもしれません。
他にも『フラワーブック』からの作品が展示されるようですが、それは会期後半だそうです。うう〜後半にもう一度行こうかしら(^^; 取り敢えず、探してみたら見つかったので中古のペーパーバックで『フラワーブック』を注文してしまいましたw 早く届かないかな?それで満足出来なかったら、後半にもう一度行って来ます!
さて日本画に戻ると…コロナ禍となった昨年から日本画を観る機会が増え、いろいろ知りました。その一つが安珍と清姫のお話です。で話は飛びますが、私が幼い頃我が家に『娘道成寺』のお人形が飾られていて、「これは『娘道成寺』と言うのよ」「ふ〜ん」といった母親との会話だけが記憶ある中、まさかあのお人形が清姫の化身だったとは!ガ〜ン!そんな怖いものを我が家は飾っていたのかっ?!と驚愕したのも、私のコロナ禍での出来事でしたwww
そんな恐ろしい安珍清姫にまつわる作品が、『あやしい絵』展に無いわけありませんね。期待通りたくさんあって「出た出た」とニヤニヤしてしまいましたww これは大好きなw 月岡芳年の『清姫』。戻って来ると約束したのに戻らない安珍を追って川に突き当たったところ、清姫には船が無かったので蛇に変身して川を渡り、川辺に上がったところです。血みどろ絵で有名な芳年的には上品ですが、清姫の着物の柄は蛇の鱗を表しているようだし、川でぐっしょりと濡れて乱れた髪、愛の裏返しな憎しみや裏切られた怒りに満ちた表情は妖しさ、怪しさ、奇しさの極みです。
こちらは木村斯光の『清姫』。大正末期という時代の作品も並べて観せてくれる、近代美術館の良さがありますね。この着物の柄は首元に蛇の鱗、前身頃や帯には清姫の最後の姿=巨大な蛇=龍が描かれています。目つきもあやしい。でも綺麗。不思議な魅力があります。
こちらは小林古径の『清姫 鐘巻』。お話のクライマックス、龍になった清姫が、中に安珍が隠れている鐘にまさに今巻きつこうとしているところです。昭和5年の作品というのにとてもクラシックな雰囲気。こうして日本画は後世に伝わっていくんですね。
さて最後に…、バーン・ジョーンズの『フラワーブック』からの作品のいくつかは、会期後半(4/20-5/16)のみの展示と前述しましたが、前期の中でも特に最前期(3/23-4/4)のみの展示だったという、鑑賞出来て大変ラッキーだった作品を2点。まずは鏑木清方の『妖魚』です。 大好物の古典主義画家ジェームズ・ドレイパーの『ユリシーズとセイレーンたち』を思い出させます。古今東西、人魚はあやしい存在なんですね。しかもよく見ると、この妖魚は小魚を弄んでいます!あの小魚は、魅力に負けた男たちの姿かも。可愛いアリエルはディズニーの世界だからこそ。実際の人魚は(という表現自体おかしいですがww)もっとヌメヌメした生臭い存在と考えられているんですね。
そしてもう1点、鑑賞出来てラッキーだった上村松園の『焔』です。つい流行りの曲の影響で「ほむら」と読むのかと思ったら「ほのお」でしたw でも、「炎」よりも「焔」の方が強い火らしいですw 源氏物語で、光源氏の正妻に嫉妬した挙句、生霊となって正妻を殺した六条御息所を描いているそうで、美しい藤の花に絡む蜘蛛の巣柄の着物が、その表情と相まってあやしいですね〜。まさに、嫉妬心メラメラというのは、燃える強い炎の音でした。でもメラメラだけではなく、そんな思いを抱く自分を悔いたり、恥じたり、でもどうすることも出来ない情けなさなどが表れたあやしい表情が堪りません。
…ということで、かなり面白かったあやしい絵展でした。以前、上野の森美術館で開催された『怖い絵展』も私の好きな作品だらけでしたが、あの美術館特有の宣伝過多で劇混みだったのは本当にツラかったです。それに対してこちらは、コロナ禍のおかげで日時指定入場なのでゆったりと鑑賞出来るし、日本画も多いので幅広い作品を楽しめました。ああ、本気で後期も行くことを検討します!東京の後は、大阪にも行きますよ。
https://ayashiie2021.jp
そんな週の一本は、『ビバリウム』です。 かなり前、調べてみたら1990年のことでしたが、『V(ビジター)』というテレビドラマ・シリーズがありました。まさか『ビバリウム』を観て『V』を思い出すとはw
いえ、宇宙人が登場するわけではありませんよw ただ、この作品はスリラーなのか、SFなのか、どうカテゴライズすれば良いのかわからないまま、奇しくも「あやしい映画作品」と呼ぶしかない不思議な魅力がありました。ん?魅力なのか?ww
観終わって一切スッキリすることもないし、「なるほど〜」と納得出来るわけでもなく…そんなところに、ベルギー、デンマーク、アイルランド合作作品、というのを感じました。とにかく「あやしい」ww そして、私は嫌いじゃありませんw
ところで、特に面白いなと思ったことは、何度脱出しようとしてもナンバー9の家の前に戻ってしまうこと。この「9」という数字は、必ず戻る数字だということです。例えば、9の倍数はバラして足すと必ず9になること(9x3=27、2+7で9になる)、またランダムに選ぶどんな数字でも、9を掛ければバラして足すと再び9になること(例えば385x9は3,465です。3+4+6+5=18, 1+8=9です)など、なかなか奥が深い!
ということでこの作品、ラビリンス・スリラーというそうです。私は嫌いじゃありません。
さて、最近の多様性重視を尊重して、東京ディズニーリゾートが英語アナウンス冒頭の「レイディース・アンド・ジェントルメン、ボ〜イズ・アンド・ガールズ!」を止めて、「ハロー、エヴリワン!」と変更したと知りました。「ボ〜イズ・アンド・ガールズ!」がいかにもディズニーで大好きだったんですけどね。ちょっと残念。
でもアメリカでは、かなり昔からポリスマンorポリスウーマン(警察官)は男女共にポリスオフィサー、ファイヤーマン(消防士)はファイヤーファイターと言うようになっていました。そのうちグラミー賞やアカデミー賞での男女別も無くなるんでしょうか?なかなか難しい問題ですね。
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