Amy's This Week

2021.04

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2021.04.05

3/29-4/4, 2021 桜三昧…美術館の春まつりと、『ノマドランド』

今年は桜が早いです。いつも3月末に行く病院前が桜並木になっていて、5年前の同日で満開の写真が残っていたのに、今年はすでに7割近く葉桜になっていました。今年の東京では、もう入学式に桜はなさそうですね。世界だと9月入学がスタンダードな中、日本ではそれに反対する人々の声の大半が「入学式に桜が欲しい」という情緒的なもの。今後、毎年のように入学式=桜のイメージが無くなれば、そのうち日本も9月入学になるかもしれませんねw

そんな3月末で桜満開の中、北の丸公園を抜けて竹橋の国立近代美術館へ行ってきました。まずは千鳥ヶ淵の桜をたっぷり撮りましたよ。

千鳥ヶ淵の桜は超満開!靖国神社の中もきっと見事だったでしょうね。時間がないのでまっすぐ武道館へ向かいましたが、多くの人たちが写真を撮っていました。ここはお堀に向かって桜の枝が下がっていて、それがもう本当に美しいんですよね。

北の丸公園へ入り武道館の前を通ると桜の木は無くなりましたが、まっすぐ竹橋に向かって歩くと再び桜の木が出てきました。すでに少し葉混じりながらまだギリOK! この通りは人も車もいなくて、良い気持ちです。

この木はなんでしょうね?すっかり枯れているようで、でも桜のようなお花が咲いていて。少し不思議な木。でも可愛い!

…と、北の丸公園を通り抜けて、代官町通りに出ました。皇居側と美術館側、両側で桜並木。見事です!

桜の下を通って、美術館入口へ向かいます。

ここでは春まつりと同時に『あやしい絵展』も開催が始まったところです。今週は春まつり展だけでめいっぱいなので、あやしい絵展は来週にしますねw まずはたっぷりと、春のお花に浸りたいと思います。

気に入った作品をいくつかご紹介。最初は日本の重要文化財に指定されている川合玉堂の『行く春』です。六曲の左隻です。

右隻も気になって調べてみたら、右隻には桜はありませんでしたw でもこの両方、六曲一双を大きな部屋に並べて広げたら、本当に川の辺りにいるような気持ちになるでしょうね。物凄い贅沢!

次に感動したのは、一つ一つは小さめな作品なのですが、まるで着物の帯のように、横長に各種類の桜を並べて描いたもの。跡見玉枝の『桜花図巻』です。縦35.6cm、横1396.5cm 長いwww 16種の桜が並んでいました。とても素敵!!16枚全部は多過ぎるのでw そのうち特に気に入った4枚を。

笠松紫浪の『桜 上野東照宮』。これは木版画です。桜が見事ですね〜。つい最近、初めての版画展=トビカンの吉田博展で版画を少しだけ知ったので、これも何回摺りなのかな〜?なんて思いました。吉田博の似たような上野公園の桜作品は、たぶん外人ウケを狙っての着物女性を数人入れていて、風俗画のような雰囲気がありましたが、こちらは純粋に桜のみ。そのわずかな隙間から真っ赤な上野東照宮が見えるという、見事な映え作品です。ステキ!

このロマンチックな作品は、速水御舟(はやみぎょしゅう)の『夜梅』。桜ではなく白梅が月夜の中ひっそりと浮かんでいます。桜より早め、まだ少し寒い夜の空気が伝わってくるようです。今年はたくさん春のお花を見て、私は桜より少し地味な梅の方が好きかも…と思いました。

こちらは桜。やはり桜は月夜でもきらびやかに見える気がします。松林桂月の『春宵花影図』。119.3cm x134.5cm と存在感のある作品で、1939年のニューヨーク万博に出品されたそうです。国立近代美術館所蔵。アメリカに買い取られなくて良かったです!

一転して、壁一面を埋めるまさに春爛漫なお花。船田玉樹の『花の夕』です。180cm x 359.3cm 四曲一隻の屏風ながら、派手なピンクで豪華絢爛な花の様子は、この美術館が『近代』美術館であることを思い出させてくれます。日本画も進化しているんですね。

最後に再び跡見玉枝の『桜花図屏風』六曲の左隻です。これぞ王道な日本を代表する桜の図という感じです。その枝ぶりは、千鳥ヶ淵の桜のよう。こうした横にぐにゃ〜と伸びる枝の様子がまた、とても艶やかなんですよね。少しぐにゃっと重心のずれたボッティチェッリの描くビーナスを思い出させます。

…とたっぷり春まつり展を堪能して外に出て、もう一度ホンモノの桜を楽しみました。

美術館入口前には、赤い毛氈を敷いたお休み処が用意されていて、座って桜を眺められるようになっていました。コロナ前は、そこでお団子なども楽しめたそうです。来年の春には…またそうなると良いですね!この美術館の春まつりは4/11(日)までです。特別展の『あやしい絵展』のチケットで春まつり展も楽しめるので、あやしい絵展はまだまだやっていますが、ぜひ4/11までに行って両方楽しむことをオススメしますよ。
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/springfest2021/

 

そんなたっぷり春を堪能した週の一本は、今年のアカデミー賞最有力候補『ノマドランド』です。

「ホームレスじゃない。ハウスレスなだけ」という名言(?)で、改めてホームとハウスの違いを考えました。で、この主人公にとって、ホームは胸の内に存在しているんだろうな、というのが私の結論でした。ゆっくりお風呂に浸かるのが一番のくつろぎになる日本人にとっては、シャワーのみでOKなこうしたアメリカ人の生き方は、きっと永遠に理解出来ないな、とも思いましたw

とにかく本当にアメリカ的なお話です。実際、カリフォルニアからサウスダコタなんて2500キロくらいあって、東京からだと北ならロシア、南ならフィリピンくらいまで。そんな距離を交代要員なく一人で運転する気になりますか?www 絶対嫌ですよ!w

実際にノマド生活をしている人々が出演していて、彼らが「この生活は東海岸じゃ無理だね。第一車を停めるスペースが無いだろ」と笑わせてくれるんですが、逆に広大な西部の荒野で、万が一車が故障したらどうするつもりなんだろ?彼らがAAA(日本のJAF)にお金を払っているとは思えないし、第一ケータイも圏外で、電話すら出来そうもありません。出発前に万全を期して整備して、衛星電話を持って…ってなわけなさそうだしねwww 万が一の時は車の中で干からびるか、外に出て寝転んで、コンドルの餌食になるのを待つか…そんな覚悟が出来ている人たちなのでは?と思いました。

私の大好きなラッセ・ハルストレム監督作品の『サイダーハウス・ルール』では、アメリカ北部のりんご園でりんご収穫が終わると、南へくだってフロリダでオレンジ収穫をする…といった移動する季節労働者たちが登場していました。国土が広大なアメリカでは昔からそうした人々がいたし、そもそも荒野を移動するカウボーイの国であり、または西へ西へ移動するフロンティアの国でもありました。だから、現代になって馬を車に替え移動生活をする人々がいても、不思議ではないのかもしれません。

50代くらいに見える主人公の女性は、どこへ移動してもしっかりと仕事を手に入れます。さらにフラっと訪ねて行って、快く宿泊させてくれる友人や、電話一本で必要なお金を貸してくれる姉妹もいて、ハウスレスといってもかなり恵まれているように見えました。だからこそ、束縛されない車上生活を好んでいるのかもしれません。彼女が今後60代、70代となり、病気になったり、仕事が見つからなくなった時、つまり最低のガソリン代も無くなって、お金を貸してくれる人、宿泊させてくれる人もいなくなった時さてどうするのか?その時こそ、荒野で大の字に寝転び空を仰いでコンドルを待つのであれば、ノマドランドあっぱれと言うしかありませんね。さすがアメリカと…。

 

さて、4月となり新年度を迎えました。弊社も3月が年度末なので、しばらく経理に追われる日々です。昨年度は全然現場仕事無かったのに、なんで経理やらなくちゃいけないの?って思うけれど、固定費は出るんですからそこは仕方ありません(^^; 嫌々ながら頑張りますよ。私も1週間くらい(と言うところが小心者w)、ノマド生活した〜い!www