Amy's This Week
2021.03
3/1-7, 2021 トビカン吉田博展と、『秘密への招待状』
栃木県足利市の両崖山一帯で起きた山林火災が、ほぼ1週間経ってこの週、ようやく鎮圧されました。なんとも胸が苦しくなる事故です。オーストラリアの大規模山火事でもコアラなど甚大な数の動物が被害に遭ったわけですが、栃木だってたくさんの動物がいたでしょう。また、木々が完全に火事前の状態に戻るのに、今後果たして何年かかることか。避難していた民家の方々に被害が無かったことは不幸中の幸いでしたが、人間さえ無事なら良いという考えは令和の時代には許されないでしょう。
まだはっきりとした原因は判明していませんが、出火場所がハイキングコースの山頂付近ということで、もしかしたら登山者の火の不始末か?と言われています。私も山へ行くようになってよく見るのが、山頂での食事の際にバーナーで調理をする人たちです。私自身は、きちんと調理した食事は自宅に帰ればゆっくり食べられるので、何もわざわざ余計な荷物を背負って行こうとは思わないのですが、中には山での調理が楽しみな人たちもいるわけですよね…。
山へ行くと自己責任という言葉が身に染みます。崖でも急登でも手すりなど無いし、万が一怪我をしても山を訴えることは出来ませんよねww よほど危険な箇所は『進入禁止』などの措置が取られていますが、それは本当に「よほど」の場所のみ。あとは登る側の自己責任感を信頼して入山させてくれているのだと思うので、その信頼に応えられるようにしっかりしなければなりません。火の使用についても、火気厳禁の山が増えないように、使用者は万全の対策を講じて気をつけて欲しいものです。
そんな火事が心配な乾燥した関東に、この週久しぶりに雨が降りました。週の半ばで雨となれば「きっと空いてる❤️」と、行きそびれていた上野のトビカンへいそいそと行ってきましたw 吉田博さんも、山が大好きだったそうです。
展覧会は総じて会期終盤に混むものです。が、『事前予約不要』ということから、さほど混んではいないだろうとのんびりしていました。前売りチケットも買いそびれていたしね(^^; だから渡りに船の平日の雨。なかなかの本降りの中たどり着いたトビカンでしたが、期待していたほどガラガラというわけではなく…w どうやら版画家吉田博氏を全く知らなかったのは私だけのようでしたww
そう、全然知らなかったんですよw ごめんなさい(^^; なので今回は、版画と思って見るのにすごく苦労しました。どうしても版画ということを忘れ、絵画と比べてしまいそうになるのです。というか、限りなく絵画のように見えるところが凄いのですね。
明治から昭和にかけてのキャリア前半、吉田博は油彩や水彩の絵画の人だったそうです。これは『穂高山』。油彩です。
明治の時代、欧米では日本美術が人気となり、吉田博の絵画を気に入ったデトロイトの収集家の招きに応じて渡米。そのフットワークの軽さが、のちの吉田博のキャリアに大いに役立ったんですね。だって時は明治。いくらお金を出してもらえるとしても、船で何週間もかけて行くわけですし、たぶんシアトルに到着したと思うので、そこからデトロイトまでだって列車で数日かかったはず。英語だって話せなかったのでは?当時23才頃。若さの成せる技ですね。素晴らしい。
当時そこまで海外進出に積極的だった日本人は少なかったでしょうし、吉田博は一躍海外で大人気。アメリカに続きヨーロッパ、さらにモロッコやエジプトにまで足を伸ばしたとか。芸術家だからこその好奇心からとは思いますが、ただの旅行者としても、日本人の海外旅行フロンティアと言えるかもしれませんね。
海外では日本人画家として、日本では海外の風景を描く画家として順調にキャリアを積み上げた吉田博のさらに凄いところは、49才になってから、活路を版画に求めたところです。さらなる高みや自分のアイデンティを求めた結果だったのでしょうか。版画家との出逢いがきっかけとはいえ、今まで築き上げたキャリアを延長するのではなく、50才を目前としてその機に新路へ向かおうとした気概が、吉田博の凄いところですね。で、長くなりましたが、ここからの版画家吉田博にスポットを当てた美術展だったのです。
自分が行った先で見た山々、すでに油彩や水彩で描いていた山々を版画にしていきます。これは『レーニヤ山』。私には郷愁を誘う山です。なぜなら10代の留学で過ごしたシアトルにある山で、シアトルの日系人たちは『シアトル富士』と呼ぶと言っていました。が、反対側のタコマでは『タコマ富士』と呼ばれているとかww お互いがおらが山と主張し合うところは、シアトルとタコマ、静岡と山梨みたいな関係かもしれないですww
これはカリフォルニアの『エル・キャピタン』。Mac OSの名前にもなりましたねw
最初に水彩の作品を挙げましたが、こちらは版画の『穂高山』です。
私は版画制作をしたことがないので、申し訳ないのですがどのくらい大変なことなのかが、イマイチ分かりません。が、版画ではありませんが、ず〜っと昔にプリントゴッコは使ったことがあり(版画と一緒にすな!と言われそうですがww)、その時なかなか難しかったのが、線で仕切られていない平面で色を合わせてグラデを作ることでした。綺麗なグラデにするのは至難の技。それがこの水面とか、あまりに自然に水の流れや反射が表現されていて、言われなければ水彩画と思ってしまいそうです。
ポスターにもなったこちらは『劔山の朝』。この人の素晴らしいところは、こうした山の中の描写は実際に自分で登山し、テント泊して、下絵を描いていたそうです。何もかも、楽しくて仕方なかったんだろうなぁ。
もちろん富士山もあります。これは『朝日』。宝永山が見える静岡側からの富士山ですね。私が一番好きな富士山です。
あのダイアナ妃もファンだったとのことで、ケンジントン宮殿の執務室に飾られた吉田作品2点。右は『光る海』、左はダイアナ妃が来日時に自ら購入したという『猿澤池』です。ダイアナ妃が瀬戸内海と奈良の風景を気に入っていたなんて、日本人として嬉しい限り。これらの作品は、今どうしているのかな?
その巧みな色彩からついつい木版画であることを忘れてしまう吉田博作品ですが、木版画ならではの展示がありました。同じ版を使用して、いくつかのバリエーションを作れるのが木版画の面白いところなんですね。色彩の妙が楽しい。が、ちょっと突っ込んでしまうと、朝と夕とで影の形が同じというのはムムム…って感じがww いえ、細かいことを言ってはいけませんね!ww
私が特に素敵!と気に入ったのがこちら、『亀井戸』です。藤の花は版画に見えますが、水面はやはり版画とは思えない表現です。
自然な色彩の表現をするためには何度も重ねて摺るからで、吉田博は常に30数回摺っていたそうですが、この『陽明門』は吉田作品中最高回数の96回摺ったそうです。これってもう、とんでもない数なんでしょうね。
これは『上野公園』。海外の人々に大人気な理由が分かりますねw 海外でのウケ狙いで、人々の服装を和服ばかりにしているそうです。そこは見事なビジネスマンww
『タージマハル』と『ファテプールシークリ』。どちらもインドです。これらもまた、エキゾチックな風景が、欧米でウケたでしょうねぇ。
明治9年生まれの吉田博。江戸時代が終わってわずか9年後ですよ。凄まじい勢いで海外に目を向け両手を広げる日本の流れに乗って、自分の絵の才能一つで欧米各地からモロッコ、エジプト、インドと旅をし、日本国内でも好きな山へ通い、それらの体験を全て作品にして、お金にして、それを元にまた旅をして…と、なんとも羨ましいww ましてこれを明治から昭和の時代にやってのけていたのですから、凄い人です。往往にして芸術家には偏屈な人が多いイメージがありますが、彼は人を懐柔するのも旨く、ビジネスのセンスもあったんですね。それもまた、素晴らしい才能です。
とまあ、最後は「羨ましい」で終わった吉田博展www 最後まで版画自体の素晴らしさ、凄まじさがイマイチ実感出来ず申し訳ない気持ちが残りましたが、吉田博という人の凄さはしっかりと分かりましたw 国や時代は異なるも、吉田博はミケランジェロではなく、ラファエロ・タイプな人だったと言えそうです。が、さらにラファエロとは違い早世せずこの時代に74歳まで生きたのは、天さえも味方に出来た人だったのかもしれません。そんな全てに恵まれた吉田博展は、3月28日までです。
https://yoshida-exhn.jp
…と初めての版画展で作家を羨んだw週の一本は、『秘密への招待状』です。
ミシェル・ウィリアムズもジュリアン・ムーアも大好き!なので、内容はどうであれ、絶対に観るつもりでいました。にしてもこの邦題w メロドラマ感満載ですよねwww 『アフター・ウェディング』と、原題をカタカナにするだけじゃダメだったのかなぁw
まあ実際に、わりとメロドラマ感ありますw デンマーク映画のリメイクで、オリジナルではこの女性二人が男性だそう。ジェンダーを変えてのリメイクは、この二人の女優さんのおかげで大成功だったと思います。メロドラマでもこの二人だと品があるので、素直に泣けました(T T
ミシェル・ウィリアムズの役はある意味世捨て人で、そんな人が現実社会に復帰する過程の物語でもあります。それはまたミシェル自身にも重なるところがあって、ミシェル立派!偉いね、頑張ってるね、さすがだね…と、それだけでもちょっと泣きそうになってしまいました(^^; (ミシェルは最愛の人であり娘の父であるヒース・レジャーを亡くしています)
またジュリアン・ムーアがまぁ良いの!ただでさえ子供を出産し(しかも双子!)育てながら、会社も経営するというバリキャリ役がカッコ良かった!時に強引なところもあるけれど、それは感情的にではなく理にかなっていて、それも結果的には決して身勝手ではなく、自分以外の者たちのために動いていて…。まあドラマなんだけどw 本当に素晴らしい女性でした。脚本・監督がジュリアンの夫なんですねw これは妻の魅力を最大限に引き出しますね〜。たまにはメロドラマどっぷりで涙を流すのも気持ち良いですw
あ、あと…気になったのは娘の役で出演していたアビー・クインちゃん。もう私にはみちょぱにしか見えませんでしたwwww
三寒四温とはよく言ったもので、雨と晴れ、暖かいのと寒いのを繰り返しながら、すっかり春になってしまいました(というのは、冬の方が好きだからw)。友人から「毎年凄いのよ」と教えてもらった飯能雛飾り展に、今年こそ行ってみたいと思っていたら、今年はコロナのおかげで開催日程が短く結局行けず終い(泣き) なので画像だけ貼っておきます。来年はマスク無しで行けるかな?
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