3/11-17, 2019 奇想の系譜展と、『運び屋』

この週のメインイベントは、久しぶりに高校の同級生と会って、6時間半も喋り倒したことでした!それほど楽しい時を過ごしたにも関わらず、なんと1枚も(!)写真を撮らなかったという…(泣)。意識まですっかり、『インスタ映え』なんて言葉も無かった時代にタイムワープしてしまったようですw そんなわけで、少し前に行った『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』について。

美術鑑賞が好きとはいえ、私が日本美術の魅力に目覚めたのはつい最近のことです。なので、私にとっては何もかもが新鮮でも、世間の人々にとってはすでに十分知り尽くした常識というか、定番な作品ばかりなのだろうな〜と常日頃思っていたわけですが…。なんと、日本美術のチャンピオンだと思っていた伊藤若冲も人気が出たのは21世紀になってからだとか。また、この美術展でもアメリカから里帰りしての展示作品が多数あるとのことで、いやいや日本美術も奥が深いし、世間の人々でも知らない作品がいくらでもあるようですw 『江戸のアバンギャルド』とは、基本や既成概念の無い私にはピッタリかもwww

いやもう、めちゃくちゃ楽しかったです❤️ 西洋の油絵鑑賞に慣れていると、素朴な墨絵などどうしても地味につまらなく思えてしまう私でしたが、ここはさすがアバンギャルドw いろいろ濃いったら!

8人の江戸時代のアバンギャルド画家作品を集めた中で、やはりトップを切り、最もインパクトあるのは若冲でした。緻密な絵、例えばヤン・ファン・エイクなどが大好きな私には、日本画とは思えないこの細かなこだわりと濃さが堪りません。元々若冲に惚れたのは、鶏ではなく白鶴のビロードのように濃い漆黒の尾羽に惹かれたからでした。この『紫陽花双鶏図』は、その美しい尾羽はもちろん、バックの紫陽花がパッと見、まるでカラバッジオのバッカスの冠のようでした。

カラバッジオのバッカスね。この冠はぶどうの葉なんですが。

とはいえじっくり見れば、見事なまでに丁寧に紫陽花が描かれていて、最も高価な色味の青を、一切生活を心配せずにたっぷり時間をかけて描くことの出来た若冲(お金持ちのボンボンだからねw)ならではの魅力がたっぷり詰まっているのでした。これも、アメリカからの里帰り作品です。

若冲は他にもたくさんあって、なかなか見応えがありました。アメリカ以外では、やはり地元京都に多く残っているんですね。次は滋賀か。いつか琵琶湖周辺のお城巡りをするのが夢の一つなんですが、その時は美術巡りもしなきゃなりませんね。

他にも目を引く作品が多い中、私にとって一番インパクトのあった作品がこの象さんと牛。大きな一対の屏風で、向かい合っている迫力たっぷりな作品は、本当に素晴らしかったです。ああ、これもアメリカにあるのねw 長澤蘆雪(ながさわろせつ)の『白象黒牛屏風図』です。


右隻・左隻それぞれが縦155.3 × 横359.0 cmという巨大さで、そこからはみ出さんばかりの象と牛。よく見れば、白い象の上には黒いカラスが、黒い牛の中央下にはぺっちゃり座る白い犬が描かれていて、色のバランスもばっちり。とはいえ、そもそも白い象もおかしいし、カラスはともあれ、牛と犬の大きさを考えれば、どれほど大きな牛とどれほど小さな犬を持ってきても大きさのバランスがおかしなことになっています(ネズミかよw)。これぞアバンギャルド。奇想展の面白さだな〜と、惚れ惚れ眺めてしまいました。

あと、やっと日本にある作品で気に入ったのはこれ。狩野山雪(かのうさんせつ)の『梅花遊禽図襖絵』です。とても美しかった。

日本画には「花鳥図」という、花と鳥を題材にする典型的な画風があり、これも花鳥図の一種でしょうが、何と言っても主人公は曲がりくねった梅の枝です。これもまた、これぞアバンギャルド。なんて魅力的なんでしょ。

でも、これは実際にあるかもしれないですよね。私はふと武道館の桜の木を思い出しました。あの、武道館へ向かってお堀を渡る時に両側にある桜の木です。よく見ると今にもお堀に落ちそうに横に枝を広げていて、どれほど深く根を張っているんだ?と自然の力に感嘆してしまいます。あ〜そろそろまた桜の季節ですね〜。

あと面白かったのは、これ。白隠慧鶴(はくいんえかく)の『半身達磨図』。

なんか、アニメ大国Nipponの原点を見るようじゃないですか?ww これを描いた白隠自身お坊さんだったそうで、ますます興味深い。

とにかく江戸時代の奇想作品は魅力たっぷりで、ギフトショップでもあれこれ沢山買い物してしまいましたww 考えてみると動物を描いた作品が多かったからかもしれないな。猫の風呂敷とか買っちゃったしwww

そんなわけで、と〜っても楽しかった江戸のミラクルワールド=奇想の系譜展は、上野の東京都美術館で4月7日までです。超オススメです❤️
https://kisou2019.jp

さて今週の一本は、『運び屋』です。

う〜ん、何から突っ込めば良いのか…とにかく良い意味でツッコミどころ満載の、さすがな頑固ジジイ・イーストウッド作品でした。

実在した90歳の麻薬運び屋を88歳のイーストウッドが演じるという、まずはアメリカの高齢化社会。もともとアメリカの人口は日本の2倍強だし、社会が「叩けよ、されば開かれん」的な、やったもん勝ちなところがあるので、日本よりずっと人々のあり方の幅が広い。お金持ちとそうでない人、頭の良い人とそうでない人、健康な人とそうでない人…いずれも日本よりずっと上も下も極端。で、このお年寄りの元気っぷりったら!ww

イリノイ州ペオリアからテキサス州エルパソまで車で?はぁ?バカじゃないの?と思ってしまうわけですww 飛行機使えよww でも飛行機乗るにはX線チェックがあるからね。武器や薬など、ヤバイ物持っている人はもっぱら車になるわけで。いくら途中モーテルに泊まりながらと行っても、よほどの体力が無ければそんな長時間ドライヴはキツいです。しかも映画だと、結構下を通っているのよね!最短距離のフリーウェイを行けよって思うけれど、それを楽しそうにやってのける80代って、さすが飛行機移動が普通になる以前から生活していた世代ならではかもw 若者、ナメんなよ!という声が聞こえてきそうですw

また、メキシコの麻薬カルテルが凶悪だというのは有名な話で、その恐ろしさは、同じエルパソを舞台にした私の愛するリドリー・スコット監督の『悪の法則』(2013)(この邦題がダサいのよね〜w)でも震撼したっけ。この『運び屋』の中でも、怖いったら!そんな凶暴なヤツらとヒョウヒョウとやり合うのが、さすがなお年寄りの鈍感力?

でも、イーストウッドは実は共和党支持者。つまり、メキシコがこれほど悪の根源なのだ。だから壁を作らないと!を、暗に主張しているとも言えたりして。いくつになってもさすがな頑固ジジイw にしても、麻薬王演じるアンディ・ガルシアは素敵でした❤️ 『ゴッドファーザーIII』から29年か。良い年齢の重ね方をしていますね〜。

さらに…『グラン・トリノ』でも人種差別をテーマにしていたけれど、ここでも『グリーンブック』とは違う形での人種差別への主張をしっかりと盛り込んでいます。彼が白人のお年寄りだから、もうほとんど警察はノーマーク。それを逆手にとって、自分から警官に話しかけてみたりして、まあお年寄りやりたい邦題ww ブラッドリー・クーパーはカッコ良かったけれど、ラストはしっかり図らずも自分の人種偏見に気付かされたわけですね。ちょっと痛快だった。

…とまあ、ちょうど良い実話に乗じて、クリント爺さんが自分のやりたいことを目一杯突っ込んで面白い映画にしちゃったところがスゴイし、だから10年ぶりの監督兼主演か…って納得したんだけど、さらに忙しがって結婚式にも出てくれなかった父親をめちゃくちゃ嫌う娘役に、なんと自分の実の娘を使っていますw いやもう、すっごい迫力で父親を嫌っていて、まさに肉親ならでは迫力でしたww

ちゃっかり親子の思い出も作ったりして、本当にイーストウッドの底なしエネルギーは恐るべし。どれほど頑固なジイさんでも、88歳でこれほどしっかりされちゃったら、頑固さも許さざるを得ないですねwww すっごく良い作品でした。

最新記事