Amy's This Week

2023.05

30
2023.05.30

5/22-28, 2023 マティス展と、『帰れない山』

先週に引き続きの上野詣でw めちゃくちゃ楽しみにしていたマティス展でトビカンに行ってきました。GWは混むだろうと、ずっと行くのを待っていました。マティスといえば赤い部屋なのに、このポスターになっているブルーベースの作品がもう新たなマティスの魅力をたっぷり観せてくれると期待大でした。

NWMとは異なり、こちらは未だ日時指定入場でした。私はこの方が好きです。入場人数制限がしっかりしていると安心出来るんですよね。本当に混んでいるのは嫌なので。そういう意味では、美術館の混み具合に関しては、絶対にコロナ前に戻って欲しくないです。

ブルベの作品に期待大だったと書きましたが、やはりこうした赤い部屋の作品もあると安心というか、お約束が果たされた充足感があります。一種のマティス様式美ですね。

入り口前の巨大なポスター。これもマティスなんですね!

というわけで満を辞して(大げさw)入場しました。1895年から年代を追って、第1章フォービズム、2章ラディカル、3章彫刻と絵画、4章人物画と室内画、5章広がりと実験、6章ニースからヴァンス、7章切り絵と晩年…と区切られた中、4、5、6章が撮影OKでした。ここがメインと言っても良いと思うのでこれは嬉しい!

早速初めて観る『若いスペイン女性』(1921) 。少しでも、背景に赤があるところが安心出来ます。

パリには5回も行ったのに、ポンビトゥーセンターは前を通っただけで入ったことがありませんでした。近代美術…ということで、もっと現代の前衛的な作品が多いのだと勝手に思い込んでいたことを反省しています。そんな私がいる東京にマティス作品が150点もポンビトゥーセンターから来てくれたなんて、ホント感謝しかありません。トビカンありがとう!

『若い女性の肖像』(1925)緑の帽子が印象的。肖像を全身で描くために、画面を思い切り細長くしているところが、女性の魅力を強調しています。

『ニースの室内、シエスタ』(1922)マティスらしい窓でも、この開放感がニースですね。それでも傍には赤がありますが…これはタペストリー?それとも壁を分断させて塗っている?それとも天井までの背の高いワードローブ?この右端の赤は何だろう!

『赤いキュロットのオダリスク』(1921) お〜マティスもオダリスクがあったんですね!私はアングルのオダリスクが好きですが、こうして正面を向いているのは新鮮w 腹筋が見事じゃないですかw

『緑色の食器戸棚と静物』(1928) あ〜これは素敵。緑と青がとても綺麗です。しっかり水の透明感もあってさすがだし。また左端に窓枠があるのが、窓好きなマティスらしいです。

『鏡の前の青いドレス』(1937) これは…文字通り鏡の前に斜めに座っている女性ですが…その斜めがトリッキー。鏡の中にある赤いカーテン(?)はどこにあるのでしょう?後ろの緑色のドアの左側に窓があって、そこに赤いカーテンがあるということですね。ここにも隠れた窓がw

『ラ・フランス』(1939) つまり『ザ・ニッポン』的な、これぞフランス!といったタイトルです。レビューのダンサーとかでしょうか。ただ私はこの作品を観た瞬間に、洋梨の「ラフランスだ!」と思ってしまいましたよw そんなシルエットなんですもん。そう見えませんか?ww でもあの洋梨を『ラ・フランス』と呼ぶのは日本だけなので、絶対関係ないですねwww

『立っているヌード』(1947) マティスの全身ヌードは初めて観ました。まあこの美術展ではほとんどが初めて観る作品ですがw しっかりと背景が赤く、窓もあって…その上でのヌードが無機質で、少しもエロチックではないところがマティスっぽい気がしました。

『赤の大きな室内』(1948) おお〜!マティスありがとう!的な、王道を魅せて頂きましたw 窓っぽいけれど窓ではない二枚のパネル(?)が描かれ、片方が白黒というのがまた全体を締めている感じ。さらにこの作品自体タイトル通り室内ですが、2枚のパネルがそれぞれまた室内を描いていて、つまり『室内の室内』になっていて、それぞれの室内の室内に窓があるという…めちゃ面白い作品です。

また、この作品脇にあった解説では「床に敷かれた2枚の動物の皮…」とありましたが、私にはリラックスして伸びている犬と猫に見えて、それもまたとても嬉しい作品でした。

ところで撮影OKの時に凄く気になるコト。その作品の正面に立ちめちゃ近付いて撮影する人が多いですw ズームすれば〜?ww それに真正面だと照明が反射してしまうことが多いので、少し斜めからもっと離れて撮れば綺麗に撮れるし人の迷惑にもならないのに…と、私はいつも思っていますwww

『緑色の大理石のテーブルと静物』(1941)テーブルの上に自ら集めた物(花瓶、花、布地…など)を丁寧に並べて描いたそう。何よりもこの時マティスは十二指腸癌を患い、この後2年に渡って療養したとか。すでにこの作品を描いていた時、文字通り胃の痛い思いをしていたのかもしれません。さらに、制作年を見れば、前年にフランスはナチスドイツに侵攻されています。そんなことも大きなストレスで胃潰瘍になり、そこから十二指腸癌という結果になったのかもしれません。可哀想。戦争の犠牲者とは、決して爆弾や銃弾によるものだけではないですよね。そう思ってもう一度観ると、とても切ない色調に見えてしまいました。

『黄色と青の室内』(1946)滞在していたニースに空爆の危機が迫り、1943年にヴァンスに移動。この作品はのちにシリーズになる『ヴァンス室内画』の一作目です。療養後、体調が持ち直したのでしょうか。またヴァンスには戦争も及ばない平和があったのでしょうか。赤の封印はそれらの平安がもたらしたのだとすれば、赤はマティスがマティスであるための、一種の勝負色だったのかもしれません。そうして前後しますが、1948年に再起して前出の『赤の大きな室内』王道マティス作品に戻るわけかな?

最後に、撮影OKエリアではなかったので絵ハガキを購入しました。ポスターにもなっていた『金魚鉢のある室内』(1914)
若い時から窓好きは変わらず。赤はまだなんですね。それぞれの家具などがとても写実的(マティス的には)に描かれていて、マティスの若さを感じます。金魚鉢の中の金魚が、金魚鉢のレンズ化で魚眼レンズのように大きく見えているところがさすが。可愛いです。

というわけで、期待を裏切られないどころか、やはりさすがなポンビトゥーセンター、さすがなトビカン!大充実、大感動のマティス展でした。まだまだ8/20まで開催されているので、機会ある方はぜひいらしてみて下さい。20年ぶりの大回顧展ですって。次の20年は待てませんからねww
https://matisse2023.exhibit.jp

 

そんな週の一本は、『帰れない山』です。

知りませんでしたが、国際的ベストセラー小説の映画化だそうです。北イタリアを舞台としたイタリア映画。淡々としたストーリー運びなのに、その行間には父の切ない思いや、息子のやるせない焦り、対照的な友人同士のお互いに対する嫉妬に近いような思いや、憧れに似た思いや…観終わってからじわじわと感動に締め付けられる作品でした。

イタリアの山景色も美しかった。様々な人々の人生の前で、動かざること山の如し。そこに飲み込まれるのか、抱かれるのか。いや、私はしょせん山へは日帰りで遊びに行くだけの都会っ子。山に抱かれる人への嫉妬とそうではない自分への安心が綯い交ぜになりました。イタリア映画、良いですね。

 

さて、週末はLUNA SEAのライヴでした。コロナ後初の声出しライヴ。完全復活です。3年…今となればあっという間だった気がします。Jが言いました。「コロナが無ければビオレママになることもなかったしな!」とw 最高でした!