Amy's This Week
2022.07
7/10-17, 2022 ゲルハルト・リヒター展と、『ブラック・フォン』
殺人的な暑さは若干落ち着きましたが、雨が降ったり止んだりのグズつく毎日。お天気予報では『戻り梅雨』なんて便利な言葉を使っているけれど、要は梅雨明け宣言が早急過ぎたんじゃないかしら?w
そんな週は、定期検診で病院に行ったくらいで大したお出掛けはしていないので、少し前に行った国立近美の『ゲルハルト・リヒター展』についてです。申し訳ないことに、なんとゲルハルト・リヒターって名前すら知らなかったのですが、国立近美が好きなので、信じて行ってみましたw
かつてステイーヴン・タイラーが40歳になった時、「自分がどれだけ世の中の物事を分かっていないかということが分かった」と言っていて感銘を受けました。私の父は70歳になった時、「いいか、お父さんは70になっても世の中にはお父さんの知らない事の方が多いんだぞ」と偉そうに言っていたことも思い出しましたww
そう、『現代美術の最高峰』とまで言われているというゲルハルト・リヒターだというのに、その名前すら知らずごめんなさいw これは凄いww 素晴らしかったです!知れて良かった。ありがとう近美!やっぱり信じて良かったわ。
展示されていた作品何もかもが、うわ〜!と声が出てしまいそうになる程、感動し、感銘を受けました。特に素敵と思った作品を順不同でピックアップしていきますね。あ、写真撮影OKなんですよ。それも近美ありがとうでした!
まずはポスターにもなっていたコレ。え?写真を加工したのかと思っていたら、写真を見て忠実に油彩で描いていたのです。はぁ?その発想も面白いし、刷毛で表面を擦ってわざとボカしているとか。いや〜目がチカチカする錯覚を覚えながら、じっくり観てしまいました。なんだこの人は。
これは『トルソ』。トルソって洋服を展示する時に使う、手足や頭の無い胴体だけの物ですよね。そんなタイトルを付けて、わざと生身の女性を無機質に見せる手法。これも刷毛で表面を擦っていますね。妙に惹かれる不思議な作品でした。
これは『水浴者(小)』。同じ手法の油彩です。水浴ではなくお風呂の湯気を通して見えてるみたい。はっきり見えないところが魅力的なのかもしれません。
『エラ』。まだ幼さが残るエラちゃん。どんな角度で描いたのでしょう?前出2作とは異なり、仕上げに擦った刷毛の動きが見て取れて興味深いです。もちろんわざとですよね。面白いな〜。
その名もズバリ『花』。これも油彩です。この不思議な立体感。造花のようにすら見える無機質さ。面白過ぎます!さらに興味深いと思ったのが、ここまでの作品全てが『作家蔵』とあった事。つまり、どこかの美術館所蔵とかではなく、どこかのコレクターに販売したわけでもなく、リヒター自身が自宅に持っているという事ですよね。本人お気に入りの作品なのかな。
今回一番惹かれたのはこちら。身も蓋もないといったタイトル『頭蓋骨』www 良いですね〜w 普通なら『メメント・モリ』とかタイトルにしちゃうところですけどねw もうだいぶこのボケボケ感に慣れてきましたw この作品はなぜかガラス板越しの展示で、バックが反射して写り込んでしまったので、絵ハガキを買いましたw
こちらは『アブストラクト・ペインティング』。『抽象画』とはせずにカタカナでそのままの邦題にしたところが、国立近美のセンスでしょうか。嫌いじゃないです。それにしても、一体何を表しているんでしょうね。いえ、もちろん『抽象』なんですがw
これはちょっと珍しい風景画『ヴァルトハウス』です。一瞬、セザンヌの『マウント・サン・ヴィクトワール』を思い出しました。が、リヒターは休暇にしばし訪れたスイスのヴァルトハウス・ホテルの景色を描きながら、その思い出を描いたわけではなく、一切の精神性を有さない自然は絶対に非人間的であるとしています。つまり、自然には命があるにも関わらずその無機質さを表そうとしていて、他の作品との共通性を見いだすことが出来ました。ちょっとだけリヒターが理解出来たかも?w
さて、そんな抽象的、無機質さを愛する(?)リヒターらしいのがこちらもまた『アブストラクト・ペインティング』。よりアブストラクトになっていますw 私は単に色合いの好みで気に入りました。そんな感じで、意味など追求せず表面的な感覚で気に入られる事を、リヒターも望んでいるのでは?なんて思ったりしました。
こちらも同じく『アブストラクト・ペインティング』。アルミニウム上の油彩で、そのたっぷり乗った絵の具の質感と筆(へら?)の動きが見えて面白かったです。色合いも好き。
次は巨大な連作、『ビルケナウ』です。当然、ビルケナウとはあのポーランドにあるアウシュビッツと並ぶ収容所。一見抽象画に観えますが、収容所で囚人が隠し撮りした写真が下地になっているとか。おお〜、主題はホロコーストですよ。
その部分アップ。何かが見えるようで見えません。
またこちらは『ビルケナウ』の写真版。油彩と向き合うように展示されていました。中央に置かれたソファに座って眺める贅沢な時間。これらの作品をじっくり観ることも、戦争反対と主張することになるかも?なんて思いました。
これらは全て、写真の上に油彩した、『オイル・オン・フォト』シリーズです。写真の上に抽象的で物質的な絵の具を乗せること、そのコンビネーションが面白いです。そこにはもちろん意味などはなく、彼の感性を味わえば良いのでしょう。とはいえ、やはりデザイン的、色的にとてもバランスの取れた作品に仕上がっているところが当たり前ですがさすがですね。
というわけで、ゲルハルト・リヒター、凄かったです!知ることが出来て良かった。観に行くことにして良かった。私は本来「読み解く」絵画が好きなのですが、美術の楽しみ方は無限。何も考えず、ただ表面に見える色や形をそのまま受け止めるのも面白かったです。何しろ楽ですしねw 暑い中、涼しい美術館で無になって楽しめるリヒター展でした。10月までやっています!
そんな週の一本は、出ました!ブラムハウスの『ブラック・フォン』です。
アメリカで多発する子供の誘拐。以前ニューヨークに滞在していた時に、急にiPhoneが変な音を出してびっくりしました。それは地震アラートとは違う初めての音。画面を見たら『アンバー・アラート』とありました。何それ?と思ってチェックしたら、子供の誘拐・失踪事件のアラートだそうで。え、近くでそんな事件が?嫌な意味で、アメリカにいることを実感した出来事でした。
『ブラック・フォン』は、そんな警報など無い70年代のお話。突然かかったスイートの『Fox On The Run』が嬉しかったですw あまりにガンガン連続で誘拐されてしまって恐ろしいし可哀想なんだけど、だらけるところなくテンポが良いし、イーサン・ホークの仮面が突き抜けていて良かったし(もっとイーサンの顔を見たかったけれどww)、誘拐という現実的なところと、あり得ないホラーの融合がさすがブラムハウスでした。面白かった❤️
ラストで、主人公のフィニーと呼ばれていた少年が、「フィンと呼んでくれ」と言ったところが、大人になったね〜❤️と嬉しくなりましたw この子がとっても綺麗な子で。メイソン・テムズくん。
どうか、エドワード・ファーロングみたいにならないよう、真っ直ぐ美しいまま育って下さいね!
…だってね、この週私が一番ショックを受けたコトは彼の今の風貌を見てしまったコト。もう44歳か。って、まともに成長していれば同じ44歳ながらもっと異なる風貌だったでしょうに(泣)。めっさ残念だよエドワード!ともあれ、愛するマット・ソーラムではなくてもナマで『You Could Be Mine』を聴ける11月を楽しみにします!(マルーン5は都合悪くて行けない!泣)
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