Amy's This Week

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2010.07.11

7/5-11, 2010 週報

この週、ボンジョヴィの来日が発表となり、今までとは異なるチケット販売が話題になりました。券種が増え、下の8,000円から上の11,000円まで4段階となって、さらにボンジョヴィでは初めて出たVIPシート(プレミアム・チケット)が話題になりました。「あら?今まで無かったの?」という感じでしたが。

コンサートのチケットとは、特にプレミアム扱いされる良いお席の場合は完全に人それぞれの付加価値なので一概に「高い」とか「安い」とかは言えないのですが、ボンジョヴィの場合VIPが何枚あるかによって、ファンにとっては髄分安いものになるかもしれませんね。

邦楽ですが、以前東京ドームで行なわれた某バンドのライヴでは、1枚20,000円のVIPシートが2,000枚売り出されました。東京ドームのアリーナの一番良いエリアとはいえ2,000枚だと、丸々CCレモンホール(旧渋谷公会堂)の広さです。渋公の最前と二階最後尾とが同じ2万となると、本当に運の悪い人は可哀想な気がします。

7-8年前頃からでしょうか。アメリカではどんなバンドも、又、ブロードウェイのミュージカルでも、プレミアム・チケットというのは当たり前となりました。金額はアーティスト、会場、時期その他でバラバラですが、エアロで大体15万円ほど。外タレのストーンズやポール・マッカートニーなどは25万円くらいします。だから、私が先月英国のウェールズまで行ったのは、ポール・マッカートニーのプレミアムが1枚8万円ほどだったからです。さすがUKでは邦楽!アメリカよりずっと安かったので、もうこのチャンスは逃せないと思ったのでした。ちなみにポールはアメリカでは3階席最後尾でも35,000円くらい。アメリカでのコンサートチケット代金は、特に外タレ(ポール、ストーンズ、U2など)は、本当に高くなっています。

なぜそれほど高くなっているのか?といえば、非常に単純なことなのです。アーティストにはギャランティーを支払わねばなりません。外タレは特に高くつきます。それでも景気の良い時はスポンサーがついたので、チケット代だけで回収しようとする必要もなかったのですが、今は違います。アメリカも不景気。チケット代で回収出来なければ、それほど高額なアーティストを呼んでコンサートを開くことが出来ないのです。

エアロスミスはアメリカにおいては外タレではなく邦楽です。ですからそこまで高いギャランティーではないですが、アメリカ芸能界ではトップの存在。やはりプレミアムで15万円ほど、通常チケットで上は25,000円くらいから下で12,000円くらいします。自国でこの価格ですよ。なのにわざわざ15時間かけて海の上を飛んで来てくれるのに、日本では1万円でも「高い」などと言われるのなら、もうコンサートを開くことは出来ないですよね。日本人のチケット代に関する感覚は、あまりに非常識になりつつあるように感じます。少なくともアメリカから見たら、とんでもなく非常識です。

それでも景気が良い時はスポンサーがついたので実現していたことも、今の時代はそれも難しいです。となると、アルバム発売と時期を合わせて、レコード会社に来日記念盤の宣伝費ということで協賛費を出してもらう…ということに期待が寄せられるのですが、景気の良い時でもそれはあり、さらに加えてスポンサーもいたわけですから、今スポンサーが無ければレコード会社には過去より多く出してもらわなければ難しくなります。よほど宣伝費をかけても売れそうなアルバムだと思われれば、あり得なくもないかもしれません。でも今はなかなかアルバムが売れない時代。でもその前にそもそもそのアルバム自体が出ないとなれば…、つまりギャランティーをすべてチケット代だけでまかなおうとしたら、東京ドームでプレミアム20万、通常チケで最高25,000円、最低で15,000円くらい取れなければそのアーティストのコンサートは実現出来ないですよね……。

……というのが、一般論に重ね合わせたエアロがなかなか来日出来ないでいる理由だと思います。同じ理由でポールもなかなか来日出来ません。景気が悪くなるとこんなところにも影響が出てしまって、ファンとしてもなかなかつらいですよね。最初にも書きましたが、チケット代金というのは付加価値のあるものなので、服を買うのとは意味が違います。その生地の価値や縫製の良さなどその物の品質に対して価格を付けるのではなく、ファンにとってそのアーティストを近くで見るということにいくらまで出せるか、というファンの価値観が問われることになります。

一種のオークションに似ているかもしれません。ある意味大好きなアーティストであれば「安ければ良い」という感覚はそのアーティストの価値を落とすことになるということを、そして「ここまで出せる」というのがそのアーティストをそこまで認めるということであるのを、日本人はもう少し理解しないと、価値の高いアーティストほど日本に来ることが難しくなってしまうと思います。そして、価値を認めたらそれを思いきり出せる社会になってほしい(もっとスポンサーついて!)…などという思いも込めて、昨日は選挙をしてきました。今後、少しは変わるでしょうか?