Amy's This Week

2020.08

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2020.08.18

8/10-16, 2020 75年目の終戦記念日と、『パブリック 図書館の奇跡』

数年前まで、8月のお盆にはテレビで『火垂るの墓』を観るのが恒例になっていましたが、今年はドラマ。この時期は私にとって、いえたぶん多くの日本人にとって、戦争について考える時ですね。

京都帝国大学の物理学研究室で原子の核分裂を研究していた主人公(柳楽優弥)たちは、軍からの依頼で核エネルギーを利用した新型爆弾開発のために実験を続けていました。が、その材料集めにも苦労が続き、ドラマを観ている現代にいる私たちからは「そんなことで開発出来ると思っているの?」と思える状況なのですが、当時の、食料確保にも苦労する人々にはそれが普通のことなんですね。で、当然彼らが開発する前にアメリカが開発し、実用化し、広島に投下し…それに愕然とする研究者たち。

それまで、(実現化して)「サンフランシスコに投下すれば20万人、いや30万人死ぬ」などと平然と言っていた研究者たちが、実際に原爆投下された広島の地に立つと「これが、自分たちが開発しようとしていたものなのか」と茫然自失となる…。いえ、自失ではなく、自分を取り戻したと言った方が正しいでしょう。当時の日本の人々は、どんどん視野が狭くなっていったように思えました。もちろん、それが国策だったのだから。戦争に勝つために、すべてを我慢。すべてを犠牲に…。恐ろしいプロパガンダです。

やたら大雑把で、かいつまみ過ぎくらいな書き方ですがw、特攻で亡くなる主人公の弟(三浦春馬)も、「戦果をあげてみせます。お国のため、笑って死にます」という手紙を残しました。完全に国に洗脳されています(涙)。みんな真っ直ぐ過ぎ。…と、今の時代の私だからそう思えるのだけど、同じ時代に生きていたら、きっと私も同じように洗脳されたのでしょうね。三浦春馬自身の声で読まれる手紙の最後、「ありがとう。さようなら」では、ドラマと現実のダブルで涙が出ました。

そんな、純粋な若者たちを洗脳し、破滅に追いやった責任は誰にあるのか、というのが、再放送された『東京裁判』でした(2016年放送時は観ていなかった)。近代史にめっぽう弱く、無知な私には衝撃的で、「今さら?」と思われるかもしれませんが、非常に興味深かったので、戦後75年目の節目に観れて良かったです。

1946年の春、戦勝国11カ国から集まった11名の判事たちによって、日本の戦争指導者たちを裁く裁判が東京で行われました。極東国際軍事裁判=『東京裁判』です。オーストラリア、英国、インド、フランス、オランダ、中国、フィリピン、カナダ、ニュージーランド、アメリカ、ソビエト。裁判は決して復讐になってはいけない、公平に判断し裁かねばならない、と全員が言いつつ、感情的になる中国やフィリピン。ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、インドなど過去または現在の植民地に対して威圧的な態度をとる英国。その中で唯一その時点でまだイギリスの植民地だったインド(英国からの独立は1947年)は孤立しながらも冷静に、「平和に対する罪(侵略の罪)」を問える法律は1945年8月8日成立なので開戦時には存在せず、そのため事後法として、東京裁判では問えないと全員無罪を主張します。実際の11名が揃った写真。後列向かって左端がパル判事。隣はオランダのレーリンク判事。彼も事後法を主張し、一部被告を無罪と主張しました(さすが世界一平均身長の高い国w)。

そんな彼らに対して、何も知らなかった私にとってかなりショックだったのが東条英機の態度です。いえ、態度はピシッとしていましたが、とにかく自分は無罪だと主張したんですね。あんたのせいで何万人が死んだと思ってるの?もっと日本国軍人って、侍のように潔いと思っていたので、無罪を主張していたなんて、がっかりも良いところです。サイテー。まあ、そんな人たちがトップだったのだから、日本は戦争を始めてしまったんですね。もう一度、サイテー。

それぞれの立場の判事たちが2年半かけて議論した結論には、当然ながら(?)パル判事の全員無罪という意見は採用されませんでしたが、各国から集まった11名の判事が今後の平和のために尽力したのは確かでしょう。とても興味深いドキュメンタリードラマでした。印象深いのは、その11名の判事役の中でパル判事を演じたイルファン・カーンです。インドの星だったのに、今年の4月に膵ガン関連で亡くなってしまったんですよね。53歳(涙)。私の知人も膵臓ガンで53歳で亡くなったので、重ねて大きなショックでした。

さてNHKが続きますが、ドラマではなく『歴史秘話ヒストリア』という大好きな番組で、うわ〜っと絶望的に驚いたことが続けて二つありました。一つは、日本海軍の秘密兵器、アメリカ本土を直接攻撃するために建造された、巨大潜水艦『伊400』について。当時世界最大級で、潜水艦なのに翼を折りたたんだ特攻用飛行機3機を格納していました。潜水空母です。それにしてもこうした潜水艦を考え、作ってしまう凄まじい技術力の高さが、日本をいたずらに戦争に没入させてしまったのかもしれません。

が、完成したのが1944年で、計画は後手後手に回り、というか、潜水艦のスピードより各地の日本軍の負けっぷりの方が早かった?結局、死を覚悟していた乗組員たちは海中で終戦を迎え、全員無事に帰国出来たのです。もちろん当時は残念なことと言われたのでしょうが、今となれば本当に良かった。終戦間近だったからか乗組員には10代が多く、最年少は14歳だったというのですから。

終戦後浮上したところをアメリカ軍に見つかり、没収したアメリカ軍はそのまま運用しようとさえ思ったようでしたが、ソ連軍からの調査希望を受け、ソ連に見せたくなかったアメリカ軍がハワイ沖で爆破してしまう。それほど、伊400が優れた潜水艦だったということですね。今もハワイ沖に眠る伊400。それが戦闘で撃沈したのでなかったと知り、安心しました。

二つ目驚いたのが、同じ番組での『ガタルカナル 大敗北の真相』です。これを読んでいる皆様はすでに十分ご存知だとは思いますが、念のため繰り返せば、私は本当に何も分かっていません。なので、私が「驚いた」と言うことのレベルは非常に低いです(^^; このガタルカナルについてでも、「タカさん」が真っ先に浮かぶほどw ごめんなさい!でも、これが真実です。 で、まず何に驚いたかと言うと…ガタルカナルの位置でした。どこにあるか、ご存知の皆様には、何を今さら!だと思いますが(^^; …私、漠然と、何となく、グアムの近く?くらいに思っていました。もしくはフィリピン沖とか? そしたらなんと、オーストラリア沖。南半球じゃあないですか!パプアニューギニア沖とも言えます。ねえ、そんな遠くまで日本軍って行ってたの?ハワイに奇襲をかけて戦争をおっぱじめ、フィリピンから南半球のガタルカナル? だから『太平洋戦争』と言われるのね…。父が生きていたら、「お前、本当に何も知らないんだな」と怒られそうです(^^;

そんなはるか遠くの地ガタルカナルでの日本兵の犠牲は、戦死約6,000名、病死・餓死が約15,000名!簡単に言ってしまえば、それまでの緒戦で勝利していた日本軍が、己の補給能力などを無視し、調子に乗って行ってしまった場所でした。島では飢えに苦しみ、ジャングルの中で虫を捕まえて食べている兵士がいる中、本土ではエリートたちが無駄な会議を続けいたという…とにもかくにも、愚かとしか言いようのない進出でした。

とはいえ、日本がけしかけて始まった第二次世界大戦で、日本は結果的に敗北を期したから今の平和主義となったわけで。憲法改正が議論される時に、今まで私は「日本が戦争に負け、帝国主義の両手両足をもぎ取るために他国に制定された憲法なので、戦後70年以上経ち、当時の政治家は全員が亡くなり、平和主義が根付いた今こそ、日本人自らが考え直しても良いのではないか」と思っていました。が、改めて戦争を考え、知ると、日本は永遠に敗戦を引きずることが大切な気がしました。

そんな戦争を考えた週、ドラマで今は亡き三浦春馬やイルファン・カーンを観て、また父を思い出して、亡くなった人々へ想いを馳せました。それこそお盆ですしね(東京のお盆は7月なんですがw)。愚かな日本国の犠牲になって世界各地で亡くなった若者から、ランディ・ローズ、フレディー、ジェイニー・レーン、ロバート・パーマーなど愛したアーティストたちや父、知人、友人たち…。渡哲也さんも亡くなってしまったしね。当たり前かもしれませんが、これからも亡くなる人は増えるばかり。残った者は、彼らの安らかな眠りを祈ることしか出来ないですね。あと、絶対に忘れないことね。

 

そんな週の一本は、『パブリック 図書館の奇跡』です。

エミリオ・エステベスにクリスチャン・スレーター、アレック・ボールドウィン…となれば観なくちゃ!と思っていたけれど、これほどエミリオも、クリスチャンも、吹っ切れた役を演じるなんて。さすがだな〜w

『地獄の黙示録』のマーティー・シーンが父、チャーリー・シーンが弟でもあるエミリオ・エステベスは、トム・クルーズと仲良しで一緒にデビュー。ロブ・ロウ、マット・ディロンなどと共にブラット・パック=カッコ良い男の子グループだったのに、ここでは冴えない中年のおじさん役。トムには出来ない役ですね〜ww

クリスチャン・スレーターも、まあ嫌味なオヤジ役が似合ってしまってwww どこかで実は…という期待をしていたのに、最後まで嫌な奴でしたw アレック・ボールドウィンは、ある意味トムと一緒ですね。何を演じてもアレックはアレック。役者としてはどうなの?ということかもしれないけれど、観る側にはそれはそれで良いんです。安心感がありますww

でストーリーですが、端的に言えば図書館は公共の場なので、ホームレスが寒さ凌ぎに集まる…というお話。暑い時に図書館に行くのは誰でも経験あると思うので、その逆なだけですが、ある極寒の夜、シェルターが満員で入れなかったホームレスたちが閉館時間を過ぎても居座り、問題になる。閉館時間になったら誰もが外に出るのは決まりだし…と、図書館員のエミリオはオロオロするけれど、実際にホームレスの凍死者が出て、ここで図書館でのオーバーナイトをさせなければさらに死者が出るかもしれない…と悩みます。

観ていて本当に不愉快だったのがマスコミでした。とにかく物事を大げさに、扇情的に捻じ曲げて報道しようとする姿に、監督・脚本も務めたエミリオの気持ちが込められていた気がしました。話は飛びますが、酷暑の今、40度を記録した浜松に飛んだリポーターが、「やはり堪え難い暑さですか?」と問うスタジオに、「いや、だいぶ慣れてきました」と答えたのを見て、苦笑したところでした。きちんと真実を伝えるリポーターでしたねwww

話を戻すと、そんなマスコミに対する反撃?(生放送で流せなくさせたので)とも言えるラストのエミリオ始めホームレスたちの行動に、ニヤッとさせられました。実話ベースながらお堅い社会派作品では終わらず、そこかしこで笑わせてくれる作りが、エミリオの優しさのように思えました。歳を重ねてますますお父さんに似てきたエミリオ。弟があんなだからねwww これからも頑張って欲しいです。

 

予想通り、やっと梅雨が明けたと思ったら激しい酷暑。外で仕事をする方々にとっては、毎日命を脅かされていることと思います。どうか皆様、水分補給をマメにして、ご自愛下さいね。昔は日傘さすなんてロックじゃない!なんて思っていたんですけどねw 要はずっと日陰を歩けるわけで確実に温度を下げてくれますから、今は手放せません。また直射日光が当たるより、緩めの長袖を着た方が楽と分かりました。中近東の人々が着ている白いガンドゥーラ(約4割が日本製の生地だそうです)は、理に適っているんですね。これも昔はもっぱらタンクトップを着ていたのに… 歳をとったということですねww とにかく、元気に生き抜きましょう!!!