Amy's This Week
2023.08
8/14-20, 2023 テート美術館展と、『猫と、とうさん』
連日猛暑ですね。先日の夜、歩いていて随分爽やかだなと思い気温をチェックしたら32℃あってびっくり。どうやらしっかり暑熱順化したようです。8月も下旬近くなってようやくw そんな中、国立新美に行ってきました。
また後ろから。こちらから見る建物のフォルムが好きです。かぼちゃみたいw 空が暑そうだ〜。
先週、ライヴもデレビドラマも一発目の『ガツン』が重要だと書きました。それは美術展でも同じですね。テート美術館展で一発目にターナー、しかも風景画ではなくこんな美しい天使を見せつけられるなんて。これにはキュレーターさんの「してやったり顔」が目に浮かぶようですw 『陽光の中に立つ天使』by ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー。
だいたい美術展では多くの展示品があってもそれら全てが主役級ではありません。緩急つけてくれないと観る側も疲れてしまううしね。地味系から始まり徐々にクレッシェンドする見せ方も良いです。特に目玉作品がはっきりしている時はそのパターン。一方目玉作品というよりはいずれかの美術館そのものの魅力を伝える『◯◯美術館展』では一発目ガツンが効きます。おお〜!この美術館ってこんな感じなのね!と引き摺り込まれて見入っていくパターンです。
有名なテート美術館となれば、そりゃあミレイかターナーかロセッティあたりで来て欲しいわけですよw 美術ファンとしては。そしたら期待通りのターナーですもん。ありがとうございます!!
あ、今回もほとんどの作品が撮影OKでした。ありがたい。撮影OKにすると、混雑緩和にも役立つと思うんですよね。OKであるなら誰もが撮りたいですからまずは撮る。そしてゆっくり見たければむしろ後で手元で拡大すれば良いわけですから、混んでいたらすぐ後の人に場所を譲れますよね。
そういえば、今回なんとガラケーで撮影しているおばさまがいらっしゃいました。ちょっとびっくり。あれでは後でゆっくり拡大…って出来るんでしたっけ?画質もどうなのかな。でも逆に、それでも撮って手元に残したい!という気持ちは素敵です。
続いて再びのターナーで『湖に沈む夕日』です。美し〜!今美術展のテーマ『光』そのものです。フランス代表の『光』といえばモネの『印象日の出』だと思いますが、あちらの光はやや暖かい空気を感じさせるのに対し、英国の『光』は暖色の中にも凛とした空気に北を感じます。(あくまでも個人の意見ですよw)
続いてのターナーは異色系。『陰と闇 - 大洪水の夕べ』です。テート美術館は何度も行きましたが全く記憶にありませんw ターナーは幅広いというか、奥深いですね。
こちらも異色系ターナーで『光と色彩(ゲーテの理論)- 大洪水の翌朝 - 創世記を書くモーセ』です。う〜ん、おびただしい数の人間が見える中、頂点にいるのがモーセのようです。でもその下の、なんならモーセより目立つプリンスマーク(笑)みたいなのは何でしょう?
こちらもテートならではなウィリアム・ブレイク。『アダムを裁く神』です。ブレイクにしてはくっきり見易い。りんごを食べてしまったアダムを叱責しているよう。イヴは良いのかな?w
一瞬綺麗だと思いましたがタイトルを見て愕然。ジョン・マーティンの『ポンペイとヘルクラネウムの崩壊』です。ヘルクラネウムとは現在名だとエルコラーノで、ポンペイと並んで古代ローマ遺跡で有名な土地です。いずれもヴェスビオ火山の噴火で埋もれた町で、その両方を描いたのですからかなり俯瞰しています。ドラマチックな描き方で色彩も美しいと思いますが、古代ローマ好きとして一家言よろしいでしょうかw ポンペイもエルコラーノも、すでに紀元前にはスッラ(好きw)によって制服されており火山噴火時は平和な商業都市でした。だからローマ兵軍団は駐留しておらず、手前にローマ兵が多く見えるのはおかしいですw まあさらにドラマチックに見せたかったのかな。
こちらは『パンデモニウムへ入る堕天使「失楽園」第1巻より』です。作者は「かつてジョン・マーティンに帰属」ですって。元ジョン・マーティンの弟子だったけど、辞めた人ってこと?まさに先週観た映画『ヴァチカンのエクソシスト』の世界です。
こ、これは!出ました!ジョン・エヴァレット・ミレイです!目がハートになっちゃう❤️ 『露に濡れたハリエニシダ』です。荒れた野の地味な題材なのに、この美しさは一体。光の捉え方が印象派とは異なり、細かなハリエニシダの葉一つ一つに着いた朝露を丁寧に描き込んでいます。これぞミレイ。ターナーとは対極にあるといえる表現で、その両方をたっぷり楽しめることがテート美術館の魅力ですね。この景色のすぐ脇には、オフェーリアが身を投げた小川が流れていそうです。
お〜!続けて大好きなバーン・ジョーンズだぁ❤️ しかもこれ、めちゃ大きいです。『愛と巡礼者』は、中世フランスの詩『薔薇物語』からの三部作の一つだそう。苦難を象徴するいばらから愛が救い導いてくれるということのようです。「最後は愛が勝つ」ってことかなw でも私もようやく理解出来るようになってきたのですが、対人のみならず、音楽、趣味など愛するものがあると人は救われるし幸せになりますよね。推し活は大事ですw
まるで吉田博の版画のようなこちらは『ペールオレンジと緑の黄昏 - バルバライン』by ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラーです。ホイッスラー!ホイッスラーの風景画初めて観たと思います。ペールオレンジかぁ。この空をそう表現する画家の感性がとても素敵です。
一見は地味な風景なのにこの色は…そう!モネでした!『ポール=ヴィレのセーヌ川』です。そうか、湖ではなく川だったんですね。蓮池と同じこのピンクがかった淡いブルー。こんな色のスカーフ欲しいです。
続けてモネの『エプト川のポプラ並木』です。すっと伸びたポプラの木々の間から見える夏の雲。そして青い空。全体的に夏のモワッとした暑い空気を通した霞むような光に包まれています。フランスの酷夏も、モネがこの作品を描いた頃はまだ気持ち良い夏だったのでしょう。
アルフレッド・シスレー『春の小さな草地』です。シスレーの風景画を鑑賞していると『素直』という言葉が浮かびます。光を描いたと言われる印象派と緻密に描き込む古典派の中間にあるように感じますが、決して良いとこ取りというわけではなく、印象派などの派閥や自らの個性を表すことに一切こだわらずに描いているように思えるのです。緻密な印象派といった感じでしょうか。
クロースアップして撮ってみました。こうして見ると緻密な印象派と言いたい私の気持ち共感して頂けるかな。
これもシスレーの『ビィの古い船着場へ至る小道』です。
やはりシスレー作品は拡大して見たくなります。印象派の場合、離れて見ればよく分かるのに超近付くとただ筆を置いた跡が見えるだけだったりします。それがまた面白いし魅力なんですけどね。がシスレーの場合は緻密絵ではないのに近付くとよりはっきり見えてきます。中央手前の3人は向こうを向いていて、左の人は白い帽子を被っているようです。遠景には教会の屋根や鐘楼が見えます。面白いな〜。
最後はリヒターです。この美術展のテーマは光ですからね。
私はただ自分の好きな絵画をピックアップしただけで、実際には他にも多くの現代美術作品があります。そのため現美ファンが19世紀絵画に触れる良い機会になるかもしれません。またテート美術館は4つの美術館の総称で、私はいつもその内絵画中心の『テート・モダン』しか行かなかったので、改めてテート美術館全体のボリューム感や迫力を感じることが出来ました。
またこの美術展はなんと中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドとワールドツアーをした世界巡回展だということで、最終会場の日本だけバーン・ジョーンズを始めとした12点が限定出品されたとか。かなりお得な気分です!10月まで開催されていますしその後は大阪展もあるので、ぜひ英国を感じて下さい。
https://tate2023.exhn.jp
そんな週の一本は、『猫と、とうさん』です。
いや〜、久々に大失敗な邦題だと思いましたよ。だって『猫と、とうさん』と言われたら100%猫を可愛がっている一人のお父さんのドキュメンタリーか、心温まるドラマか…なんて思うじゃないですか。
でも原題は『Cat Daddies』、複数なんですよ。それも猫「と」とうさんではなく、猫「の」とうさん「たち」で、全然意味が変わってきますよね!やだ〜!もう!
実際は猫を愛するお兄さん&おじさん「たち」のドキュメンタリー。つまり『猫パパ』たちです。それに今どき「とうさん」っていう呼び方自体どうなのかな〜w 猫パパの方がずっと響くと思う私は猫ママですw
まあドキュメンタリーなので猫好きでなければ退屈して寝てしまうかもしれませんw でも猫好きなら、特に猫好きな男性なら、とても楽しく観れると思いました。てか何よりも、このポスター!この子がチャンピオンです!!!可愛過ぎ!!
この週は夏休みということで、平日にゆったりランチをしました。しかもコロナ前以来の友人達と。時間が経つのがあっという間で、とても楽しい時を過ごせました。これって大事よね!!!
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