Amy's This Week

2021.08

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2021.08.23

8/16-22, 2021 STEPS AHEAD アーティゾン美術館と、『ジャングル・クルーズ』

なかなかコロナ新規感染者が減りません。東京都は連日5,000人超えを記録し、この数字を昨年の今頃聞いたらどうなっていただろうと思います。アル・ゴア氏が地球温暖化に警鐘を鳴らす時に例として、「カエルは沸騰したお湯には入らない。が、水に入っている時、その水が徐々に沸かされると沸騰するまでいてそのまま死ぬ」と。私たちは今、そんなカエルになっていないでしょうか?

この週、世間はお盆。でも私は帰る田舎もないし、そもそも東京のお盆は7月だしw ということでどこにも出掛けず。なので今週も、先月行った場所のことを書きますね。東京駅そばのアーティゾン美術館。『ステップス・アヘッド』展は、新収蔵作品展です。

とにかく暑い日々。この美術館は東京駅の地下街から真っ直ぐ地下通路で行くことが出来ます。美術館の目の前で地上に上がり、道を渡らなくてはなりませんが、本当にそれだけなので、汗をかく間もなく涼しい美術館の中へ。日時指定予約だから、館内も空いています。

今回は、強烈な夏の日差しにも負けない、この鮮やかな色使いに惹かれます。昨年初めてここに来た時、鴻池朋子展で良い意味での衝撃を受けたので、あの時の感覚再び!となるでしょうか。期待いっぱいでした。

美術館へ行く時は、例えば『ゴッホ展』とか、『フェルメール展』とか、お目当のアーティスト、お目当の作品があって行く場合が多いですが、このアーティゾン美術館は違います。どんな作品があるのか、ドキドキしながら行くのです。そこはアーティゾン美術館の感性を信じるしかないですが、「これは嫌だ」と思う作品に出逢うことは滅多にないしw 気付いていなかった自分の好みや、知らなかった作品やアーティストなど、新たな発見が出来るのはとても楽しいことです。

さらにここは写真撮影OKなんですよ〜。心が広いな〜。嬉しいな〜。

美術館自体、昨年オープンしたばかりなので、広くて綺麗、というのもあります。…ともう、宣伝ばかりしていますねww だってホントにここ好きなんだもんww

さて、新収蔵品を観ていきます。まさにステップス・アヘッド!これは荻須高徳の『アベスの階段』です。1926年(大正15年)にフランスに渡り、第二次世界大戦で帰国しながらも、戦後1948年には日本人画家として戦後最初の渡仏、本人的には「戻った」のでしょう。脇からモンマルトルに続く階段は、明るいパリの街の印象とはかけ離れ、薄暗くじめっとした生活感が良いです。決して不快感はなく、その生活感を楽しんでいる視線を感じることが出来ます。また、右下にあるサイン、Ogisuではなく、Oguissとなっていて、フランス人にも「オギス」と発音してもらえるようにスペルを変えていたんですね。フジタのFoujitaみたい。

藤田嗣治より15歳下の荻須ですが、同じパリで活躍した二人の関係はどうだったのか、とても気になりました。軽く調べてみても分からなかったので勝手に想像すると…、愛知県稲沢市の地主の家に生まれた荻野は、大戦を挟みながらもマイペースに絵を描くこと、パリで生活することなどを順調に楽しんでいたのに対し、藤田は学生時代は恩師と対立し、かつては自慢だった軍人一家であったせいで、大戦中は陸軍美術協会理事長となり、戦後戦犯の疑いを持たれ…と、波乱万丈。最初パリに行っても8年は売れず苦労したのに、荻須はパリへ渡った翌年にサロンで入賞…。15歳上の藤田は苦労続きで、これは荻須の順調さが面白くないし、でも面白くないと表明するのはひがんでいるようで絶対にプライドが許さない。そこはもう、無視するしかない…という感じでしょうか。(苦笑)あくまでも私の勝手な想像ですw

私は藤田のこだわりのある作風も大好きですし、そもそも暗い偏屈な人大好きですww がやはり、天性の才能と恵まれた環境にある苦労知らずで明るい人の真っ直ぐな目には、何をしても敵わない眩しさがありますね。ミケランジェロとラファエロのようw 荻須高徳は後者でしょうね〜。日本のラファエロ?!早世しなくて良かったですw

…なんて、ダラダラといろいろ考えてしまいましたよw それほど、この『アベスの階段』1枚で満足しました。美術ファンの友人とだったら、この1枚で2時間は飲めるな〜www

続いては、藤島武二の『東洋振り』。背景に漢字があったり、団扇を手にしているところからゴッホやルノワールのジャポニズムな作品との類似を感じますが、こちらの英名は『オリエンタリズム』です。 モデルは日本人で服も団扇も中国風、バックにある漢字も對聯(ついれん=中国の壁に貼る装飾)のようで、我々日本人には日本と中国の融合、「ジャポニズム」ではなく「オリエンタリズム」なのだと分かるのですが、果たしてこれを見た西洋人に理解出来るのでしょうか?また藤島武二は、西洋人に理解してもらえると思ったのでしょうか?

横顔を描くのは、イタリアで鑑賞したルネッサンス期の作品に影響を受けたそうです。しかし、なかなか横顔の美しい日本人モデルを探すのに苦労したのだとか。確かに、横顔では顕著に西洋人との鼻の形の違いがありますからねw それでも遂に、綺麗な鼻をしたモデルを見つけたようですね。スッと伸びた鼻筋が美しいです。

決して中国人を描きたかったわけではなく、日本人をモデルにして、中国服を着せ、中国の団扇を持たせ、バックには對聯を配置して、東洋的な美を描きたかったそうで、それを西洋的な横顔で現したのは、彼の西洋に対する挑戦だったのかもしれません。また、理解してもらえるかどうかはさておき、西洋で流行っていたジャポニズムではなくオリエンタリズムだとしたのは、彼自身のこだわりだったのかもしれないですね。

さて、これは本日のメイン・イベントw エレイン・デ・クーニングの『無題(闘牛)』です。あのポスターになっていた派手な色彩はなんと、闘牛でした!おお〜、確かに!

208.3×203.2cmという大作で、それはもう大迫力!なんてカッコ良いんでしょう。誰もいない展示室、大作を前にかなり後ずさり、離れた位置から全体を存分に味わって、いえw 存分に眺めてきました。全然飽きない〜。

アーティゾン美術館には、エレインの夫ウィレム・デ・クーニングの作品もあります。が、この大胆な色使いは単身ニュー・メキシコ、さらには国境を超えメキシコを訪問したというエレインならでは。現地の強烈な日差しがそのまま色彩になっているようです。この絵に出逢ったことが、この夏一番の思い出になりそうですw

こちらはミロ。ジョアン・ミロの『夜の女と鳥』です。 私にとってミロは、1999年に行ったバルセロナの旅を思い出させます。バルセロナの街中あちこちにミロのモザイクやモニュメントがあり、初めてミロがバルセロナ出身だったことを知ったのでした。この作品は『夜』と言われるからか、バルセロナの太陽を感じる代わりに、薄闇(決して暗闇ではない)の中の繊細さを見ることが出来ますね。

まさにこれぞ昼間のバルセロナ!と思えるこちらは、ミロの『絵画』。なんかふざけたタイトルですね〜w それでも楽しいからいっか〜と思わせてくれるミロ作品です。かなりの大作。ミロ作品には『Miro』と文字が描かれているものもあるので、これも何か文字が隠れてる?下にあるのは『AE』と見えるし?と思ってしばらく眺めましたが、結局分からず。「だから、単なる絵画だよ」と、ミロが笑っている気がしましたw

私にとって、ミロがバルセロナの思い出というのは実際にバルセロナがミロの出身地なのだから良いとして、さらに私にとってアンリ・マティスは、サンクトペテルブルグの思い出となりますw なんといってもエルミタージュ美術館で観た『ダンス』と『赤のハーモニー』の強烈な印象が蘇るのです。そんなマティスの、これは『ジャッキー』です。

全くマティスのイメージとは異なるまるで墨絵のようなシンプルさ。ジャッキーって、ん?JFKの妻をモデルにしたの?と思ったら大間違いww 孫娘のジャクリーン・マティス・モニエをモデルにしたそうです。シンプルで勢いのある筆遣いは、なんだか若冲の鶴を思い出してしまいましたw ん、全然違う?wwww

アーティゾン美術館にはマティス作品が多数あって、新収蔵品ではありませんが、私のお気に入り二点を。これは『画室の裸婦』です。この色使い、点々とした筆の使い方が大好き!

もう一点がこれ。『コリウール』です。南仏の漁村コリウールを、それまでの点々とした筆の置き方ではなく、大胆に絵の具を乗せて伸ばした描き方から『野獣的』と言われ、ここから『野獣派』という名称が誕生したとか。それにしては優しい色遣いが南仏っぽくて良いな〜。

ということで、たっぷりと涼しい館内でゆったりと作品を楽しんできました。もともと美術といえばルネッサンスが好きで、何かと狭く深く突っ込みがちな私の美術感を、あらゆる方向に広げてくれるアーティゾン美術館なのでした。

もちろん新収蔵品以外も良い作品がたくさんあるアーティゾン美術館。ステップス・アヘッド展は9月4日までです。
https://www.artizon.museum/exhibition/detail/60

 

そんな週の一本は、出ました!この夏一番のお楽しみ!『ジャングル・クルーズ』です。 デイズニーランドのアトラクションを片っ端から実写化するプロジェクトの第何弾になるんでしょう?数ある中にはハズれもあったけれどw これはもう、私としては『カリブの海賊』に匹敵する面白さでした!!!初めて『カリブの海賊』を観た時の感動を思い出しましたよ。

ドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック様)サイコーだったし、エミリー・ブラントも良かったし、アトラクションのジャングル・クルーズとの絶妙なリンクも楽しかったし、何と言ってもストーリーが良かった〜(涙)やっぱりディズニーは裏切りませんね!

東京ディズニーランドがオープンした1983年当初からあったジャングル・クルーズ。今でこそセールスマン・サムはジャングルのお守りを売っていますが、最初は現地の首狩族が狩った人間の首を干した、干し首を売っていたんですよww 干すとあんなに小さくなちゃうんだ〜と思って観ていたものですwww まあ、今は現地の民族への人道的見地からリニューアルしたのでしょうね。

で、この映画版ジャングル・クルーズでは、そんなことを思い出させる首狩族が登場します!それも楽しいし、ディズニーランドでは後半、謎のアジアっぽい洞窟に入っていきますが…と、これ以上はネタバレになるので書きませんが、とにかく楽しかったです!!

そういえばちょっとディズニー・シーも混ざってしまったような展開にもなり…www ああ、書いちゃダメよね!!www もう一度観たい!

コロナ禍だからかは不明ですが、とにかく意外にも公開シアターがめちゃ少なくて、どーゆーこと?って感じです。お馴染みのTOHO系、ピカデリー系でも扱っていなくて、危うく見逃すところでしたよ。そりゃあジョニデとロック様を比べたら仕方ないところはあるでしょうがw それでも十分、めちゃくちゃ面白い作品なのに!!どうか、全国のディズニーファンの皆様、観て下さい!

 

さて、何度もスミマセン(^^; 今週末ついに、NHK大河『青天を衝け』で平九郎が壮絶な死を遂げました。慟哭。この最後のセリフにまたもう…涙涙涙…。思っていた以上に尺があり、最後の観光案内(?)では能仁寺から顔振峠の平九郎茶屋まで登場し、存分に満足させて頂きました。ありがとうございました。この回、一体今後何度観返すことでしょうかw そのうちまた、平九郎詣でのトレッキングに行こうと思います。合掌。