Amy's This Week

2020.11

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2020.11.03

10/26-11/1, 2020 KING & QUEEN展と、『博士と狂人』

この週は、週末の山以外特にイベントに出掛けなかったので、先週行った上野の森美術館のKING & QUEEN展について。コロナ禍で、どうしても日本美術の展覧会が多い中、久しぶりの洋モノ!それだけで胸踊りますww

20代で初めて行ったヨーロッパがイギリスでした。取り敢えず英語が通じるからと選んだ記憶がありますw で、行ってみたらもう、自分がどれだけイギリスのことを知らないかを思い知って、うなだれて帰って来ましたw あまりにも何も知らない!そして、イギリスに行くのであれば、最低でも『シェークスピア』『シャーロック・ホームズ』『ヘンリー八世』の3人について知らなくては!と強く思ったのでした。逆に、この3人を分かっていたら、どれほど英国の旅が面白くなることか!

そうして帰って来てから、実は叔父がシャーロッキアンだったことを知り、ホームズは全部叔父から借りて完読しました。シェークスピアについても、戯曲は苦手だったけれど、主なものは読みました。そして残ったのがヘンリー八世。どうしたら情報を得られるのだろう?と思いながら、その後何度もロンドンへ足を運んだのでした。とにかくロンドンやその郊外のお城などを観光していると、やたら目につくのがホルバインの描いたヘンリー八世の肖像画。こうして、私にとっての英国史はヘンリー八世から広がって行きました。

…なんて、古代ローマに夢中になる前、私にとってヨーロッパで最初にのめり込んだ英国の歴代王&女王展です。いつ行っても巧みな商業的集客の旨さで激混みになる上野の森美術館が、コロナのおかげで日時指定!いやあ、コロナ禍も半年以上経ち、いい加減嫌になって来ていますが、久しぶりに有難い!と思っちゃいましたw 出来たらKINGS & QUEENS展と、「S」を付けて欲しかったですけどね(^^;

さて、その内容はといえば…ん〜歴史好きとしては、かなり物足りない内容…あまりにかいつまんでの表面的な内容…と思ってしまいました。何と言っても、チューダー朝からスタート?プランタジネット朝に触れることなく?獅子心王にも触れず、またプランタジネット朝直前のヘンリー1世あたりは、ケン・フォレット原作の本やドラマ『大聖堂』が大ヒットしていたので、全くスルーされていたのは非常に寂しく思いました。

さらに、その後のヨーク朝エドワード5世あたりは、思い切り中野京子さんが好きそうなコンテンツなのに、これもスルー。悲劇の王子エドワード5世と弟のリチャードについては有名な絵もあるし、一番のドラマチックな王室物語になったはずなのに。(大好きな絵なので載せますが、この兄弟の絵は展示されていません)

とまあ、冒頭から文句タラタラでごめんなさい!きっと、ナショナル・ポートレート・ギャラリーから貸し出された作品のみで構成したので、こうした内容になったのかもしれないですね。でも、だったら『英国王室物語』なんてサブタイトルは付けずに、普通に『ナショナル・ポートレート・ギャラリー展』とすれば良いのに。その辺りが、『キング&クイーン展』とよりアピールするタイトルを付けたがった上野の森美術展の商業的スタイルを感じました…orz

ということで頭を切り替え、英国歴代王&女王展ではなく、あくまでもナショナル・ポートレート・ギャラリー展として楽しむことにしますw 歴代王朝をチューダー朝から、続けてスチュワート朝、ハノーバー朝、ビクトリア女王の時代、ウィンザー朝…と、5つに分けていました。そしてそれらテーマの最初にある家系図だけ、撮影OKでした。

未だ確証は闇の中ながら、エドワード5世の謎の鍵を握るといわれている一人のヘンリー7世が、しれっとチューダー朝の一番最初に登場していましたw でもやはりチューダー朝の中心になるのはヘンリー8世ですよね!私が初めてロンドンに行った時に、あちこちで見てすっかり覚えてしまったホルバインのコピーがありました。ホルバインはヘンリー8世にとても気に入られていて、多くのヘンリー8世はじめ周辺の人々の肖像画を描きました。気に入らなければ殺されてしまうのですから、誰が敢えてオリジナリティーを求めるでしょうかw 多くの画家が、ホルバインの肖像画を模写したのでしょう(^^;

ここではナショナル・ポートレート・ギャラリーに収蔵されているレディ・ジェーン・グレイの肖像画が、他の肖像画と普通に並んでいました。中野京子さん、いろいろ広げたいところをグッと堪えたんだろうな〜なんて思ったりしてww

チューダー朝は、ドラマ材料の宝庫ですね。娘のエリザベス1世や、メアリー1世、スコットランド女王のメアリーなど、映画やドラマの主人公たちが並び、すぐにでもまた映画を観たくなってしまいました。

マーゴット・ロビーもかなり良かったけれど、やはりケイト・ブランシェットのエリザベス1世が最高でした。

で、このエリザベス1世の肖像画は、『アルマダの肖像画』と言われる、スペインの無敵艦隊を破った戦勝記念で描かれたものだそう(アルマダとは、艦隊の意味)。右手を地球儀の上に置いているのも、まさに「世界を手中にした!」というアピールだし、背景左意気揚々の英国艦隊、右に沈没するスペインの艦隊の絵があり、とても面白いです!まあ実際には、あまりにも暗くていろいろな角度から見ようと試みましたが、右のスペイン艦隊は本当によく分かりませんでしたorz (このネット画像で初めてちゃんと見れました!w)

次のスチュワート朝は、あまりよく分かっていなかったので、むしろ非常に興味深かったです。

『チャールズ1世の子供達』という作品の中心で、ひときわワガママそうに立つ中央の男の子がのちのチャールズ2世です。やはり子供の頃から威厳がありますねw

で、このチャールズ2世がまあ女好きでw 多くの愛人を持ったそうです。そう聞くとそんな顔をしている気がしますww

多くの王や女王の肖像画が並ぶ中で、ん?ちょっと胸開きすぎじゃない?wと思った肖像画が、チャールズ2世の愛人の一人、エレオノール・ネル・グウィンでした。女優だったところを王に見初められたそうですが、非常に性格の良い女性で、多くの人に愛されたとか。こうして王室の人々と並んで王立肖像画美術館(ナショナル・ポートレート・ギャラリーね)に並べてもらえたのも、なるほどと思いました。

そして、この時代はアン女王です。ああ、この人か〜。やっぱり少し暗い感じ?なんて思ってしまったのは、鬼才ヨルゴス・ランティモス監督のせいですw もちろん、私は大好きな監督なんですがw

ヨルゴス・ランティモス監督が選んだ女王陛下は、このアン女王でした。いやまあ、映画ですしね。またこの監督ですから、もちろん鵜呑みにしてはいけないのは分かっています。それでも、王室はクレームしなかったのかな〜(^^; そういえば、この作品の原題はただの『お気に入り』。それを敢えて『女王陛下の』と付けたのは、やはり配給会社が日本人は王室好きと思ったからなのでしょうねw

そして次はハノーヴァー朝コーナーでしたが、ヴィクトリア女王は分離させて『ヴィクトリア女王の時代』となっていました。では『ヴィクトリア朝』と言ってしまえば良いのに…w まあヴィクトリア女王の時代は、英国史の中でも黄金期なので、特別扱いしたのでしょうか。が、世界を制覇したとの説明書きの中で、カナダ、オーストラリア、インド、マレー半島、アフリカ西部となっていて…しばし立ち止まって考え込みましたが、これ、どう考えても「アフリカ東部」の間違いではないでしょうか?厳密に、細かく見れば西部にも英国が足がかりにした地域はありましたが、ここでは大雑把な捉え方。だったらやはりアフリカ西部はフランス、東部が英国では?もしくはアフリカ南部でも良いですが、西部はちょっと違うでしょう!と思ったので、係の人に訴えてしまいました。うるさい客!(^^;

で、ヴィクトリア女王といえば、私はこの作品が浮かびましたが、展示されていたのは『ジョン・ブラウンとヴィクトリア女王』。ん?インド人じゃないの?と思いチェックしたら、女王陛下のお気に入りは、何人もいたんですねww

そして一番身近なウィンザー朝に移ります。かなり写真が増えてきて、現代を感じました。

そんな中、おお〜、こんな端正な顔立ちだったのか〜と、しみじみと見入ってしまったのがジョージ6世でした。実際のお顔は知らなかったので、ちょっと感動。コリン・ファースよりずっとハンサムじゃないですか?ww エリザベス2世のお父上なんですね。そういえばエリザベス2世の面影があります!

さすがにウィンザー朝の家系図は知っている名前が並んでいるので興味深く見ましたが、あら?サラ・ファーガソンなんてとっくに離婚しているんじゃないの?なんて、当時の様々なゴシップを思い出しましたww あ、でもダイアナの離婚にも触れていないんですね。突っ込んでしまえば、ヘンリーとメーガンも今や王室離脱したのだから…?とかいろいろ思いましたが、あくまでも深く突っ込まない方針なのでしょうw

ということで、上野の森美術館のキング&クイーン展は、こんな浅い歴史好きにも突っ込みどころ満載な内容でした。が、そこは上野の森の美術館ですw また、このコロナ禍で日本美術だらけの中、果敢にも洋モノを持ってきてくれたことには感謝しかありません。きっと平時にはない苦労があったことでしょう。そこは商業主義だからこその、儲けるための根性がお見事。自由主義の素晴らしいところですね。

浮世絵も良いけれど少し飽きたかも?という今、かなり楽しめます。1月までやっているので、暮れあたりもう一度 行っても良いかもw その時は「アフリカ東部」に訂正されているといいなww
https://www.kingandqueen.jp

 

そんな週の一本は、『博士と狂人』です。 メル・ギブソンとショーン・ペンですから、 観ないわけには行きません!そして、観たあとはもちろん大満足でした。いやあ、さすがショーン・ペンですね!最近あまり見なかったのでうっかり忘れていましたが、『アイ・アム・サム』のショーンですもん。すごい役者さんです!マドンナの元夫ねww

メルは忘れていなかったしw 期待通り。偏屈で頑固で真っ直ぐな人は絶対この人ですね。役者としては一生『ブレイブ・ハート』のイメージが付きまといますが、それで良いと思います。本当は彼の監督作品を観たかったけれど、役者としてのメルも良いです。

オックスフォード英語辞典は、世界最大の英語辞典なんですね。編纂に70年かかったとか。そりゃあコンピューターの無い時代。そして全て手書きの時代ですもんね。気が遠くなりそうな仕事ですが、その作成にこんな秘話があったとは。そう、これは実話なんですって。事実は小説より奇なり。

従軍のトラウマやPTSDなどに一切理解の無かった時代。狂人とされたショーン・ペン扮する元軍医のマイナーは可哀想でしかありませんが、狂人扱いされたからこそ、アサイラムに収容され、時間があってこの偉業達成を担えたと思うと、運命の不思議を思いました。

にしても終盤登場のウィンストン・チャーチル(当時は内務大臣)の大岡裁きとも言える決定!カッコ良過ぎました!これも実話なのですから、やはり首相になる前からチャーチルは只者ではありませんでしたね。おかげでグッっと後味の良い作品になりました。

 

さて、今年もハロウィーンの時期となり、ハロウィーンといえば私の誕生日も近く、今年も無事に一つ歳を重ねました。カードが届いたり、メールやSNS上でたくさんのグリーティングを頂き、こんな時でもコロナを忘れて楽しい時を過ごすことが出来て、元気に生きる原動力にもなり心から感謝!と思いました。ホント,生きているといろいろなことがありますね。来年のお誕生日には、世界中でコロナが過去のこととなっていますように!!!