Amy's This Week

2019.05

20
2019.05.20

5/13-19, 2019 ウィーン・モダン展と、『オーバー・ロード』

もう一つのクリムト展です。そんなにクリムトって人気あるの?と思うけれど、今年は日本とオーストリアの国交樹立150周年ですからね。やっぱり、ウィーンの芸術家といえばクリムト…なのかな。このウィーン・モダン展は、ウィーン市にあるウィーン・ミュージアム・カールスプラッツの作品を集めています。

ウィーンというと、美術ファンなら断然ウィーン美術史美術館だと思うのだけど、あちらはブリューゲル、ルーベンス、クラナッハ、ベラスケス、デューラー、カラヴァッジオ、ラファエロ、フェルメールなどなど、錚々たる作品群で有名過ぎるほど有名なので、あえてクリムトとシーレの作品が多いウィーン・ミュージアム・カールスプラッツの作品を集めたのは新鮮に思えます。こちらは、かつてはウィーン歴史博物館という名前だったくらいなので、絵画以外の展示物も充実していました。

とはいえ、やはり私のお目当はクリムトです。

目玉作品から出してしまえば、今回唯一撮影OKだった『エミーリエ・フレゲの肖像』。堂々とした大きさで、迫力満点でした。181 x 84cm。ヒールを履いていると推測して、ほぼ等身大でしょうか。

以前クリムトについて、生涯結婚せず、何人もの女性に子供を産ませた自分勝手な人…と書きましたが、そして私のその考えは変わっていませんが、このエミーリア・フレゲは、本当に愛した人だそう。まあ、もちろんその時その時で「本当に愛した人」は他にもいたでしょうから、エミーリアが最後で、一番長く愛した人なのかな。

じっと見ていると、クリムト作品によくある官能よりは、美そのものが描かれている気がします。一切、描き手(クリムト)に対する扇情的な誘いはなく、ただ見つめている。エミーリアのその透明感のある眼差しが、結婚をしなかった理由かもしれないと思ったりしました。

 

今回私が一番感動して気に入ったのはこちら。その名もずばり、『愛』。

中央の恋人同士(たぶん)を描いた面の両側に、クリムトらしい、彫金師の父から影響を受けたからであろう金箔を施した面があり、私の目には日本的とさえ見え、非常に美しい全体像に惹かれました。しかしよく目を凝らせば、恋人同士の上部には子供から大人、そして老婆、さらに死…という、クリムトの永遠のテーマである美しいもの(この場合は、女性の美や愛情も?)の儚さを表しており、左右の黄金部分にも上部に満開のバラを描くことで、美しいものの儚さを表しています。しかし、しょせん今だけの美しさだから虚しい、というのではなく、続かないからこそ今の美しさがより輝く、といった考えをクリムトは抱いていたのではないでしょうか。彼の美しさに対する思いは、空虚さではなく、あくまでも賛美と感じられるからです。メメント・モリの上に成り立ってはいますが、だからこその美しさです。

 

あと、そもそも私は動物が描かれているだけで喜びますw クリムト初期の作品で、のちのクリムトからは想像出来ない意外な作品に出会え、これだけでも今回足を運んで良かったです。『寓話』(『アレゴリーとエンブレム』のための原画)。

イソップ物語で、左に『ライオンとねずみ』、右に『鶴とキツネ』ですね。逃したネズミに助けられるライオンと、意地悪した鶴に意地悪され返されるキツネ。良いことをして良いことが返ってくるお話と、その逆を対比させ、さてどちらが良いのか?中央の女神(裸で描かれるのは神話の神様というのが通例)は体をライオンの方に向け、顔だけ鶴とキツネを諌めるように見つめていますね。「あ〜ん、食べられないよぉ〜」といったキツネの表情がとても可愛く、またしてやったり顔の鶴に思わず笑いが込み上げてきます。

と、私は再びたっぷりとクリムトを楽しみました。しかし前述したように、この『ウィーン・モダン展』はエゴン・シーレの作品と共にウィーン市の歴史を物語る様々な品も多数展示されています。後半の展示室を出るたびに、出口かと思いきや「え、まだあるの?」的なww かなり見ごたえありますよ!六本木の国立新美術館で 8月5日まで。

https://artexhibition.jp/wienmodern2019/

私がウィーンを訪れたのはだいぶ前のことになりますが、地図を片手に随分と歩き回ったのを思い出しました。その時にデメル本店に行き、チョコレート・トリュフの詰め合わせがダーク・チョコレートだけとか、ミルク・チョコレートだけとかであったのが感動的で、大好きなミルク・チョコレートだけの詰め合わせを買いました。あまりに美味しかったので、その後日本でデメルを買いに行ったら、値段は高いし、ミルク・チョコレートだけの詰め合わせは無いしで諦め、いつかまたウィーンに行ったら絶対買ってこよう!と、今でも思っています。だから、私にとってのウィーンはデメルかなww

 

さて、そんな週の一本です。『オーヴァー・ロード』。

だいたいこのポスター見るだけで、B級だな、って思ってしまいますよねw でも一応制作がJ.J.エイブラムスなんですよ。『アルマゲドン』から『スターウォーズ』『スター・トレック』『M:I:III』さらにテレビでは私が夢中になって観た『エイリアス』『LOST』など。これはやはりちょっと期待してしまうでしょw

第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦開始直後から始まり…、ということは『プライベート・ライアン』のスピンオフ的な?なんて一瞬喜んでしまうし、ドイツ軍とやり合う前半は、普通の第二次世界大戦モノとして、なかなか見応えあります。しかし、ドイツ占領下のフランス郊外田舎町にあるナチスの秘密研究所では、なんとゾンビを作っていた…という、アクション・ホラーでしたw

いやでも待てよ。もしかしたらそんな研究も実際にしていたかも? な含みを持たせるテーマではあるし、何と言っても、カート・ラッセルの息子、ワイアット・ラッセルが頑張ります。これがもう、めちゃくちゃ若い頃のお父さんにそっくりで、時々『バックドラフト』を観ているような錯覚にww それを言ったらさらに、主役で性格も良く、最後まで頑張るボイス二等兵はアフリカ系アメリカ人で、あのめちゃくちゃ面白かった『ゲット・アウト』を彷彿させます。ゾンビとの戦いも、フ〜ラフラ・ヨ〜ロヨロのゾンビではなく、超マッチョな超人強力ゾンビなので、まるでターミネーターを観ているみたい!ww

とまあ、さすがのJ.J.エイブラムスらしく、映画ファンが楽しめる要素がこれでもかと詰め込まれ、かなり楽しんでしまいましたw 特撮や特殊メイクも見ものだし、あれ?私かなり褒めてる?www いやだから、このポスターはどうなの?ってところに帰結するんですがww 他に観たいモノが無い週だったからこそ、観ることが出来た作品でしたwww