Amy's This Week

2023.12

31
2023.12.31

12/18-24, 2023 今年一番だったゴッホ展と、『ナポレオン』

どうも体調に波があって優れない中、楽しみだったのにすっかり忘れていて「良かったよ!」と静岡の友人から聞き慌ててSOMPO美術館に行って来ました。

結論から先に言うと、いや〜めちゃくちゃ良かったです!今年一番!ダントツでした!

その理由は大きく二つ。1はほとんどの作品が写真撮影OKなこと。これホント、ポイント高いです。気に入った作品を持って帰れるわけだし、写真撮ればあとで拡大してゆっくり観れるので誰もがそれほど作品前で長居しませんしね。中には写真撮るのに手間取る人もいるけどww おばちゃん!代わりに撮ってあげましょうか?なんて、思わず言いたくなってしまうシーンが何度かありましたw

2はテーマを静物画に絞っているのが良い!ゴッホは作品数が多いのでこうしてテーマを絞ってくれると知らなかった(&忘れていた)作品を観る率がグッと上がります。つまり『星月夜』とか『夜のカフェテラス』、『アルルのはね橋』、各種自画像や『郵便配達人』など有名作品は一切無く、その代わりの静物画をたっぷり揃えてくれています。

キリが無いので、印象に残ったとか、瞬時に「いいな」と思った作品だけ撮影したつもりでしたが、かなりの数になってしまいましたw なのでその中からさらに「いいな」と思う作品を厳選して挙げますね。まずは『髑髏(どくろ)』(1887)です。(ゴッホは製作年を知るのも重要だと思うので、映画作品のように年数も入れます)

『死』を意味する『ヴェニタス』というタイトルで多くの画家が髑髏を描いているし、マグダラのマリアが抱える髑髏なども含めたら一体どれほどの数の髑髏絵を観たことかと思いますが、果たしてその中に赤やグリーンで描いた人がゴッホ以外にいたでしょうか。さらに木製のテーブルの上に置かれているのか、もしくは藁の上?はたまた宙に浮いているのか。凄く惹き込まれる作品でした。

『コウモリ』(1884)これはiPhoneのおかげでよく見えていますが、その場での本物の作品はもっと全体が暗くコウモリの姿がよく分からないほどでした。それがiPhoneで少し調整したらこれほど鮮やかに透けるような美しい羽が見えるとは驚き。もう一つ驚いたのは、コウモリって英語ではバットしか知らなかったのでこの作品のタイトルで『Flying Fox』と覚えました!飛ぶキツネなんですねw

『陶器の鉢と洋ナシのある静物』(1885) この作品も、実際はもう少し全体が暗かったのですがこれもiPhoneマジックですw 地味なのに凄く惹かれました。光の使い方がドラマチックでまるでカラヴァッジョのようwww 自然光を生かして「光を描く」と言われたのはルノアールですが、こうした暗い室内のほぼ単色のような作品だからこそ、ゴッホは光を描いているのだと思って見つめました。

ヤバい!出た!私の大好きな鳥の巣です!その名も『鳥の巣』(1885)え〜クレラーミューラー美術館にあったのね。私は観たのかしら。忘れていたならめちゃ哀しい!ww

続けてもう一つ。『鳥の巣のある静物』(1885) これもiPhoneマジックだからこそよく見えますが、会場で肉眼で見ようとしたらここまでの解像度は無理だったと思います。良い世の中になったな〜ww この暗さの中にひっそりと巣の中の卵が見えて大感動。暗いんだけど希望のある作品です。

ちょっと脱線。鳥の巣絵が大好きになったのはこの人。ウィイリアム・ヘンリー・ハントの作品を観てからです。我が家の洗面所に飾っている作品がこちら。素敵でしょ。

これも驚愕しちゃったw ゴッホでこれほどゴージャスな花作品があったなんて。素晴らし過ぎ。『野牡丹とばらのある静物』(1886)
まるで花のブリューゲルの如し。私の稚拙な知識でゴッホらしさを探すべくじ〜っくり堪能させて頂きました。左右非対称で自由に広がっているところがゴッホらしさなのかな。本当に素敵です。クレラーミューラーで私これ観たのかしら?w

こちらは『青い花瓶にいけた花』(1887)。これは見覚えがありました!絵葉書も買っていたかも。上の作品と同じクレラーミューラーからです。こちらは背景やテーブルがゴッホそのもので分かりやすいw 花瓶にいけられたお花の構図は少し似ていますね。

お花が続きます。こちらは縦長な『花瓶の花』(1886) ちょっと会場のライトが反射してしまったけれど、むしろそれがゴッホの筆跡を浮かび上がらせていますね。

こちらも素敵な『ばらとシャクヤク』(1886)です。ホント素敵!これもクレラーミューラーで、私は全く記憶にありません。もうこうななったら、そのうちクレラーミューラーは再訪するしかなさそうですw そんな覚悟を持たされた美術展でしたw この柔らかなピンクのシャクヤクはルノワールを思わせますが、周辺が全てゴッホらしくて感動的です。

『カーネーションをいけた花瓶』(1886) はアムステルダム市立美術館から。花瓶がどこかオリエンタルな雰囲気で、テーブルも木製ではないような、全体的にとても艶っぽい作品です。

『赤と白の花をいけた花瓶』(1886) これは物凄く大きな作品で、聳え立つグラジオラス(たぶん)に圧倒されます。背景が暗いのも、お花を際立たせていますよね。よほど広い居間でないと飾れそうにない作品です。あ、家じゃないかw こちらはロッテルダムのボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館からですって。行ったことないので、ここもいつか行きたいな〜。

とにかく観たことのない、或いは記憶にない作品ばかりだったので感動し大喜びしていた中、終盤を飾るのはもちろん、このSOMPO美術館の宝、『ひまわり』(1888)です。初めて観た時は、この作品が想像以上に大きくて驚いたものでした。

面白かったのはこちら。イサーク・イスラエルスの『「ひまわり」の横で本を読む女性』です。実際にゴッホの弟テオの妻ヨハンナからゴッホの『ひまわり』を借りて、自らの作品に描き込んだそうです。当時だから出来ためちゃ贅沢なことで面白いですよね。

これは我が家のペーパーナプキン・コレクションからw ペーパーナプキンが好きで、見つけるとつい買ってしまいます。が、もったいなくて使えないw 使わなくてはね〜w

『アイリス』もありました。(1890) 療養生活を終える頃の作品で、晩年ならではのウネウネが際立っています。私は高校生の頃から20代まではこのウネウネが苦手で、ゴッホが好きではありませんでした。が、大人になるにつれ、ゴッホの生涯を知るにつれ、このウネウネが切なくて仕方なくなって来たんですよね。こんな作品を観るだけで胸がキュ〜ンと詰まるのです。なので今の我が家にはあちこちにウネウネした作品が飾られていますww

これはLAのポール・ゲティ美術館で買ったアイリスのペーパーナプキンです。同じ物を二つ買ったので、さすがに一つは開けて使い始めましたw

最後に、ゴッホではないけれどこれもSOMPO美術館の宝、セザンヌの『りんごとナプキン』です。セザンヌの静物画でよく登場するこのバックの壁紙(?)が好き。模様があるんです。この壁をバックにした作品を見ると、街で知り合いに会った時のような嬉しさが込み上げますw

というわけで、めちゃくちゃ素晴らしかったゴッホ展でした。西新宿です。あと少しやっているので、まだの方は是非!静岡の友人は、わざわざこのために東京へ来たのですが、本当に良かったと言っていました。おかげで私も行けました。良い年末になりました。

ゴッホと静物画―伝統から革新へ
gogh2023.exhn.jp

 

そんな週の一本は、『ナポレオン』です。

リドリー・スコットの歴史物となれば、必見中の必見だったのですが…う〜ん、私はどうしてもホアキン・フェニックスが苦手。なぜ苦手になったかと言えばリドリーのせいですw だってリドリー・スコット監督の『グラディエイター』(2000)でホアキンが最低最悪なローマ皇帝コンモドゥスを演じていたから。作品自体は大好きで何度も観たので、もう最悪な皇帝ホアキンが忘れられず。ジョーカーのようにメイクし極端に痩せて姿が変わっていれば大丈夫だったけれど、ナポレオンは…涙。

あと話は飛びますが今年のNHK大河『家康』は、大好きなキャラだったからこそ、何もかもことさら残念で入り込めませんでした。まあ家康以外の配役は良かったんですけどね。とにかく他は主人公の配役からCGの使い方、画面の暗さ、話の運び方、ああ、愚痴でしかない感想になってしまうんですが、唯一お見事と思ったのが老けメイクでした。メイクアップアーティストさんがここぞとばかり、最新テクニックを見せてくれました。

そこで思ったんですが…これほどメイクアップ技術が進んだ今なのに、若返りメイクって出来ないものなのでしょうか。家康でも思ったけれど、このナポレオンでもつくづく思ってしまいました。ナポレオン自身が20代頃からだと思うのですが、そこに40代後半のホアキンがそのままの顔で登場したらもう、それだけで全然入り込めませんよ。

戦いのシーンはそりゃあリドリー・スコットですもの。素晴らしかったです。ワーテルローの戦いなどは少し知っていたので興奮しちゃったw でも戦歴でいうならもちろん全てを網羅しているわけではないので、物足りなさも感じました。私はトラファルガー海戦を見たかったな〜。

あとナポレオンが兵士達を鼓舞する感動的なスピーチのシーンなどは無かったし、兵士同志の絆的なシーンも無く、かなり淡々と幾つかの戦いを見せた感じで、迫力はあったけれど、感情移入は一切許さず戦争は愚かだと思わせる作りのように感じました。まあそこはリドリーは英国人なので、そこが狙いだったかもしれませんがww

ジョセフィーヌとの事はナポレオン自身に占める割合は多かったとはいえ、それがこの作品の軸にはなりきっておらず、まあそうしたこと自体、ナポレオンを表しているのかもしれません。どちらも入り込み過ぎてどちらも半端に終わった哀しさ。とにかくこうして思い返すにつれ、もう一度観たいです。だんだん、面白く感じられる作品かもしれません。

 

SOMPO美術館へ行った後に、初めて新宿で西安料理に行きました。いつものユーポー麺はパクチー山盛りで、12月は体調が良くなかったので、これでかなりチャージされましたw