Amy's This Week

2022.05

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2022.05.24

5/16-22, 2022 菅田義経の最期?と、『チェルノブイリ1986』

NHK大河『鎌倉殿の13人』が盛り上がっています。全く鎌倉時代の歴史を知らない私でも牛若丸、義経、弁慶…などの名は子供の頃から聞いたことがあったし、高校の課外授業で観に行った歌舞伎は『義経千本櫻』。まるで、バラバラになっていた記憶のパズル・ピースが一つ一つハマっていく面白さがあります。また滝沢くんの『義経』は観ていなかったので、義経に対する固定観念もなく新鮮な気持ちで菅田義経登場を楽しみにしていました。

が…、『鎌倉殿の13人』で初めて義経が登場した時は、驚愕しませんでしたか?天真爛漫に弓の腕を競うのかと思いきや、え?そこで殺しちゃうの?と、いくら武士と農民の地位が異なるとはいえ、それほどあっさり他人の命を奪ってなんとも思わないそぶりのサイコパス義経だったからです。

これはヤバイ。それでも、兄頼朝との再会シーンは本当に感動的でした。義経本人があまりに感動しているので、周囲も本物かどうか突っ込むこともままならずww 結局は「会えて良かったね〜」となってしまうのでしたw

とにかくその若さを武器に(?)キラキラお目目で言いたい放題、やりたい放題。天真爛漫と言えば聞こえは良いですが、それって本当に裏は無いの?と思っているとやはりありましたw 兄義円に対して嫉妬があったのか、兄頼朝の寵愛を独り占めしたいがための蹴落としか、義円を騙して結果的に死に追い込んでしまう(予想はついていたはず)邪悪な義経。が、証拠隠滅が甘く(そこはやはり子供?)頼朝にバレて謹慎を命じられてふてくされます。

義経って、やはり心が子供過ぎたのでしょうか。それでも戦いに出れば鬼神の如くと言われる強さを発揮するわけです。一ノ谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦い…と、どれも聞いたことのある戦い。浮世絵などで見たこともありますよね。そうか、これだったのか、と思いながらドラマを観ていました。しかしいずれも個人プレーが目立ちます。そして結果的に平家を滅亡させたとはいえ、非人道的(もちろん、戦争自体が非人道的ではあるのですが)で手段を選ばない戦法が、将としての人望を失い、自らを追い詰めていったのかもしれません。

ついてくる兵が集まらず都を撤退するところは、古代ローマのポンペイウスを思い出しました。だいたい、「英気を養い兵を集め、準備万端で必ず戻ってくる」などと言いながら撤退する将が、本当に戻って来た試しがあったでしょうか。義経は、戦の種になるから行くなと言われていた平泉に、結局戻ってしまうのでした。

天真爛漫な義経にしてみれば、悲願の平家滅亡を果たした自分がなぜ兄に嫌われ、追い詰められる羽目になるのか分からず、育ての親とも言える藤原秀衡の元に身を寄せたわけですが、ここで秀衡に初めて「よくやった!」と褒めてもらいます。涙ポロポロの義経。ああ、これを兄上頼朝に言って欲しかった!

話は飛びますが、NHKで『光秀のスマホ』とか『土方のスマホ』などの、スマホ画面だけの5分間ドラマシリーズをご覧になりましたか?あまりにノリが軽いので疲れる時もありますが、確かに「あの頃」スマホがあったらこんな感じかな〜と苦笑しながらつい見入ってしまいました。で、この新シリーズが義経です!始まったばかりですが、スマホを持たせるキャラ的には一番適任かもw 光秀よりも、土方よりも、さらに軽いノリでスマホを操作するんだろうな〜と楽しみにしています。

そして話はこの週末の義経 in 平泉ですよ。あ〜20代の頃、友人と東北旅行に行って平泉の中尊寺にも行ったのにな〜。金色堂も観たけれど、藤原秀衡とか義経とか、全然分かっていませんでしたね〜。もったいないことをしました。これはまた行かなければなりませんね〜。

ところでこの写真、菅田くんのツンとした鼻が際立って良いですw 戦う気はなく穏やかに平泉で過ごしていた義経に、静御前の話をして鎌倉への怒りを誘発させる義時は、いつの間にか彼もブラックになってきましたね。これが政治なのでしょう。そもそも頼朝は完全な政治家なのに対して、義経はただの武人でした。毛沢東の言葉=政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治である…なのです。政治に長けなければ戦争も出来ないわけですね。義経無念なり。

そして最後の戦い、衣川にある館での戦いの時を迎えます。義経最後の戦いという衣川の戦いって…私はてっきり斎藤道三と義龍の長良川の戦いのように、本当に川の中での戦いと思っていたら違ったんですねw←ホントに無知でごめんなさい!

そんな最期を覚悟した時、正室サトの告白がありました。そこで義経は京都で襲撃されたのが兄のせいではなくサトが仕組んだことと知り、その取り返しのつかない誤解を自分にさせたサトに怒り心頭で一刺し!その時剣を抜いた手元は映っていないのに、義経の体と顔にサッと剣の刃に反射した光が射した瞬間で「剣を抜いた!」と見せたところは、思わずNHKお見事!と思いましたよw

殺されたサトだって、同じ結果(死)になるとしても、藤原氏ひいては鎌倉殿に攻められて大人しく義経に準じて亡くなった…というよりは、義経=夫に自らの罪を告白して夫の手によって亡くなった方がスッキリ出来たのかもしれませんし、観ているこちらも多少溜飲が下がる思いとなりました。

その後鎌倉に帰ろうとしていた義時が弁慶に呼び止められ、たぶん地下トンネルを通って衣川館に入り義経と話します。もう義経は最期を覚悟しているし、それを義時に見せようとしたのかもしれません。また、最後まで戦上手と褒められたいのか、攻める気は無くとも考えていた鎌倉攻め戦法を披露します。まさに机上の空論のようですが、この鎌倉を海から攻めるという戦法は結果的に鎌倉が滅亡した時に新田義貞がとった戦法そのものでしたね。やはりそこはさすがな義経です。

そして弁慶ですよ。一番泣かされたのは、一番笑顔のある軽い会話のシーンでした。義時と話している義経のところに「これでどうでしょう」と、全身何やらプロテクターを付けた弁慶がひょっこり登場。義経は「い〜ね〜!」と大喜びします。そして義時と話す義経の前に再びそのプロテクターの上に装束を身につけて現れた弁慶に「いいじゃないの〜」と大喜びの義経。が、瞬時に真顔になって「武蔵坊(弁慶)、世話になった」と言うと、弁慶は笑って「やめて下さいw」と言い返し、敵に向かって行くのでした。この二人の軽さが信頼の証ですね〜。余人には計り知れない二人の間の空気感。強烈にエモいシーンでした。

伝説の『弁慶の立ち往生』は、あの全身プロテクターに矢が刺さりまくっての結果だったのねと納得しました。そして義時は「来た道を戻って帰れ」と言われ…義経はその後ここで亡くなったと言うのが史実の語るところです。やがて鎌倉に義経の首が届けられ、慟哭する頼朝。お前のせいだろw でも本気で哀しんでいるようなところが、頼朝の恐ろしさでもあります。

が、ここからは私の希望でもありますが、頼朝、それは本当に義経の首だと思いますか?ということですw この時代、首が鎌倉まで届くのにどれほどの日数がかかることか。しかも時は初夏。実際、義経は北へ逃げたという『義経北行伝説』というのもあるし、その地をたどるツアーすらありますねw 最終的に義経がチンギスカンになったという話はさすがに眉唾だと私も思いますが、青森県の八戸を通り最後は北海道に渡ったという説を、私は信じたいと思っています。

この時代、いくらでも首は用意出来ますから苦笑。衣川に攻めて来た藤原泰衡は、そもそもが戦さに後ろ向きだったし、義経を亡き者にするのにも前向きではありませんでした。義経と連携して、鎌倉殿を騙そうとしたのかも?しれませんよね。義経も義時に言いました。「私は人を信用し過ぎると言われたが、私も少しは大人になった」と。最後の最後で、兄の上をいく一計を図ったのかもしれません。義時をわざわざ館に呼んだのも、妻子の屍を見せ、自分が死ぬ覚悟であることを鎌倉殿に伝えてもらうため。しかし、視聴者へは「義経自身もあの地下通路から逃げ出すことが出来る!」と教えてくれたのでしたw

散々ブラック義経と言われた菅田義経。私も義円のくだりあたりでは心底憎たらしいと思いましたが、気付けば可哀想に思いどうにか生き延びて欲しいと願っていました。これぞ人たらし義経であり、菅田義経だからこそ!いくら情報伝達がままならない時代とはいえ、人々の思惑が錯綜する中で、その波に飲まれ犠牲になった若者…と思わせておいて、実は最初から最後まで大人を振り回して最後に北の地で痛快に笑った男義経…と思わせてくれたのでした。菅田クンのあのツンとした鼻がねwww 結局は義経好きなんじゃんwww

その約500年後、平泉を訪れた芭蕉が読んだ句です。この句は知っていても、そのバックグラウンドは知りませんでした。いつか再び平泉に行けたら…、その時こそこの句をしみじみ噛み締めながら観光したいものです。

 

そんな週の一本は、『チェルノブイリ1986』です。

なんとロシア作品ですよ。こんなご時世に苦笑。が、この映画を作っている時、製作者たちはよもやロシアが戦争を始めるとは思っていなかったのでは?と思えたので、観ることにしました。舞台は現ウクライナだし。

1986年です。当時友人がフランス語を極めたくてフランスへの留学を考えていたのに、このチェルノブイリがあったわけです。真偽は定かではありませんが、その頃はヨーロッパ全土で食されるパンに使われる小麦が放射能に汚染されている…なんて話があり、フランスへ行こうとしていた友人は「どうしよ〜」と悩んでいました。

そこでふと「じゃあカナダにしたら?」と言うと友人は真剣に調べ始め、その後ケベックに留学したのです。そして帰国後に再会した友人のフランス語は…もうフランス人としか思えないレベル!良かったね〜!と大いに盛り上がった…なんていう思い出があるチェルノブイリでした。

原子力発電所の爆発以外はフィクションで、まあB級作品によくある男女のすれ違いとより戻し。その辺りは観ていて少しイラっとしますw が、まあこれがロシア映画のレベルかな〜と許容しながら『アルマゲドン』のようなエンタメ作品だと割り切れば、終盤なかなか迫力あります。

がそもそも、爆発した原子炉を冷却させるために、最終的にはほぼ熱湯(60度)のお湯プールに飛び込み手動でバルブを開けるシーンを、エンタメ作品と割り切って観るのは無理というもの。その点では邦画の『FUKUSHIMA 50』(2020)の方がずっと良かったし、あと、放射線被曝という意味では『K-19』(2002)とかね。あれはキャスリン・ビグローなんだから、良くて当たり前かww

とにかく、感情移入してしまえば息子のために自らの命を顧みず結果的に国をも救ったヒーロー話になるけれど、原子炉爆発について「原因は?」「人災だ」「誰の?」「今さらどうでもいいだろう」などという会話がロシア制作だと思うと、現状に重ねてますます複雑な思いになってしまうのでした。義経は12世紀、今からおよそ900年も前の人です。では今から900年後、この地球は無事に存在しているのかな。

 

軽く前述しましたが、5/23(月)深夜からのNHK総合『義経のスマホ』。わずか5分x全8話(2話拡大)です。5/24(火)〜27(金)と、5/31(火)〜6/3(金)(深夜なので、実際には月〜木の深夜)0:30〜0:35または0:25〜0:30です。ハチャメチャで超軽いけど面白いです。義経初回はまさかのキッズ携帯からスタートでしたwww 今後が楽しみです。