Amy's This Week

2022.05

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2022.05.30

5/23-29, 2022 スコットランド国立美術館展と、『トップガン:マーヴェリック』

すっかり暑くなりました。既にクーラーを日々使用しています。かと思えば強烈な雨が降ったりして、これはもはや夏ですね〜。でもその前に一番嫌な季節、梅雨が来ますorz ただでさえ晴れ晴れする気分を忘れがちな最近。少しでも浮世を忘れるには美術展が一番です。

そんなわけで、トビカンへスコットランド国立美術館展に行ってきました。スコットランドの国立美術館は行ったことがなので、とても楽しみにしていました。

スコットランドといえば、グラスゴウだけ行きました。いや〜、現地の人々の話す言語は英語のはずなのですが、YesとNo以外はほぼ聞き取れなかった記憶がありますwww 一緒にいた当時のアメリカ人上司に「聞き取れる?」と尋ねたら、「50%だね」との返事ww そりゃあ私がほぼ聞き取れなくてもしょうがないなwと思ったのでしたww

そんなスコットランドですが、独立国家ではなくあくまでも英国の一部なわけですが、『国立美術館』というのはスコットランドの気概というか、プライドなのでしょうね。そして、私が世界一好きな美術館はロンドンにあるナショナル・ギャラリー(訳せばこれも国立美術館)ですが、こちらはイングランド国立美術館とは言わず、ただの『国立美術館』と名乗っているあたりに、英国の意地がある気がしました。そんなところも面白い!

順不同で、印象に残った作品を挙げていきますね。画像は公式サイトから。まずはディエゴ・ベラスケスの『卵を料理する老婆』です。左側の男の子の顔がまさにベラスケス!でも見所はお鍋の中の卵です。お湯に卵を落としてポーチドエッグを作っているのでしょうか。固まった白身とまだ固まっていない白身の様子がしっかりと表現されています。また、金属のお鍋も見えますが、卵料理を作るのは土鍋のよう。タイトルでは老婆となっていますが、きっと40代くらいなのでしょうね〜w この作品、ベラスケスが19歳頃に描いたそうです。やっぱりさすが!

出ましたラファエロです!『魚の聖母のための習作』です。なぜ魚かというと、左に大天使ラファエルに連れられたトビアスが魚を持っているから。盲目となった父の代わりに借金回収の旅に出たトビアスが、ラファエルに守られ、襲ってきた魚を捕まえたら「その魚の胆嚢をお父さんにあげると盲目が治るよ」と言われて旅から持ち帰ったわけですが、はて、それを聖母に報告しているシーンでしょうか。ただ…トビアスがラファエルと共に旅に出るのは旧約聖書のお話。聖母マリア&キリストは新訳聖書。それが合致するというのは、巨匠ラファエロの大胆な創作?

いえ、そうではありませんでした。右にいるのは足元にライオンを控えた聖ヒエロニムス。聖書をアラム語とヘブライ語からラテン語に翻訳した偉い人です。そこでこの旧約のトビト記がカトリック教会の聖書正典(新訳聖書)に正式に加えられた記念に描かれた作品と分かるのでした。ヒエロニムスと分かるのはライオンを従えているから。これは、修道院に迷い込んで来たライオンの足に刺さった棘を抜いてあげて以来、ライオンが懐いたんですね。可愛い!いや〜奥の深い、面白い作品でした。ちなみに、これは習作ということでいわゆる練習。完全版はプラド美術館にあるそうです。プラド行ったのに全然覚えていませんでしたw

これは美しい!モネです。モネの『エプト川沿いのポプラ並木』。モネの水面は間違いなく素晴らしいです。この美術展は東京の後、神戸と北九州に巡回するのですが、この作品は東京会場だけだそうです。

ヒャッホ〜!ミレイがありました!あの『オフィーリア』のミレイですよ。ジョン・エヴァレット・ミレイの『古来比類なき甘美な瞳』です。ラファエロ前派大好き!さすが英国連邦ですね。この長いタイトルはエリザベス・バレット・ブラウニングの詩から引用されたものだそうです。いかにも物語好きなミレイらしいです。この少女の瞳の色は、この画像だとブラウンに見えますが、実際は青でした。吸い込まれそうに美しい瞳で、あらゆる角度から見入ってしまいました。ミレイ作品を観れただけでも、今回トビカンに行って良かったと思えました。

これはスーラの『アニエールの水浴』のための習作です。習作かぁ。だからですね。全体的にスーラっぽいのに、ジッと観るとスーラっぽくないww やはり点描は手間がかかって面倒くさいのかしら?ww 練習では点描はせず、筆をペタペタ置いているのが見て取れて、これはこれでとても面白いなと思いました。

どんなに遠くからでもエル・グレコだ!と分かるエル・グレコの『祝福するキリスト(世界の救い主)』です。左手を水晶球の上に置いているのは、『サルバトール・ムンディ(救世主としてのキリスト)』と呼ばれるスタイルだからです。でも有名なダヴィンチのサルヴァトール・ムンディは「左手の上に」水晶球を乗せて(世界は俺の手の上だぜw)いるのに対し、エル・グレコは置かれた水晶球の上に手を乗せています(世界は俺の物だぜw )。その違いを考えるのも面白いです。それにしても、エル・グレコって必ず後光が差しているような、画面に浮き出て見える描き方をしますよね。だからすぐ分かりますw

おお〜レンブラントですよ。『ベッドの中の女性』。レンブラントの超有名作品『夜警』に登場する光る女の子に顔が似ていると思いました。あちらはレンブラントの妻サスキアの顔と言われているので、こちらもやはりサスキアなのかもしれません。

『ベッドの中…』と物語性を感じますが、これは前述した旧約聖書からのお話の続きで、大天使ラファエルと共に魚を持ち帰ったトビアスが、悪魔に取り憑かれて過去7人の夫が亡くなったサラと結婚することになります。誰もがトビアスも死ぬと思っている中、なんたって大天使様ラファエルがついているのですから、トビアスは持っていた魚の心臓と肝臓(胆嚢はお父さんの盲目を治す用)を焼いて、その匂いで悪魔を撃退するのです。そんな、悪魔を追い払うトビアスの様子を見ているサラの図なのでした。悪魔を追い払ったらめでたしめでたしでベッドイン…ってことですねwww

ゴーガンの『3人のタヒチ人』です。いつも言うように、ゴーガンはゴッホに冷たかったから好きではないのですが、まあこうした作品を観るたびに、「俺はこれを描きたかったんだ」と、アルルでのゴッホとの生活を捨てた理由を見せつけられているような気がします。実際、そうなんでしょうね。

いかにも英国的で見入ってしまったジョン・マーティンの『マクベス』です。まさにロマン派らしいドラマチックな雰囲気がありますね。『マクベス』は悲劇であり残虐シーンの連続なので、『マクベス』と口にするのは不吉だと言われていたそうです。それで『マクベス』と言う代わりに『スコティッシュ・プレイ(スコットランドの演劇)』と呼んだそう。中央に立つのはスコットランド人のマクベスとバンクォーでしょうか。うねるような空の描写が、これから怒る波乱を示しているようです。左端には3人の魔女がいて、マクベスに予言を授けるんですね。この3人の魔女をよ〜く観たくて、しばらくこの作品の前に立っていましたw

これもいかにも英国で感激したウィリアム・ブレイクです。『石版に十戒を記す神』。後ろ姿の神の周囲に、一体何人の姿が描かれているのでしょうか。詩人でもあるブレイク作品はいつも神秘的で幻想的。だからハンニバル・シリーズの1作目『レッド・ドラゴン』に登場したんですよね。実際私はその映画でブレイクを知りましたww サイコな殺人鬼がブレイクの龍を背中に刺青してしまうのです。まあそれはフィクションでしょうが、ブレイク先品にはどれも不気味な魅力がありますね。

この美術展で最後を飾った巨大作品、フレデリック・エドウィン・チャーチの『アメリカ側から見たナイアガラの滝』です。アメリカで財を成したスコットランド人絵画コレクターが、母国のスコットランド国立美術館に寄贈したそうです。スコットランドの美術館になぜアメリカのナイアガラ?と思いましたが、そうした裏話(?)を知ると、この作品の巨大さ(257cm x 227cm)が、アメリカで成功したスコットランド人の誇りなのだと思えました。きっと、買い集めた作品の中で一番大きい作品を母国に寄付しようと思ったのかもしれませんw ところで、ナイアガラの滝はご存知の通りアメリカ滝とカナダ滝があり、一般的には馬蹄形型のカナダ側の方が人気のようですが、実際に行くと断然アメリカ側の方が魅力的です。滝の真横に出ることが出来るので、その迫力を本当に眼前にしてびしょ濡れになることが出来るからです。まさにフレデリック・エドウィン・チャーチはそこに立ってこの作品を描いたのかな。その後方に広がる整備された広大な美しい国立公園も、アメリカ側の魅力です。

対するカナダ側は、一般的なカナダのイメージとは違い、良く言えば賑やか、悪く言えばごちゃごちゃしてまるで歌舞伎町ww バーやカジノ、観光客用土産物屋が所狭しと並び、客引きもいたりして、治安もビミョー。なので昼間はカナダ側で遊び、夜はアメリカ側で静かに過ごす…というのがナイアガラ観光における私の理想ですw

…というわけで、スコットランド国立美術館展はとても楽しかったです!館内では撮影禁止ですが、最後にこのナイアガラの滝をバックに撮影できるスポットがありました。2020年春以降、コロナ禍となり軒並み海外作品の美術展は中止や延期となっていたのに、気づけばこうして海外からの美術作品をたっぷり楽しめる時期になったのだな〜、と感無量です。美術展界はしっかり『With コロナ』で前に進んでいますね。トビカン、ありがとう!東京は7/3までです。

 

そんな週の一本は、ついに公開!!『トップ・ガン:マーヴェリック』です。待ってました〜❤️

公開当日の第一回上映で観てきましたよ〜!!最高かよ!あ〜、やっぱりトム・クルーズは裏切りませんね〜!!35年も経て、よりカッコ良い超高速パイロットを演じられるなんて、常人には考えられません。実際、作品の中でも35年も経てば引退しているか、役職について偉そうにしているかのどちらかです。でもトムは、現役パイロットなのです。なぜなら彼は『マーヴェリック』だからw

オープニングから『デンジャー・ゾーン』が流れる中、最高にスリリングでイカす(そう!イカすのです!)飛行シーンが畳み掛けてきます。もう空母の上で働く人々全員がカッコ良いw 飛行シーンも一切CGは使われていないとか。もう堪りませんよ!

砂漠で飛行テストをする時も、何重ものチェックで飛行許可を与えられるわけですが、最後は「Sky is yours!」ですよw 大空はあなたのもの。さあ、行ってらっしゃい!!痺れちゃいますよねwww

そしてグースの息子登場でグースの思い出が蘇ったり、アイスマンとの写真が飾られていたりと、もう涙が溢れるわけです。アイスマン好きでした〜!

『トップ・ガン』でヴァル・キルマーが大好きになって以来ヴァル作品は追っていましたが、ヴァル的には『ヒート』(1995)が最高だったかもしれません。『ヒート』の終盤、二階の窓から合図する妻を見てヴァルがさりげなく逃げるシーンは名シーン。涙無しには観れませんでした(泣)。『セイント』(1997)も良かったな❤️

そんなヴァルも『アレキサンダー』(2004)ではかなり貫禄が出て、やがて喉頭癌になったとのニュースでした。それでも『トップ・ガン・マーヴェリック』に登場すると聞いた時には「嘘でしょ?」と思っていたわけですが…。ヴァル本人のアイデアもあったそうですが、まさかこんな登場の仕方をするなんて。涙無しじゃ観れないじゃないか〜泣。

そんな若い時のアイスマンを彷彿させる役どころが、今回のハングマンだったかな。ネタバレになるので書けませんが、良かったわ〜❤️ そんなハングマンたち若いパイロットに最初は「おっさん」扱いされていたトムですが、いやもう世界最強の50代じゃないですか?『ロッキー』シリーズでも最後の『ロッキー・ザ・ファイナル』が最高に良かったけれど、『トップ・ガン』も続編『マーヴェリック』の方が良いくらい!頑張るおじさん最高です❤️

実は初日はドルビーアトモスで観たのですが、どうしてももう1回観たくて、しかもどうせ観るならIMAXだわ!と思い、2回目はIMAXで観てきましたw いや〜ホント最高でした!IMAXシアターで中央少し上あたりから観るのが一番良いかな?とはいえ、多くの回でF-14やF-18の座席が人気だそうですwww ぜひぜひ劇場でやっている間に大画面、大音響で観ることをオススメしますよ。ああ、3回目行っちゃおっかな〜wwww

 

さて、この週ひっそりとレイ・リオッタが亡くなったというニュースが流れました。ラストでクラプトンが流れる『グッド・フェローズ』(1990)が最高でした。まだ67歳。就寝中に亡くなったということなので、死因は発表されていませんが循環器系でしょうか。同じく大好きだった『ソプラノス』のジェームズ・ギャンドルフィーニと同じか…。レイの青い瞳とセクシーな声が大好きでした。みなさま、血管はしなやかに保ちましょうね。R.I.P. レイ…。