Amy's This Week

2022.01

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2022.01.25

1/17-23, 2022 ハリーポッターと魔法の歴史展と、『クライ・マッチョ』

東京駅丸の内北口の改札を出たところにある東京ステーション・ギャラリー。まだコロナ禍となる前に、ハリー・ポッターと魔法の歴史展の開催予定が2020年11月からと発表されていたのを覚えています。が、その後開催延期に。2年前のコロナ禍初期における「コロナのバカ〜!」の一つでした。

が、それから1年ちょっとでついに開催!東京ステーション・ギャラリーのキュレーターさん達はじめ、主催者皆様の努力の賜物ですね。ありがとうございます。

シリーズ化されたファンタジー作品・SF作品は多くありますが、どうしても途中でついていけなくなって、最後までコンプ鑑賞出来ない私w 『ロード・オブ・ザ・リング』も、『スター・ウォーズ』もごめんなさいw 『ネバーエンディング・ストーリー』とか『ナルニア国物語』などは、単品としてだったから楽しめたのかもしれません。

そんな中、『ハリポタ』は全7話(7話目はPart1とPart2なので映画の本数的には全8本)はコンプしたんですよねw 後半はもう意地って感じだったけど、頑張って観ましたww

とりあえず全部観たので語る資格はあるかと思いきや、後半はテキトーに観ていたせいかあまり記憶になくて(^^; やはり深く印象に残っているのは前半です。可愛かったし、魔法の世界が楽しかったです。

で、この『ハリーポッターと魔法の歴史展』ですが、思っていたのとは少し違っていました。いや、私が勝手に映画の世界をイメージしていたからいけなかったわけですが。むしろ本を読んでファンになった人たちには、とても嬉しい展覧会かもしれません。館内のお客さん達も、結構本を読んでいるファンが多かったようで、原画や元原稿などを食い入るように観る人が多かったです。

美術館入口脇にある大きなポスターの写真を撮ろうと、その前に立つ親子が去るのを待っていましたが、男の子が動きたがらず…(^^; ぐずる姿が可愛かったので、お母さんは困っていたかもしれませんが、そのまま撮らせて頂きましたw

で、そもそも本は読んでいない私w ん〜、なんかちょっと違うかな〜?と思いながらでしたが、タイトルだってよく見れば『ハリーポッターと魔法の歴史展』。そう、ハリーポッター「の」魔法の歴史ではないので、ハリーポッターから離れて魔法の歴史展として観ればなかなか楽しめたのでしたw しかし館内は厳しく撮影禁止だったので、写真は全く無いです…w

魔法というとなんとなく惹かれるのは私だけでしょうか。私は昔から魔法とか魔女とか、好きだったんですよねw ヨーロッパでは古代ローマの時代から、薬草や占い、おまじないなどを操る人々がいて、多神教の当時は巫女や薬屋として重用されていた人々だったのに、キリスト教の時代になってからは、そうした摩訶不思議な物事を操る行為は神をも恐れぬ所業…ということで、魔法を操る魔女とされてしまったのです。

ハリーポッターが発表されるずっと前、イギリスに遊びに行った時に友人とWitchcraft Museum(魔術博物館)に行ったことがありました。そこには様々な魔女が実際に使ったとされる道具が並び、イギリス人の友人に「魔女の存在を信じる?」と尋ねると「もちろん!」との答えでした。

ボストン郊外のセーラムは、大西洋を渡ってヨーロッパの魔女裁判が飛び火した唯一のアメリカの地として有名です。そのセーラムにある魔女博物館は好きで何度も行きましたw 好きと言ったら犠牲となった女性達には申し訳無いのですが。

実際は薬草を煎じて薬として飲ませて病人を救った良い人だったり、容姿が美しくて何人もの男性を虜にしただけで「あの人は魔女だ」と嫉妬した人に告発されたりと、本当に可哀想な話なのだと思います。それがいつの間にか観光スポットとして、ほうきに乗って空を飛ぶ姿がフューチャーされるようになってしまったんですよね。苦笑

『ハリーポッターと魔法の歴史展』では、錬金術も魔法の一種となっていました。錬金術といえば、フィレンツェにあるヴェッキオ宮殿にあるフランチェスコ一世が錬金術に没頭したという小部屋を思い出します。壁にぎっしり掛かる絵画は、それぞれが扉になっていて、錬金術に使用された道具などが収納されていたそうですが、いくつかは隠し通路の扉になっているところもあり、そこから別の部屋に行けるようにもなっているのです。謎に満ちた魅力的なお部屋でした。

さて、美術ファンとしてはやはりここでいくつかの魔女絵画を挙げたいと思います。これはロンドンのナショナル・ギャラリーにあるサルヴァトール・ローザの『魔女の集会』です。この作品の前では、不思議な魅力に動けなくなります。

こちらはプラド美術館にあるゴヤの『Witch Flight』。『飛ぶ魔女』って感じでしょうか。

ゴヤで魔女といえば有名なのがこちら。『魔女の集会」。怖い!

シェークスピアのマクベスには三人の魔女が登場しますが、これはフュースリーの『三人の魔女』です。

オジーの『ミスター・クローリー』(ああ!ランディのギターが最高!)は、イギリスに実在した魔術師と言われたクローリー氏を歌っていることで有名ですが、アーサー王にも魔法使いが登場するし、シェークスピアといい、もちろんハリーポッターといい、イギリスには昔から魔女や魔法を信じる土壌があったようです。それは魔法や魔女を頭から否定するキリスト教が、英国には完全なる浸透とはいかなかった影響もあるでしょう。

これは『ハリーポッターと魔法の歴史展』にも展示されていた、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの『魔法円』です。絵はがきも販売されていました(1枚220円は高い!)。ロンドンのテート・ブリテン所蔵。ラファエロ前派の殿堂ですよね。そういえばラファエロ前派関連には魔法や魔女作品が多い気がします。

ウォーターハウスといえば、この『オデュッセウスに盃を差し出すキルケ』が有名ですね。怖いけれど美しい。人間を魔法で動物に変えてしまうのです。

もう一つはその名もズバリ『魔女』です。これもキルケだと言われています。

こんな風に、英国=ラファアエロ前派=魔法…ん、順番は違うかもしれないけれど、繋がっているんですよね。その延長線上のハリーポッターな訳です。端的にいえば、魔法は英国の文化と言えるかもしれません。

ところで、このハリーポッターと魔法の歴史展は世界を巡回しているとのことでしたが、日本製(そうです。作り物なのは有名)の龍や人魚のミイラの展示もあったのですが、それらも世界を巡回しているのかな?なんだかちょっと恥ずかしいかもww

ともあれ、ハリーポッターファンなら必見だし、西洋では古代から様々な魔法(とされるもの)があり、ハリーポッターという物語はそれらの集大成であったのだと理解出来ました。これが人気出ないわけがありませんね!東京展は3月までやっています。日時指定とはいえかなり混んでいました(人数制限がユルいです)。会期後半はさらに混むので、興味ある方はなるべく早めにいらっしゃることをお勧めします。
https://historyofmagic.jp

 

そんな週の一本は、イーストウッド監督の『クライ・マッチョ』です。

いや〜良かったです〜。なんというか、しみじみと良かったです。イーストウッド監督91歳ですって!元気に生きているだけで凄いのに、監督して主演して…凄過ぎです!

そんな年齢だからこそ、そしてクリント・イーストウッドだからこその『クライ・マッチョ』で、じ〜んときてしまいました。このタイトルは、男の子の唯一の信頼出来る友達である鶏の名前がマッチョで、その鶏に対して「鳴け!マッチョ!」と言っているわけでもあるし、実際若い頃にはマッチョだったクリント・イーストウッドだからこそ真実味のある、過去マッチョなロデオスターだった主人公が、今は歳をとって「マッチョなんて意味がない」と、虚勢を張らずに素直に生きようとする「泣け、マッチョ」の意味もあります。 そして一緒に旅をするうちに、その姿を見て素直になろうとする男の子。多くを語らずとも体現して教える姿がさすがなイーストウッドなのでした。いや〜ホント良かったな〜。ラストもグッと来ちゃいました。「俺の居場所はわかるだろ?」と言われて、一瞬「どこ?」と思った私はバカでしたwww

メキシコから男の子を連れ出す作品として、リアム・ニーソンの『マークスマン』と重なるところはあるのですが、あちらはあくまでもハードボイルド(それも好き)、こちらは91歳のおじいちゃんになったからこその、イーストウッドのヒューマンドラマというか、そう、エモかったです❤️ まだまだリアムは若いってことかなww 良い作品でした!

 

さて、海底火山噴火で甚大な被害を被っているトンガに、日本の自衛隊からの支援物資が到着したそうです。同じ太平洋の国同士。東日本大震災のお礼もあるし、これからも引き続き出来るだけのことをして下さい。日本頑張れ。トンガ頑張れ。